「面接 何社受けたか」と検索されたあなたは、「正直に言って印象が悪くならないか」「少なすぎても多すぎても不利ではないか」と迷っているのではないでしょうか。
この質問には、正直に答えて問題ありません。面接官が知りたいのは社数そのものではなく、応募先に一貫した軸があるかどうかと、自社が本命に近い位置にあるかどうかです。
この記事では、IT・機電エンジニア専門の転職エージェントである私たちが、質問の意図、答え方の3ステップ、社数別の回答例文、そして関連する追加質問への対応までを解説します。
結論:社数より「軸の一貫性」が見られている
質問の狙いを押さえると、答え方は自然に定まります。
要点は次の5つです。
・応募社数に正解の数はなく、多い少ないだけで評価は決まらない
・面接官が確認しているのは、応募先に共通する方向性があるかどうか
・社数を述べたあとに、選んでいる基準を一言添えるのが基本の型です
・虚偽の申告は、後の質問で整合性が取れなくなる可能性がある
・答えたくない場合も、無回答ではなく方針を述べる形にする
相談現場では「1社だけと答えたら、志望度が高いと伝わるのではないか」というご質問をいただきます。実際には、比較検討していないことを不安視される場合もあります。 社数の多寡より、説明できるかどうかが分かれ目です。
面接官がこの質問をする3つの意図
理由を知ると、答えるべき方向が見えてきます。
1. 応募の軸が定まっているかを見ている
複数社を受けていること自体は当然です。ただし応募先の業種や職種がばらばらであれば、何を求めているのかが読み取れません。
IT系と機電系の両方に応募している、開発職と営業職を並行して受けている。こうした状態では、志望動機の説得力が下がります。
2. 自社の位置づけを把握したい
採用側は、内定を出した場合に承諾してもらえるかを見積もっています。他社の選考が先に進んでいれば、日程を調整する判断材料にもなります。
3. 選考の進捗を確認したい
内定が出ている企業があれば、回答期限が発生します。企業側も選考のペースを調整する必要があります。
この質問は、応募者を試すためではなく、実務的な確認として行われることが多いものです。
答え方の3ステップ
型があります。この順で述べれば、過不足なく伝わります。
・ステップ1:社数を簡潔に述べる
・ステップ2:応募先に共通する軸を一言添える
・ステップ3:現在の選考の進捗を必要な範囲で伝える
ステップ1:社数を述べる
正確な数を述べます。「3社です」「4社ほど応募しております」といった形で構いません。
ステップ2:軸を添える
ここが最も重要です。社数だけで終えると、情報量が不足します。
たとえば「いずれも組込制御の開発に携われる企業に絞っております」「自社製品を持つメーカーを中心に検討しております」といった形です。
軸を述べることで、社数の多寡にかかわらず一貫性が伝わります。
ステップ3:進捗を伝える
聞かれた範囲で答えます。企業名を明かす必要はありません。「1社は二次選考が進んでおります」といった程度で十分です。
社数別の回答例文
状況によって、補足すべき内容が変わります。
1社のみの場合
「現時点では御社のみに応募しております。前職では詳細設計以降を担当しておりましたが、要件定義(システムに必要な機能や条件を決める工程)から関われる環境を探しており、条件に合う求人が限られておりました。」
社数が少ない理由を添えると、消極的な印象を避けられます。
2〜3社の場合
「3社に応募しております。いずれも自社製品の開発に携われるメーカーに絞っており、御社は組込制御の領域で最も関心を持っている一社です。」
最も答えやすい社数です。軸を述べるだけで十分に伝わります。
4〜6社の場合
「5社に応募しております。機械設計の中でも、構想段階から量産立ち上げまで担当できる企業を条件としております。うち1社は二次選考が進んでおります。」
社数が増えるほど、軸の説明が重要になります。
7社以上の場合
「7社に応募しております。幅広く情報を集めたいと考え、まずは業界の異なる企業も含めて応募いたしました。選考を進める中で、自社開発に長く関われる環境という条件が固まってきております。」
多い場合は、探索段階であることを率直に述べる形が自然です。
内定が出ている場合
「4社に応募しており、1社から内定をいただいております。回答期限は○月○日です。ただし御社の選考結果を確認したうえで判断したいと考えており、期限の調整も相談しております。」
内定の有無は隠さないほうが実務的です。日程調整の材料になります。
面接での答え方に不安がある方へ
経験豊富なアドバイザーが、これまでのキャリアを丁寧にヒアリングします。まずは情報収集の一環として話を聞いてみたいという方も歓迎です。
答え方の可否【比較表】
判断に迷う場面を整理します。
| 状況 | 推奨する対応 | 理由 |
