「退職理由 嘘」と検索されたあなたは、「本当のことを言うと不利になりそうだ」「でも嘘がばれたらどうなるのか」と迷っているのではないでしょうか。
事実と異なる退職理由を述べることは、おすすめできません。ただし、本当のことをすべて話す必要もありません。事実の中から、何を話し、何を省くかを選ぶ作業が本来の準備です。
この記事では、IT・機電エンジニア専門の転職エージェントである私たちが、嘘が問題になる理由、発覚する経路、嘘とみなされない範囲、そして事実に基づいて伝える方法までを解説します。
結論:嘘は避け、事実の取捨選択で対応する
まず整理すべきは、「嘘」と「言わないこと」は別物だという点です。
要点は次の5つです。
・事実と異なる理由を述べることは、避けたほうが安全
・一方で、退職理由のすべてを話す義務があるわけではありません
・嘘は追加の質問や経歴の確認で発覚する可能性がある
・在籍期間や職歴といった事実の偽りは、特にリスクが大きい
・対応の基本は、事実の中から前向きな側面を選んで語ること
相談現場では「本音を言えないので、別の理由を作ろうと思っている」という声を聞きます。理由を作らなくても伝えられる形は、多くの場合あります。
退職理由の嘘が問題になる3つの理由
なぜ避けたほうがよいのか、順に見ていきます。
1. 追加の質問で矛盾が生じやすい
面接官は、退職理由を聞いたあとに掘り下げの質問をします。「その状況で、どのような対応をされましたか」「上長にはどう相談されましたか」といった形です。
作った理由には具体的な記憶がないため、答えに詰まるか、話が食い違います。一貫性の破綻は、理由の内容そのものより印象に影響します。
2. 入社後に説明が必要になる場面がある
配属後の面談や、上長との会話で退職理由に触れることがあります。面接で述べた内容と異なる説明をすると、信頼に関わります。
3. 経歴に関わる偽りは別の問題になり得る
理由そのものではなく、在籍期間や職歴、担当業務を偽った場合は扱いが異なります。応募書類の記載と事実に食い違いがあると、経歴詐称と判断される可能性があるとされます。
なお、記載した制度の内容は一般的な考え方の整理です。私たちはキャリアの専門家であり、法律の専門家ではありません。制度の解釈や個別の判断については、労働基準監督署、社会保険労務士、弁護士といった窓口にご相談ください。
嘘が発覚しやすい5つの経路
隠し通せると考えるのは現実的ではありません。想定される経路を挙げます。
| 経路 | 発覚し得る内容 |
| 面接での掘り下げ質問 | 理由の一貫性 |
| 応募書類との照合 | 在籍期間、職歴 |
| 社会保険の加入記録 | 在籍していた事実 |
| 源泉徴収票の提出 | 前職の在籍と給与 |
| 入社後の業務でのやり取り | 担当工程や技術の経験 |
社会保険の加入記録は残るとされ、在籍していた事実を伏せることは現実的ではないとされます。
とくに5つ目は見落とされがちです。 実務経験を大きく上乗せして伝えると、入社後の業務で説明がつかなくなります。
「嘘」と「言わないこと」の違い
すべてを話す必要はありません。境界を整理します。
| 対応 | 内容 | 判断 |
| 事実と異なる理由を述べる | 実際にない出来事を語る | 避けるべき |
| 経歴の期間や職種を偽る | 在籍期間や担当を変える | 避けるべき |
| 複数ある理由の一部を述べる | 主要な理由を選んで話す | 問題なし |
| 個人への不満を述べない | 体制の話に置き換える | 問題なし |
| 詳細を求められるまで話さない | 聞かれた範囲で答える | 問題なし |
退職の理由が複数ある場合、そのうち最も説明しやすいものを選んで述べることは、嘘にはあたりません。
たとえば「上長との関係」と「担当工程の狭さ」の両方が理由なら、後者を軸に語れば十分です。 どちらも事実だからです。
事実に基づいて伝える3ステップ
嘘をつかずに伝えるには、順序があります。
・ステップ1:退職理由を、評価を交えず事実として書き出す
・ステップ2:その中から、次のキャリアにつながるものを選ぶ
・ステップ3:選んだ理由を、未来形で述べる
ステップ1:事実として書き出す
「上司が理不尽だった」ではなく「設計方針の決定過程が共有されていなかった」という形にします。評価を含む言葉を、起きた出来事に置き換えます。
ステップ2:つながるものを選ぶ
書き出した中から、応募先で実現したいことに接続する項目を選びます。すべてを述べる必要はありません。
ステップ3:未来形で述べる
過去の不満が主語だと批判に聞こえ、次の目標が主語だと意欲に聞こえます。同じ事実でも、視点の置き方で受け取られ方が変わります。
退職理由の伝え方に迷っている方へ
経験豊富なアドバイザーが、これまでのキャリアを丁寧にヒアリングします。まずは情報収集の一環として話を聞いてみたいという方も歓迎です。
