求人票の嘘は違法?よくある7つのパターンと入社前の見抜き方を解説

求人票の嘘は違法?よくある7つのパターンと入社前の見抜き方を解説

「求人票 嘘」と検索したあなたは、応募を考えている求人の内容を、そのまま信じてよいのか迷っているのではないでしょうか。

あるいは、入社してみたら聞いていた話と違った、という状況かもしれません。

求人票と実態のズレの多くは、明確な虚偽ではなく「事実の一部だけを切り取った書き方」から生まれます。一方で、労働条件の明示ルールに触れる可能性があるケースも一部に存在するとされます。

この記事では、IT・機電エンジニア専門の転職エージェントである私たちが、よくあるズレのパターン、応募前の見抜き方、入社後に条件が違ったときの対処法を解説します。

結論:求人票の「嘘」の多くは、虚偽表示ではなく書き方のグレーゾーン

先に結論をお伝えします。求人票の内容と実態がずれる原因は、意図的な虚偽よりも「間違ってはいないが、都合のよい面だけを書いている」表現に集中しています。だからこそ、読み手側で確認する余地が残されています。

・年収・残業・勤務地は、範囲や平均値で書かれるため実態と幅が出やすい
・「自社開発」「上流工程」は、会社の実績と個人の担当範囲が混同されやすい
・労働条件の明示は求人を出す側の義務とされ、事実と異なる場合の申出先も用意されている
・応募前の求人票読解と、面接での確認質問で、ズレの多くは事前に潰せる
・入社後に条件が違った場合も、社内での是正、公的窓口への相談、転職の3つの選択肢がある

すべての求人票が意図的に嘘をついているわけではありません。掲載枠の文字数制限や、部署ごとの実態差が原因で、結果的に説明不足になっている求人も少なくありません。

そもそも求人票と実際の条件が違うのは違法?

結論から言えば、事実と異なる労働条件を示して募集する行為は、法令上問題となる可能性があるとされます。ただし、どこからが違法かの線引きは個別事情によって変わります。

なお、私たちはキャリアの専門家であり、法律の専門家ではありません。以下は一般的な考え方の整理であり、個別の判断は必ず専門機関にご確認ください。

労働条件の明示は、求人を出す側の義務とされる

求人を出す企業や職業紹介事業者には、賃金・労働時間・業務内容などを明示する義務があるとされます。また、募集時に示した条件を後から変更する場合には、その旨を明示する必要があるとされます。「求人票はあくまで目安」という説明が、無条件に通るわけではないという点は押さえておきたいところです。

条件が事実と異なる場合、労働者は契約を解除できるとされる

労働契約の締結時に示された条件が事実と相違していた場合、労働者は即時に労働契約を解除できるとされます。入社後にギャップが判明した場合、この扱いが論点になることがあります。

ただし「嘘」と「解釈の幅」の境界は曖昧

一方で、「アットホームな職場」「風通しがよい」といった主観的な表現は、事実確認になじみません。「月給30万円以上」の「以上」や、「年収400万〜700万円」のレンジ表記も、それ自体が違法とは限りません。問題になりやすいのは、金額・時間・勤務地といった数値や事実で確認できる項目のほうです。

条件面で明らかな相違があると感じた場合は、労働基準監督署、都道府県労働局の総合労働相談コーナー、弁護士や社会保険労務士といった専門窓口への相談をご検討ください。

求人票によくあるズレ7パターン【一覧表】

私たちが相談現場で耳にするギャップは、いくつかの型に集約されます。まず一覧で全体像を確認してください。

求人票の表現実態としてよくあること確認したいこと
年収400万〜800万円上限は管理職・最上位グレードの金額自分の経験年数での想定レンジ
月給35万円(固定残業代含む)固定残業代を除くと基本給が想定より低い固定残業代の金額と対応時間数
残業月平均20時間全社平均で、配属部署は別水準配属予定部署の直近実績
自社開発自社サービスと受託・常駐が混在募集ポジションが関わる事業
上流工程に携われる会社としての実績で、担当は数年後入社1年目に任される工程
フルリモート可試用期間後・特定案件のみ適用適用条件と現在の出社頻度
未経験歓迎・研修充実研修は座学数日で、以降は現場任せ研修期間と内容、配属後の体制

1. 年収は「最大値」で書かれている

求人票の年収レンジは、募集する等級の上限まで含めて記載されるのが一般的です。上限額は在籍者の最高値に近く、平均値ではありません。レンジを見るときは、上限ではなく下限を自分の生活基準で判断してください。「その金額が提示されるのは、どの経験・役割の方ですか」と聞けば、実質的な提示額の目安がつかめます。

2. 残業時間は「平均値」で書かれている

「残業月平均20時間」は、全社員の平均であることが少なくありません。エンジニア職の場合、プロジェクトの繁忙期と閑散期の差が大きく、平均値では実感とずれます。確認すべきは平均ではなく、直近1年で最も忙しかった月の残業時間と、その頻度です。