| 社数を聞かれた | 正確に答える | 虚偽は後の質問で矛盾しやすい |
| 企業名を聞かれた | 業種や職種で答える | 名称の開示義務はない |
| 内定の有無を聞かれた | 事実を伝える | 日程調整の材料になる |
| 志望順位を聞かれた | 現時点の考えを述べる | 曖昧な表現は印象を損なう |
| 不採用の経緯を聞かれた | 簡潔に述べる | 詳細を語る必要はない |
企業名については、伝えたくない場合に無理に述べる必要はありません。「同じ組込領域のメーカーを中心に」といった説明で十分に伝わります。
虚偽を述べないほうがよい理由
社数を多く見せたい、少なく見せたい。どちらの動機も理解できますが、避けたほうが安全です。
・追加の質問で、話に矛盾が生じやすい
・入社日の調整で、選考状況の説明が必要になる場合がある
・応募書類の記載と説明に食い違いがあると、経歴詐称と判断される可能性があるとされる
社数は、事実を述べたうえで軸を添えれば十分に説明できます。 数を偽る必要のある場面は、実務上ほとんどありません。
関連して聞かれやすい質問と答え方
社数の質問には、追加の質問が続くことがあります。あらかじめ備えておくと落ち着いて対応できます。
| 追加質問 | 答え方の方向性 |
| 他社はどのような企業ですか | 業種と職種で答える |
| 当社は何番目の志望ですか | 現時点の関心の高さを具体的に述べる |
| 他社で不採用になった理由は | 簡潔に述べ、改善した点を添える |
| いつまでに決めたいですか | 希望時期と理由を伝える |
| 内定が出たら承諾しますか | 判断基準を述べる |
志望順位を聞かれた場合
「第一志望群です」といった曖昧な表現は避けます。現時点の状況を率直に述べるほうが自然です。
回答例
「複数社を検討しておりますが、構想設計から関われる体制という点で、御社に最も関心を持っております。」
内定承諾を聞かれた場合
その場で確約する必要はありません。判断の基準を述べる形にします。
回答例
「担当できる工程の範囲を最も重視しております。本日伺った内容を踏まえて、前向きに検討したいと考えております。」
応募社数の目安はあるのか
「何社受けるべきか」という疑問も生じます。統一された正解はありません。
判断材料になるのは次の3つです。
・希望条件を満たす求人が、どの程度存在するか
・1社あたりの準備にかけられる時間
・在職中か離職中かという状況
条件が明確であるほど、応募先は絞られます。逆に条件が定まっていない段階では、社数が増えやすくなります。
なお、転職者の平均応募社数を示す統計については、本記事のテーマに直接対応するものが確認できなかったため掲載を控えています。
面接前チェックリスト【8項目】
面接に臨む前に、次の項目を確認してください。
□ 現在の応募社数を正確に把握している
□ 応募先に共通する軸を一言で説明できる
□ 選考が進んでいる企業の進捗を把握している
□ 内定がある場合、回答期限を確認している
□ 企業名を伏せる場合の言い換えを用意している
□ 志望順位を聞かれた場合の回答を用意している
□ 応募先の業種や職種にばらつきがないか確認した
□ 入社希望時期を答えられる
判定の目安は次のとおりです。
・6項目以上該当:面接に臨める状態です
・4〜5項目:不足分を当日までに整理してください
・3項目以下:応募状況を一覧に整理してから臨むことをおすすめします
7項目目が抜けている方が少なくありません。応募先の一覧を見返し、共通点を言葉にできるか確認してください。
データで見る|エンジニアの転職市場
応募社数を考える前提として、市場の状況も確認しておきます。
| 指標 | 数値(目安) |
| 情報処理・通信技術者の有効求人倍率 | 1.43倍 |
| 全職業計の有効求人倍率 | 1.12倍 |
| IT人材の不足見込み | 2030年に最大約79万人 |
| システムエンジニア(Webサービス開発)の平均年収 | 約574万円 |
| システムエンジニア(基盤システム)の平均年収 | 約684万円 |
| 給与所得者全体の平均年収 | 約478万円 |
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」(2025年11月)
出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年公表)
出典:厚生労働省「job tag/システムエンジニア(Webサービス開発)」(令和6年賃金構造基本統計調査に基づく)
出典:国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」
情報処理・通信技術者の有効求人倍率は、全職業計を上回っています。求人数が一定数ある状況では、条件を絞って応募社数を抑える進め方も現実的だという見方ができます。
