「求人票に『NXの使用経験』と書いてあったけれど、どんなCADなの?」「NXを使えるようになると、どんな仕事に就けるのだろう」と気になり、調べている方も多いのではないでしょうか。
NX CADとは、シーメンスが提供している上位の3次元CADで、設計だけでなく加工や解析までを一つのソフトで行えるのが特徴です。自動車や航空機、産業機械、金型などの分野で使われることが多く、使いこなせる人材は機電系の転職市場で評価されやすい傾向があります。 ただし、個人で学ぶ環境を整えにくいため、職場や研修で習得するのが一般的です。
この記事では、IT・機電エンジニア専門の転職エージェントである私たちが、NX CADの特徴や使われる仕事、必要なスキル、習得方法とキャリアへの活かし方を解説します。
NX CADとは
NX(エヌエックス)とは、ドイツのシーメンスのソフトウェア部門が提供している3次元CADで、設計(CAD)・加工(CAM)・解析(CAE)の機能を一つにまとめたソフトです。
もともとは「ユニグラフィックス」と呼ばれていたソフトをもとに発展してきた製品で、現在も「NX」という名称で提供されています。大規模で複雑な製品の開発に対応できる、上位の3次元CADとして位置づけられています。
ほかの3次元CADとの違い
NXと、代表的なほかの3次元CADとの位置づけの違いを整理しました。
| 観点 | NX | CATIA | SolidWorks |
| 提供元 | シーメンス | ダッソー・システムズ | ダッソー・システムズ |
| 位置づけ | 上位の3次元CAD | 上位の3次元CAD | 中価格帯の3次元CAD |
| 特徴 | 設計から加工・解析まで一つのソフトで対応 | 複雑な曲面や大規模な組立に強い | 部品や装置の設計を効率よく進めやすい |
| 主な利用分野 | 自動車、航空機、産業機械、金型など | 自動車、航空機など | 産業機械、装置、部品など |
NXの大きな強みは、設計したデータをそのまま加工の準備や解析に使えることです。設計から製造までを一つの流れで進めやすいため、ものづくり全体の効率化に役立ちます。
NXの主な機能
NXには、ものづくりの各工程で使う機能がそろっています。一つのソフトで工程をまたいで作業できることが、NXの最大の特徴です。
設計(モデリング)
部品の立体形状を作り、組み立てて製品全体を設計します。形状の履歴にとらわれず、直接形状を編集できる機能も備えているとされ、設計変更に柔軟に対応しやすいのが特徴です。
加工(CAM)
設計したデータをもとに、工作機械で部品を削るための加工の手順や工具の動きを作成します。金型や精密部品の加工で活用されることが多い機能です。
解析(CAE)
設計した部品の強度や変形、熱の伝わり方などをコンピュータ上で検証します。試作の前に問題点を見つけられるため、開発の期間や費用の削減につながります。
データ管理
同社の製品データ管理システムと組み合わせることで、設計データや変更の履歴を一元管理できます。大人数で開発する現場で、データの食い違いを防ぐのに役立ちます。
NXが使われている業界と主な用途
NXは、大規模な製品開発や、設計から加工までを一貫して行う現場で使われることが多い傾向があります。
| 業界 | 主な用途 |
| 自動車・自動車部品 | 車体や部品の設計、量産に向けた検討 |
| 航空機・宇宙 | 大型で複雑な機体部品の設計・解析 |
| 産業機械 | 機械や装置の設計、部品の解析 |
| 金型 | 金型の設計と、加工の手順の作成 |
| 家電・精密機器 | 製品の外装や内部部品の設計 |
特に金型の分野では、設計と加工の両方をNXで行う企業もあります。設計したデータをそのまま加工に使えるため、作業の手戻りを減らせる点が評価されています。
NXを使う主な職種
NXのスキルは、次のような職種で活かせます。
・機械設計:製品や部品、装置の形状を設計する
・金型設計:製品を量産するための金型を設計する
・生産技術:加工の手順や生産ラインを検討する
・解析エンジニア:強度や熱などを検証し、設計に反映する
・加工の担当(CAMオペレーター):加工の手順を作成し、工作機械を動かすデータを用意する
私たちが日々求人を扱う中でも、自動車関連や金型の分野の求人で、NXの使用経験を求める求人があると感じています。NXの経験は、こうした業界への転職でアピール材料になる傾向があります。
NXを使う仕事に必要なスキル・知識
NXを仕事で使いこなすには、ソフトの操作に加えて、ものづくりの基礎知識が欠かせません。
・3次元CADの基本操作:形状の作成、組立、図面の作成
・製図の知識:図面の書き方や読み方のルール
・機械要素の知識:ねじ、軸受け、歯車などの部品の知識
・材料と加工の知識:材料の特徴や、切削・成形などの加工方法
・解析の基礎知識:強度や変形の考え方(解析を担当する場合)
特に、加工の機能を使う場合は、工作機械や工具の知識も必要になります。設計と加工の両方の視点を持てると、NXの強みを最大限に活かせます。
役立つ資格
NXを使う仕事に就くために、資格は必須ではありません。ただし、3次元CADの知識を客観的に示したい場合は、次のような資格が役立ちます。
・3次元CAD利用技術者試験:特定のソフトに限らず、3次元CADの知識と操作の力を証明できる
・機械設計に関する資格:設計の基礎知識を証明できる
このほか、NXの提供元や販売店が実施している講習や認定がある場合もあります。
NXの経験をどう活かせるか、一緒に考えませんか
NXやほかのCADで積んだ経験がどんな企業で評価されるのか、経験豊富なアドバイザーがキャリアを丁寧にヒアリングしたうえで一緒に考えます。今の悩みの相談だけでもかまいません。
NXを使う仕事の年収
NXを使う機械設計や金型設計などの職種の年収は、職種や業界、経験によって異なります。年収に影響しやすいのは、NXを使えること自体よりも、どんな製品をどの工程で担当してきたかという実務経験です。
