職務経歴書の特記事項に何を書く?|書き方と例文8選をプロが解説

職務経歴書の特記事項に何を書く?|書き方と例文8選をプロが解説

「職務経歴書 特記事項」と検索したあなたは、この欄に何を書けばよいのか、あるいは空欄のままでよいのか迷っているのではないでしょうか。特記事項は必須の欄ではなく、書くことがなければ空欄でも選考上の不利にはなりません。ただし、経歴だけでは伝わらない前提や制約がある場合、ここで補っておくと選考の行き違いを防げます。この記事では、IT・機電エンジニア専門の転職エージェントである私たちが、書ける内容、状況別の例文8本、書かないほうがよいことを解説します。

職務経歴書の特記事項とは

特記事項は、職務経歴の本文では書ききれない補足を記載する欄です。役割は自己アピールではなく、読み手が経歴を正しく理解するための前提を渡すことにあります。

自己アピールの欄と混同すると、内容が重複します。書類全体の役割分担は次のとおりです。

・職務経歴:担当した業務と実績を時系列または分野別に書く
・自己アピールの欄:強みと、その根拠となる行動を書く
・志望動機:応募先を選んだ理由と入社後の目標を書く
・特記事項:上記に収まらない前提、制約、補足情報を書く

特記事項に書くべきなのは、書かないと誤解が生じる情報だけです。この基準を持っておくと、書く内容の選別が一気に楽になります。

特記事項は空欄でもよい?

空欄でも問題ありません。記載がないことを理由に評価が下がる欄ではないためです。

ただし、次のいずれかに当てはまる場合は、書いておいたほうが選考が進みやすくなります。

状況書く/書かない理由
経歴の書き方だけでは誤解されそうな点がある書く面接前に前提を揃えられる
勤務条件に譲れない制約がある書く選考後半での不一致を防げる
入社可能日が通常より先になる書く選考日程の調整がしやすくなる
記載できない情報がある書く経歴が薄く見える誤解を避けられる
補足すべきことが思い浮かばない書かない無理に埋めると内容が薄まる
志望動機や自己アピールで書いた内容書かない重複は読み手の負担になる

相談現場では、「空欄だと熱意がないと思われないか」という質問をよくいただきます。この欄はもともと補足のための場所であり、埋めることが目的ではありません。書く材料がないのに埋めようとして、志望動機の要約を貼り付けてしまうケースのほうが、かえって印象を薄めます。

特記事項に書ける内容【一覧表】

書ける内容を分類で整理しました。手元の状況と照らし合わせてください。

分類書ける内容記載する効果
経歴の補足転職や退職の背景、契約形態による区切り経歴の読み方を揃えられる
経歴の補足職務経歴に書ききれなかった担当案件経験の幅を補える
経歴の補足空白期間の理由と、その間の活動推測される余地を減らせる
開示の制約秘密保持により具体名を書けない旨記載が抽象的な理由が伝わる
スキルの補足技術ごとの習熟度の違い過大にも過小にも見られにくい
スキルの補足学習中の技術や取得予定の資格現在の取り組みを示せる
条件の補足勤務地や転勤に関する事情配属の検討材料になる
条件の補足入社可能日、引き継ぎに要する期間選考日程の調整に使える
条件の補足連絡が取りやすい時間帯在職中の連絡がスムーズになる
条件の補足副業や兼業の状況就業規則との照合ができる

このうち、エンジニアの応募で特に効くのは「開示の制約」です。受託開発や客先常駐、機電系の受託設計では、顧客名や製品名を書けないことが珍しくありません。その事実を一行添えるだけで、経歴書の抽象的な記載に理由がつきます。

状況別の例文8選

そのまま使うのではなく、構成の参考としてご利用ください。期間や数値は必ずご自身の事実に置き換えていただく必要があります。

1. 秘密保持により具体名を記載できない場合

前職では秘密保持契約の対象となる案件を担当しておりましたため、顧客名および製品名の記載は控えております。業種と規模を記載しておりますが、選考の過程で開示可能な範囲を確認のうえ、補足いたします。

2. 客先常駐で参画先が多く、経歴が細分化している場合

前職では契約単位でプロジェクトに参画しておりましたため、参画先ごとに期間を分けて記載しております。在籍企業は1社であり、参画先の変更は契約期間の満了に伴うものです。

3. 転職回数が多い場合

これまでに3社を経験しておりますが、いずれも事業所の統廃合または担当事業の終了に伴う転職です。担当してきた領域は一貫して制御系の設計であり、分野を変えた転職は含んでおりません。

4. 空白期間がある場合

前職の退職後、約6か月の空白期間があります。この期間は家族の介護に対応しておりましたが、現在は体制が整い、就業に制約はございません。並行して基礎知識の復習を進めておりました。

5. 資格を学習中の場合

現在、情報処理技術者試験の応用情報技術者試験に向けて学習を進めており、次回の受験を予定しております。学習開始から6か月が経過し、平日は1日1時間程度の学習を継続しております。