言いにくい理由の伝え方【状況別の例文】
嘘をつきたくなる場面ほど、伝え方の型が役に立ちます。
人間関係が理由の場合
個人への言及を避け、体制や仕組みの話として述べます。
例文
「前職では設計と製造の連携が少なく、手戻りが発生することがありました。部門をまたいだ調整の必要性を感じており、今後は連携を前提とした体制で開発を進めたいと考えております。」
労働時間が理由の場合
事実として述べ、改善に向けて動いた点を添えます。
例文
「繁忙期に業務が集中し、月の後半に負荷が偏る状況が続いておりました。工数見積もりの精度を上げる提案を行いましたが、体制上の制約から改善に至りませんでした。計画的に進められる環境で品質にも時間を割きたいと考えております。」
評価や待遇が理由の場合
金額の不満ではなく、制度の観点で述べます。
例文
「評価制度が整備されておらず、担当範囲が広がっても処遇に反映される仕組みがありませんでした。成果や担当工程が評価に結びつく環境で取り組みたいと考えております。」
体調が理由の場合
回復していることと、業務に支障がないことを簡潔に伝えます。
例文
「体調を崩し、療養のため退職いたしました。現在は回復しており、就業に支障はございません。前職で担当していた設計業務に、あらためて取り組みたいと考えております。」
体調に関する詳細を述べる必要はありません。なお症状や治療については、私たちは医療の専門家ではありません。就業の可否については、必ず主治医の判断に従ってください。
会社都合による退職の場合
事実をそのまま述べて構いません。伏せる必要のない事柄です。
例文
「事業の再編に伴い、部門が縮小されることとなりました。担当していた組込制御の開発を継続したいと考え、転職活動を行っております。」
嘘をつかずに済む準備チェックリスト【8項目】
面接前に、次の項目を確認してください。
□ 退職理由を、評価を交えず事実として書き出した
□ 複数ある理由のうち、話す軸を1つに決めた
□ その理由が、応募先の環境で解消されるか確認した
□ 掘り下げ質問への回答を用意した
□ 個人への言及が含まれていないか確認した
□ 応募書類の記載と説明が一致している
□ 在籍期間と担当業務を正確に記載した
□ 志望動機と退職理由に矛盾がない
判定の目安は次のとおりです。
・6項目以上該当:面接に臨める状態です
・4〜5項目:不足分を整理してください
・3項目以下:ステップ1の書き出しから、もう一度整理し直すことをおすすめします
3項目目が抜けていると、面接官から「では当社ではどうか」と問われた際に答えられません。
嘘をついてしまった場合の対応
すでに事実と異なる説明をしてしまった場合、取れる手段はあります。
| 気づいた時点 | 対応の方法 |
| 面接中 | その場で「補足させてください」と述べ、訂正する |
| 面接直後 | 礼のメールで簡潔に補足する |
| 選考中 | 次の面接の機会に、あらためて説明する |
| 内定後 | 入社前に企業へ相談する |
例文(その場で訂正する場合)
「先ほどの退職理由について、補足させてください。正確には、担当工程が限定されていたことが主な理由でした。説明が不十分で申し訳ございません。」
取り繕うより、事実を足すほうが自然に収まります。 訂正したこと自体が問題視されるより、矛盾を放置するほうが影響します。
データで見る|エンジニアの転職市場
嘘をつく必要がないことを裏づける材料として、市場の状況も確認しておきます。
| 指標 | 数値(目安) |
| 情報処理・通信技術者の有効求人倍率 | 1.43倍 |
| 全職業計の有効求人倍率 | 1.12倍 |
| IT人材の不足見込み | 2030年に最大約79万人 |
| システムエンジニア(Webサービス開発)の平均年収 | 約574万円 |
| システムエンジニア(基盤システム)の平均年収 | 約684万円 |
| 給与所得者全体の平均年収 | 約478万円 |
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」(2025年11月)
出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年公表)
出典:厚生労働省「job tag/システムエンジニア(Webサービス開発)」(令和6年賃金構造基本統計調査に基づく)
出典:国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」
情報処理・通信技術者の有効求人倍率は、全職業計を上回っています。理由を偽ってまで1社に合わせる必要性は、高くないという見方ができます。
上記はIT系職種の数値です。機械設計、回路設計、生産技術などの機電系職種には、分野が異なるためそのまま当てはめられません。機電系の需給は別途の確認が必要です。