3.「自社開発」の内訳に受託・常駐が含まれる

自社サービスを持ちながら、事業の大半は受託開発やSES(客先常駐型の契約形態)という企業は珍しくありません。求人票の「自社開発」は会社の事業内容であり、募集ポジションの配属先とは限らない点に注意が必要です。「自社開発と書いてあったのに、入社後は客先常駐だった」という相談は、私たちのもとにも継続的に寄せられています。

4.「リモート可」に条件が付いている

リモート勤務は、試用期間終了後に適用、案件によって不可、週1回は出社必須といった条件付きで運用されているケースがあります。機電系では、実機検証や設備が絡む工程はそもそも在宅化が難しく、設計フェーズのみ在宅可という形も見られます。求人票の「可」は「常時可」を意味しないことがあります。

5.「上流工程に携われる」の主語が会社になっている

要件定義(システムに必要な機能や条件を決める工程)や構想設計といった上流工程は、多くの場合、経験を積んだ人が担当します。求人票の記載は、会社としてその工程を受注しているという意味にとどまることがあります。確認すべきは、入社1年目に任される工程と、上流に移るまでの標準的な期間です。

6. 年間休日と実際の取得しやすさは別

年間休日125日という記載自体は事実でも、有給休暇の取得率や、繁忙期の休日出勤の有無までは表れません。特に設備保全や生産技術では、休日にラインを止めて作業する運用が入ることがあります。年間休日数と併せて、有給取得の実績を確認してください。

7.「未経験歓迎」「研修充実」の中身が書かれていない

未経験歓迎の求人で確認したいのは、研修の期間・内容と、配属後に誰が教えるのかという体制です。研修が数日の座学のみで、その後は現場に任せる運用であれば、実質的には独学に近くなります。研修制度の有無ではなく、配属後3か月の過ごし方を聞くほうが実態に近づきます。

データで見る|なぜ求人票は「盛られる」のか

背景には、エンジニア採用の競争環境があります。応募が集まりにくい市場では、条件の見せ方に工夫が入りやすくなります。

情報処理・通信技術者の有効求人倍率は1.43倍で、職業計の1.12倍を上回っています。求職者1人に対して求人が多い状態です。

出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」(2025年11月)

さらに、2030年には最大約79万人のIT人材が不足すると試算されています。採用難が続く前提で、求人票の表現が魅力優先になりやすい構造があります。

出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年公表)

年収レンジの幅が広くなる理由も、数字で確認できます。

指標金額(目安)
給与所得者全体の平均年収約478万円
システムエンジニア(ウェブサービス開発)の平均年収約574万円
システムエンジニア(基盤システム)の平均年収約684万円
システムエンジニアの20代前半約377万円
システムエンジニアの40代後半(ピーク)約760万円

出典:厚生労働省「job tag/システムエンジニア(Webサービス開発)」「job tag/システムエンジニア(基盤システム)」(令和6年賃金構造基本統計調査に基づく)
出典:国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」
出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」(システムエンジニアの年齢階級別賃金)

同じ職種でも、年代や担当領域で400万円近い開きがあります。「400万〜800万円」というレンジは、嘘ではなく、この開きをそのまま書いた結果であることが多いのです。

なお、上記はいずれもIT系職種の数値です。機械設計・回路設計・生産技術などの機電系は、職務内容も賃金水準も別体系のため、この数値は当てはまりません。

求人票の書き方だけでは判断がつかないとき

気になる求人が実態としてどうなのか、第三者の視点を挟むだけで見え方が変わることがあります。
経験豊富なアドバイザーが、これまでのキャリアを丁寧にヒアリングしたうえで、選択肢を一緒に整理します。
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応募前にできる|求人票チェックリスト15項目

求人票を開いたまま、次の項目を確認してください。空欄が多いほど、面接で聞くべきことが増えます。

□ 年収レンジの下限が、自分の希望額を下回っていないか
□ 固定残業代(みなし残業代)の金額と時間数が明記されているか
□ 固定残業を超えた分が別途支給されると書かれているか
□ 賞与が「支給実績」なのか「支給予定」なのかを区別しているか
□ 残業時間が全社平均か、配属予定部署の実績かがわかるか
□ 会社の事業内容と、募集職種の業務内容が対応しているか
□ 勤務地に「プロジェクトによる」といった但し書きがないか
□ 自社開発の場合、対象のサービスや事業が特定できるか
□ リモート勤務の頻度と、適用条件が書かれているか
□ 担当する工程が、どこからどこまでか書かれているか
□ 使用する技術・扱う設備が具体名で書かれているか
□ 年間休日数と、その内訳が書かれているか
□ 試用期間中の労働条件が、本採用後と同じか
□ 募集背景が増員か欠員補充かがわかるか
□ 同じ会社の求人が、媒体ごとに違う条件で出ていないか

空欄が3つ以上ある場合は、応募を見送る必要はありませんが、面接で必ず埋めてください。すべて埋まっている求人票は、それだけで情報開示に積極的な会社である可能性が高くなります。