出典:IPA「情報処理技術者試験」

6. 使用技術の習熟度に差がある場合

保有スキルの欄に記載した技術のうち、実務で3年以上使用したものと、研修および個人での学習にとどまるものがございます。前者は設計から運用まで、後者は基本的な読み書きの範囲となります。詳細は面接にてご説明いたします。

7. 勤務地に制約がある場合

家庭の事情により、現時点では〇〇県内での勤務を希望しております。出張への対応は可能です。将来的な転勤の可否については、面接の際にご相談させていただきたく存じます。

8. 入社可能日に猶予が必要な場合

現職では担当プロジェクトの引き継ぎに約1か月半を要する見込みです。内定をいただいた場合、入社可能日は最短で〇月〇日を想定しております。日程についてはご相談に応じます。

書類全体として通用するか確かめたい方へ

補足すべき事情があるかどうかは、応募先の体制によっても変わります。
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書かないほうがよいことと言い換え

私たちが書類を拝見する際、修正をご提案することが多い記載を整理しました。

避けたい記載理由言い換えの方向
前職や上司への批判同じ姿勢を持ち込むと見られる事実のみを簡潔に書く
待遇の希望を複数列挙条件交渉の場と誤解される譲れない1点に絞り相談を添える
病歴や治療内容の詳細必要以上の情報になる業務への影響の有無に限って書く
家族の事情の詳細な経緯経歴の理解に必要ではない勤務条件に関わる範囲に留める
顧客名や製品名の具体名秘密保持に触れる可能性がある業種と規模で表現する
長文の言い訳や謝罪印象が重くなる事実と現状の2文で収める
志望動機や自己アピールの再掲他の欄と重複するそれぞれの欄に書く
「特になし」の記載空欄と同じ意味になる書くことがなければ欄ごと省く

健康状態や家族の事情については、補足が必要です。応募者が自ら詳細を申告する義務があるとは限らないとされます。また、採用選考にあたって配慮が求められる個人情報の範囲についても、指針が示されているとされます。

私たちはキャリアの専門家であり、法律の専門家ではありません。記載の可否について判断が必要な場合は、都道府県労働局の総合労働相談コーナー、弁護士、社会保険労務士などの専門窓口にご相談ください。

履歴書の本人希望記入欄との違い

2つの欄を混同すると、同じ内容が2回登場します。役割は分けてください。

観点職務経歴書の特記事項履歴書の本人希望記入欄
主な役割経歴の読み方を補う応募条件の希望を伝える
書く内容経歴の前提、開示の制約、スキルの補足勤務地や連絡方法の希望
分量の目安2〜4行1〜3行
空欄の扱い空欄で問題ない希望がなければ規定に従う旨を記載

勤務地の希望のように両方に書けそうな内容は、履歴書側にまとめてください。同じ情報を2箇所に書くと、読み手はどちらが本題か判断できません。

書き方の型と分量の目安

特記事項は、事実から書き始めます。前置きや心情の説明は不要です。

構成は3つの要素で組み立てます。

・事実。何がどうなっているかを1文で書く
・現状。それが今も続いているのか、解消しているのかを書く
・対応。相談したい旨や、面接で説明する意向を添える

分量は2〜4行、100〜200字程度が目安です。複数の項目を書く場合は、箇条書きにして1項目あたり1〜2行に収めてください。

相談現場では、空白期間の説明に10行を費やした書類を拝見することがあります。説明が長いほど、読み手には触れられたくない事情のように映ります。事実と現状を簡潔に書くほうが、かえって落ち着いた印象になります。

データで見る|条件面の制約を書くことのリスク

条件の制約を書くと不利になるのではないか、という懸念をよくいただきます。判断材料として、求人環境の数値を確認しておいてください。

情報処理・通信技術者の有効求人倍率は1.43倍で、職業計の1.12倍を上回っています。加えて、2030年には最大約79万人のIT人材が不足すると試算されています。

出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」(2025年11月)
出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年公表)

求職者1人あたりの求人が多い状況では、条件面の相談が即座に不利になるとは限りません。機電系については、職種別の求人倍率を本記事では確認できていないため、全職業の指標である1.12倍のみを参考としてご覧ください。

なお、特記事項の記載率や、記載内容が選考結果に与える影響については、公的な統計を確認できておりません。数値による裏づけがないため、本記事では推測での数値提示は行っておりません。

何を書くか迷ったときの切り分け

書く内容が定まらない原因は2つに分かれます。

1つ目は、選別の問題です。書ける材料は複数あるのに、優先順位がつけられない状態を指します。この場合、「書かなければ誤解される情報かどうか」の一点で判断してください。誤解が生じない情報は、書かなくてよい情報です。

2つ目は、制約そのものの問題です。勤務地や労働時間に制約があり、それを書くべきか迷う場合は、その制約が職種そのものの性質と衝突しているのか、応募先の体制と衝突しているだけなのかを切り分けてください。