なお、退職理由の申告に関する実態を示す統計については、本記事のテーマに直接対応するものが確認できなかったため掲載を控えています。
「本当のことは言えない」と感じたときの3つの選択肢
事実を話せないと感じる場合、原因は伝え方ではないかもしれません。
・選択肢1:事実と評価を分けて書き出し、表現を整理する
・選択肢2:応募先の選び方を見直し、条件の合う企業を探す
・選択肢3:転職の目的そのものを整理し直す
判断の分かれ目は、話せないと感じる原因が「表現が見つからないこと」にあるのか、「応募先が自分の希望と合っていないこと」にあるのかという切り分けです。
| 状態 | 向いている選択肢 |
| 理由は明確だが言葉にできない | 選択肢1 |
| 応募先で同じ状況が起きそうだ | 選択肢2 |
| 何を求めているか自分でも曖昧 | 選択肢3 |
表現の問題であれば、書き出す作業で解決します。応募先が合っていない場合、理由を偽って入社しても同じ状況が繰り返される可能性があります。
面談の場では「この理由では通らないと思う」とおっしゃる方に、詳しく状況を伺うことがあります。事実を整理すると、伝えられる形になるケースは少なくありません。
これは傾向の整理であり、当てはまらないから間違いということではありません。
制度に関わる注意点
本記事で触れた経歴の申告と社会保険の記録は、制度に関わる領域です。記載した内容は一般的な考え方の整理であり、個別の判断を示すものではありません。
労働条件は書面などによって明示されることとされています。入社後に説明と異なる状況が生じた場合の取扱いについても、定めがあるとされます。
私たちはキャリアの専門家であり、法律の専門家ではありません。次の窓口が相談先となります。
・経歴の申告や契約に関する疑問:弁護士
・就業規則や社会保険の取扱い:社会保険労務士、年金事務所
・労働条件の相違や未払い賃金:労働基準監督署
伝えられる形を、一緒に整理しませんか
市場価値を客観的に評価したうえで、納得のいく選択肢を一緒に考えます。今の悩みの相談だけでもかまいません。
まとめ
・事実と異なる退職理由は、掘り下げ質問や経歴の確認で発覚し得る
・一方で、退職理由のすべてを話す義務はない
・複数ある理由のうち、説明しやすいものを選ぶことは嘘にあたらない
・在籍期間や職歴の偽りは、経歴詐称と判断される可能性があるとされる
・話せないと感じる原因が表現の問題か、応募先との不一致かを切り分ける
よくある質問
退職理由に嘘をついても大丈夫ですか?
おすすめできません。掘り下げの質問で矛盾が生じやすく、入社後に説明が必要になる場面もあります。ただし理由のすべてを話す義務はないため、複数ある理由から説明しやすいものを選んで述べる形で対応してください。
退職理由の嘘はどうやってばれますか?
面接での掘り下げ質問、応募書類との照合、入社後の業務でのやり取りなどが考えられます。在籍期間については、社会保険の加入記録が残るとされるため、伏せることは現実的ではないとされます。
人間関係が理由の場合、正直に言うべきですか?
体制や仕組みの話に置き換えて述べてください。個人への評価に踏み込むと、聞き手は判断材料を持てません。部門間の連携が少なかったといった業務上の事実として語れば、嘘をつかずに伝えられます。
理由の一部だけを話すのは嘘になりますか?
なりません。退職の理由が複数ある場合、そのうちの一つを軸に語ることは事実の説明です。聞かれた範囲で答え、詳細を求められた際に補足する形で問題ありません。
面接で嘘をついてしまいました。どうすればよいですか?
気づいた時点で訂正してください。面接中であれば「補足させてください」と述べ、直後であれば礼のメールで簡潔に伝えます。取り繕うより事実を足すほうが自然です。矛盾を放置するほうが影響します。
体調が理由の退職は正直に伝えるべきですか?
伝えて構いません。回復していることと、就業に支障がないことを簡潔に述べれば十分です。症状の詳細を話す必要はありません。就業の可否については、必ず主治医の判断に従ってください。
この記事の執筆者

AIdeaCareerMedia編集部
主にIT・機電エンジニアに特化した転職事情に関する有益な情報を発信するメディアの編集部です。転職者であれば転職市場や選考での対策、企業の採用担当者様であればエンジニア人材の採トレンド等の「エンジニアに携わる転職・採用」の情報を提供します。
この記事の監修者

人材紹介事業部 事業統括責任者 堀 凌也
関西学院大学卒業後、新卒で当社入社。入社直後よりリクルーティングアドバイザーとしてトップクラスの成績を収め、組織内最年少で拠点責任者に抜擢。
現在は求職者への価値提供と企業の採用課題解決を両立する事業統括責任者として、組織の急成長と人材育成を牽引。