機電系の職種ごとの年収は、公的な統計で確認する必要があります。
なお、全職業の有効求人倍率は1.12倍です。
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」(2025年11月)
上位の3次元CADを扱える経験は、自動車や航空機など大規模な開発を行う企業への転職で強みになる場合があります。年収アップを目指すなら、NXの操作に加えて、設計や解析など担当できる工程の幅を広げることが大切です。
NXを使う仕事の年収や求人の傾向を知ると、キャリアの選択肢が見えてきます。職種研究や資格選びに役立つ情報を、LINEで配信しています。まずは情報だけ受け取りたい方も、気軽にご利用ください。
NXを使うやりがいと大変さ
NXを使う仕事には、やりがいと大変さの両方があります。
やりがい
・自動車や航空機など、大規模な製品の開発に関われる
・設計から加工・解析まで、ものづくりの流れを幅広く経験できる
・上位の3次元CADのスキルが、専門性として評価されやすい
大変さ
・機能が多く、使いこなすまでに時間がかかる
・個人で学ぶ環境を整えにくい
・扱う製品の規模が大きく、品質や納期への責任も大きい
大変さはあるものの、身につけたスキルは長く活かせる専門性になります。
NXを使えるようになるには
NXは、職場や研修を通じて習得するのが一般的です。上位の3次元CADのため、個人で学ぶ環境を整えにくい傾向があります。
習得の主な方法は、次のとおりです。
・NXを導入している企業に入社し、実務や社内研修で学ぶ
・提供元や販売店が実施する講習を受ける
・ほかの3次元CADで基礎を身につけたうえで、NXに移る
ほかの3次元CADの経験がある方は、基本的な考え方が共通しているため、NXの習得もしやすくなります。未経験の方は、まず3次元CADの基礎を身につけ、研修制度のある企業を目指すのがおすすめです。
相談の現場では、「NXのスキルを身につけたいのに、今の職場では2次元CADの作業ばかり」という声を聞くことがあります。この場合は、スキルが伸びない原因が自分の学習にあるのか、NXを使う機会のない環境にあるのかを切り分けることが大切です。環境が原因であれば、NXを導入している企業へ移ることで、経験の幅が大きく広がることがあります。
私たちは、労働条件・労働環境を独自に審査した求人のみを紹介しています。機械・回路・組込などの機電系の転職に特化して、NXなど上位の3次元CADを使える求人探しもお手伝いしています。
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NXを導入している企業や、研修制度のある企業など、あなたの経験と目指す方向に合う求人を、市場価値を客観的に評価したうえで一緒に考えます。まずは情報収集の一環として話を聞いてみたいという方も歓迎です。
まとめ
・NX CADは、シーメンスが提供する上位の3次元CADで、設計・加工・解析を一つのソフトで行える
・自動車、航空機、産業機械、金型などの分野で使われることが多い
・仕事で使いこなすには、操作に加えて製図・機械要素・加工などの知識が必要
・個人で学ぶ環境を整えにくいため、職場や研修で習得するのが一般的
・スキルが伸びない原因が自分か、NXを使う機会のない環境かを切り分けて職場を選ぶ
よくある質問
NXとCATIAは、どちらが難しいですか?
どちらも機能が多い上位の3次元CADで、使いこなすまでに時間がかかる点は共通しています。難しさは、使う機能や担当する業務によって異なります。どちらかを使えるようになれば、3次元CADの考え方は共通しているため、もう一方の習得もしやすくなります。
NXは個人で学ぶことができますか?
上位の3次元CADのため、個人で学ぶ環境を整えにくい傾向があります。学生向けの提供や講習が用意されている場合もあるため、公式の情報を確認してください。個人で学ぶのが難しい場合は、ほかの3次元CADで基礎を身につけ、NXを導入している企業で習得する方法もあります。
NXの経験があると、転職で有利になりますか?
自動車関連や金型など、NXを導入している業界への転職では、アピール材料になる傾向があります。ただし、採用で重視されるのは、NXを使ってどんな製品をどの工程で設計してきたかという経験です。具体的な実績を整理しておきましょう。
NXの加工(CAM)の機能も覚えたほうがよいですか?
設計を担当する場合でも、加工の知識があると、作りやすい形状を考えられるようになります。特に金型の分野では、設計と加工の両方を担当する企業もあります。担当したい仕事に合わせて、必要な機能から身につけていくのがおすすめです。
SolidWorksの経験だけで、NXを使う求人に応募できますか?
応募できる場合があります。企業によっては、3次元CADの経験があれば、入社後にNXを習得することを前提に採用することもあります。応募の際は、どんな製品をどの工程で設計してきたかを具体的に伝えると、評価されやすくなります。
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この記事の執筆者

AIdeaCareerMedia編集部
主にIT・機電エンジニアに特化した転職事情に関する有益な情報を発信するメディアの編集部です。転職者であれば転職市場や選考での対策、企業の採用担当者様であればエンジニア人材の採トレンド等の「エンジニアに携わる転職・採用」の情報を提供します。
この記事の監修者

【機電部門統括責任者】キャリアアドバイザー 湯浅 空大
立命館大学卒業後、新卒で中堅アパレル企業へ入社。当社入社後は未経験圧倒的なスピードで実績を上げ、わずか2年半で機電部門統括責任者に就任。
圧倒的な求職者様目線を強みに、多くの機電エンジニアの転職成功。現在は、機電部門統括責任者として、勝てる組織づくりと後進育成に邁進。