たとえば転勤が難しい場合、設備保全や生産技術のように拠点に紐づく職種では制約が直接的に効きます。一方、開発職や社内システム担当であれば、在宅勤務を含む働き方の選択で解消できる場合があります。制約を隠して応募先を広げるより、制約と噛み合う職種や体制を探すほうが、結果的に早く決まります。

この整理は目安であり、職種によって一律に決まるものではありません。実際の運用は企業ごとに異なります。

提出前チェックリスト

書き上げたら、提出前に確認してください。

□ 書いた内容は、書かなければ誤解される情報である
□ 志望動機や自己アピールの内容と重複していない
□ 履歴書の希望記入欄と同じ内容を書いていない
□ 事実から書き始めている
□ 現状が解消しているかどうかが明記されている
□ 顧客名や製品名の具体名が含まれていない
□ 前職への批判が含まれていない
□ 健康や家族の事情は、業務への影響の範囲に留めている
□ 待遇の希望が複数列挙されていない
□ 全体で2〜4行、200字以内に収まっている
□ 書くことがない場合、欄ごと省いている

最後の項目について補足します。書く材料がない場合、見出しだけ残して「特になし」と記載する必要はありません。欄そのものを省いてください。

応募先の情報が足りていないケース

条件面の制約を書くべきか判断できない背景には、応募先の情報不足があります。配属拠点の候補、在宅勤務の適用条件、繁忙期の稼働、引き継ぎに求められる期間。これらは募集要項から読み取れないことが多く、想像で判断すると必要のない自己申告をしてしまいます。

私たちは、労働条件・労働環境を独自に審査した求人のみをご紹介しています。在宅勤務やリモート勤務の求人についても、適用条件まで確認したうえでご案内できます。書類を整える前に、制約と噛み合う求人かどうかを確認するほうが確実です。

書くべきか迷っている事情がある方へ

制約を書くべきかどうかは、応募先の体制がわかると判断できます。
初回面談はウェブまたは電話で約20分、情報収集の一環として話を聞いてみたいという方も歓迎です。
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まとめ

・特記事項は必須の欄ではなく、書く材料がなければ空欄で問題ない
・書くべきなのは、記載しないと誤解が生じる前提や制約に限られる
・秘密保持で具体名を書けない旨は、エンジニアの応募で特に効く一文
・前職への批判、待遇の列挙、健康や家族の詳細な経緯は書かない
・条件面の制約は、職種の性質と衝突するのか応募先の体制と衝突するのかを切り分ける

よくある質問

特記事項が空欄だと選考で不利になりますか?

不利にはなりません。もともと補足のための欄であり、記載の有無が評価対象になるものではありません。書く材料がない状態で埋めると、他の欄と重複した内容になりがちです。無理に埋めるより空欄のほうが読みやすくなります。

「特になし」と書くべきですか?

書かなくて構いません。空欄と同じ意味になるためです。見出しだけを残す必要もなく、欄ごと省いて差し支えありません。書式が指定されている場合は、その様式の指示に従ってください。

転職回数の多さは特記事項で説明したほうがよいですか?

契約や事業の都合による転職であれば、1文で補足しておくと誤解を防げます。ただし長文の説明は避けてください。事実と、担当領域が一貫している旨を簡潔に書くほうが、落ち着いた印象になります。

空白期間の理由はどこまで書く必要がありますか?

期間と、就業に制約が残っていないかどうかの2点で足ります。事情の詳細な経緯まで書く必要はありません。その期間に取り組んだことがあれば1文添えると、空白の説明が現状の報告に変わります。

秘密保持で書けない案件がある場合、どう表現しますか?

業種と規模で表現し、具体名を控えている旨を特記事項に添えてください。担当した工程や役割は具体的に書けます。開示可能な範囲は企業ごとに異なるため、面接で確認する意向を添えておくと丁寧です。

希望年収を特記事項に書いてもよいですか?

書くこと自体は可能ですが、複数の条件を並べるのは避けてください。年収は選考の過程で確認される項目です。書く場合は下限を1つ示し、相談に応じる旨を添える形に留めるほうが、交渉の余地を残せます。

この記事の執筆者

AIdeaCareerMedia編集部

主にIT・機電エンジニアに特化した転職事情に関する有益な情報を発信するメディアの編集部です。転職者であれば転職市場や選考での対策、企業の採用担当者様であればエンジニア人材の採トレンド等の「エンジニアに携わる転職・採用」の情報を提供します。

この記事の監修者

人材紹介事業部 事業統括責任者 堀 凌也

関西学院大学卒業後、新卒で当社入社。入社直後よりリクルーティングアドバイザーとしてトップクラスの成績を収め、組織内最年少で拠点責任者に抜擢。
現在は求職者への価値提供と企業の採用課題解決を両立する事業統括責任者として、組織の急成長と人材育成を牽引。