上記はIT系職種の数値です。機械設計、回路設計、生産技術などの機電系職種には、分野が異なるためそのまま当てはめられません。機電系の需給は別途の確認が必要です。
答えづらいと感じたときの3つの選択肢
質問に答えにくいと感じる場合、原因は表現の問題ではないかもしれません。
・選択肢1:応募先の一覧を見直し、共通の軸を言語化する
・選択肢2:条件の優先順位を3つに絞り、応募先を整理する
・選択肢3:転職の目的そのものを整理し直す
判断の分かれ目は、答えにくさの原因が「説明の準備不足」にあるのか、「応募の軸が定まっていないこと」にあるのかという切り分けです。
| 感じている状況 | 向いている選択肢 |
| 軸はあるが言葉にできていない | 選択肢1 |
| 応募先の業種や職種がばらばら | 選択肢2 |
| 何を求めているか自分でも分からない | 選択肢3 |
準備不足であれば、書き出す作業で解決します。軸が定まっていない場合、回答を作り込んでも追加質問で崩れます。
面談の場では「応募社数を答えるのが怖い」とおっしゃる方に、応募先を一覧にして伺うことがあります。並べてみると共通点が見つかることも多く、それがそのまま面接での回答になります。
これは傾向の整理であり、当てはまらないから間違いということではありません。
選考時の質問に関する注意点
応募社数や選考状況の確認は、通常の選考質問の範囲です。一方で、採用選考においては、本人の適性や能力に関係のない事項を把握することは不適切とされています。
思想信条、宗教、家族の状況など、業務と関係のない領域に質問が及んだ場合は、回答を控えることも選択肢です。対応に迷う場合は、都道府県労働局やハローワークの相談窓口をご利用ください。
私たちはキャリアの専門家であり、法律の専門家ではありません。制度の解釈や個別の判断については、社会保険労務士や弁護士といった窓口にご相談ください。
応募の軸を、一緒に整理しませんか
市場価値を客観的に評価したうえで、納得のいく選択肢を一緒に考えます。今の悩みの相談だけでもかまいません。
まとめ
・応募社数に正解はなく、多い少ないだけで評価は決まらない
・面接官が見ているのは、応募先に一貫した軸があるかどうか
・答え方の型は「社数→軸→進捗」の3ステップ
・虚偽は追加質問で矛盾が生じやすく、避けたほうが安全
・答えにくさの原因が準備不足か、軸の未整理かを切り分ける
よくある質問
面接で何社受けたか正直に答えるべきですか
正直に答えて問題ありません。面接官が知りたいのは社数そのものではなく、応募先に一貫性があるかどうかです。虚偽を述べると追加の質問で矛盾が生じやすくなります。社数のあとに、選んでいる軸を一言添えてください。
1社しか受けていない場合、不利になりますか
不利にはなりません。ただし比較検討していないことを不安視される場合はあります。条件に合う求人が限られていた、といった理由を添えると、消極的な印象を避けられます。社数の少なさ自体が問題ではありません。
応募社数が多いと志望度が低いと思われませんか
社数だけで判断されることは多くありません。重要なのは応募先に共通する軸があるかどうかです。業種や職種がばらついていると説明が難しくなるため、応募先を絞るか、探索段階である旨を率直に述べてください。
他社の企業名を答える必要はありますか
答える必要はありません。業種や職種で説明すれば十分です。「同じ組込領域のメーカーを中心に」といった形で伝えれば、応募の軸も同時に示せます。名称を伏せることが不利になることはほとんどありません。
内定が出ていることは伝えるべきですか
伝えることをおすすめします。企業側が選考日程を調整する材料になるためです。回答期限も併せて伝えると、現実的な進行が可能になります。隠したまま進めると、入社日の調整で説明が必要になります。
「当社は何番目の志望ですか」と聞かれたらどう答えますか
現時点の状況を率直に述べてください。「第一志望群です」といった曖昧な表現は、かえって印象を損ないます。複数社を検討している旨を伝えたうえで、応募先のどこに最も関心を持っているかを具体的に述べる形が自然です。
この記事の執筆者

AIdeaCareerMedia編集部
主にIT・機電エンジニアに特化した転職事情に関する有益な情報を発信するメディアの編集部です。転職者であれば転職市場や選考での対策、企業の採用担当者様であればエンジニア人材の採トレンド等の「エンジニアに携わる転職・採用」の情報を提供します。
この記事の監修者

人材紹介事業部 事業統括責任者 堀 凌也
関西学院大学卒業後、新卒で当社入社。入社直後よりリクルーティングアドバイザーとしてトップクラスの成績を収め、組織内最年少で拠点責任者に抜擢。
現在は求職者への価値提供と企業の採用課題解決を両立する事業統括責任者として、組織の急成長と人材育成を牽引。