面接で確認する|角が立たない質問例

条件確認は、聞き方次第で印象が変わります。「疑っている」ではなく「入社後を具体的に想像したい」という姿勢で聞くのが基本です。

確認したいこと質問例
実質的な提示年収私と同程度の経験の方は、入社時どのグレードになることが多いですか
固定残業代の扱い固定残業時間を超えた場合の運用を教えていただけますか
残業の実態直近1年で最も忙しかった月の残業時間はどのくらいでしたか
配属先の事業私が配属される可能性が高いのは、どの事業のどのチームでしょうか
担当工程入社1年目で任される工程と、その後の広がり方を教えてください
在宅勤務の運用現在、同じ職種の方は週何日ほど出社されていますか

面接で条件を細かく聞くと評価が下がるのでは、と心配される方は多くいらっしゃいます。ただ、相談現場の実感として、条件確認そのものを理由に不合格になったという報告はほとんど受けていません。むしろ、質問への回答が曖昧な企業のほうを、判断材料として見てください。

入社後に「話が違う」と気づいたときの3つの選択肢

すでに入社していて、条件が違うと感じている場合の打ち手を整理します。感情的に動く前に、事実を記録することから始めてください。

①社内で事実確認と是正を求める

まず、求人票・求人票の控え・労働条件通知書・雇用契約書を並べ、どの項目がどう違うのかを書き出します。そのうえで、上長や人事に確認します。配属や案件の都合による一時的な状態なのか、恒常的な運用なのかで、対応は変わります。この段階で解消するケースも実際にあります。

②公的な窓口に相談する

社内で解決しない場合、外部の窓口があります。相談先はそれぞれ役割が異なるとされます。

窓口相談できる内容の例
ハローワークの求人ホットラインハローワーク経由の求人と実際の条件が違う場合の申出
総合労働相談コーナー労働条件全般に関する相談の一次窓口
労働基準監督署賃金の未払いなど労働基準法に関わる相談
弁護士・社会保険労務士契約解除や損害賠償など個別の法的判断

繰り返しになりますが、私たちはキャリアの専門家であり、法律の専門家ではありません。法的な判断が必要な段階では、上記の専門窓口をご利用ください。

③転職を検討する

是正の見込みが立たない場合、環境を変える判断も現実的な選択肢です。このとき整理していただきたいのが、**ギャップの原因が「会社の選び方」にあるのか、「職種そのものへの適性」にあるのかという切り分けです。**前者であれば、同じ職種のまま体制の整った企業を探せば解決します。後者であれば、領域や職種そのものを見直したほうが早いこともあります。この見極めを飛ばすと、次の転職でも同じ違和感を抱えることになりかねません。

早期離職は経歴に不利になる?|相談現場で伝えていること

在籍期間が短いことを気にされる方は多いのですが、条件相違が理由である場合、説明の仕方で受け止められ方は変わります。私たちが伝えているのは、次の3点です。

・事実ベースで説明する。求人票の記載と実際の業務・条件の差を、具体的に示す
・感情表現ではなく数値で伝える。「聞いていた残業時間の3倍だった」など
・在籍中に取り組んだことを併せて示す。短期間でも改善提案や成果は残せる

在籍期間の長短だけで一律に判断されるわけではありません。ただし、退職理由を会社批判で終わらせると、選考で評価されにくくなります。「何を確認せずに入社してしまったか」という反省と、「次はどう見極めるか」をセットで語れる方は、選考でも納得されやすい傾向があります。

求人票の情報を、第三者に補ってもらうという選択肢

求人票に書かれていない情報を、応募者が一人で集めるには限界があります。配属部署の残業実態、常駐比率、リモートの運用ルールといった項目は、公開情報からはまず読み取れません。

私たちは、労働条件・労働環境を独自に審査した求人のみをご紹介しています。またIT・機電の両領域に特化しているため、SES・客先常駐から自社開発や社内SEへ移りたいという相談にも、実態を踏まえてお答えできます。フルリモート・リモート求人についても、適用条件まで確認したうえでご案内します。

求人票の読み方を身につけることと、確認済みの情報を持つ第三者を挟むこと。この2つを組み合わせるのが、ギャップを避ける最も現実的な方法です。

「この求人、本当のところどうなのか」を確かめたい方へ

気になる求人の見極めだけでも、労働環境の実態からお答えできることがあります。
初回面談はウェブまたは電話で約20分、情報収集の一環として話を聞いてみたいという方も歓迎です。
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まとめ

・求人票と実態のズレの多くは、明確な虚偽ではなく「一部だけを切り取った書き方」から生まれる
・労働条件の明示は求人を出す側の義務とされ、事実と異なる場合は契約解除や申出の道があるとされる
・年収の上限表記、残業の平均値、自社開発の内訳、リモートの適用条件は特にずれやすい
・応募前のチェックリストと、面接での具体的な質問で、ギャップの多くは事前に潰せる
・入社後に違いを感じた場合は、原因が会社の選び方か職種への適性かを切り分けてから動く

よくある質問

求人票の内容が実際と違ったら、訴えることはできますか

条件が事実と異なる場合、労働者側に契約解除などの手段があるとされます。ただし、訴訟に至るかどうかは相違の内容と証拠次第です。まずは求人票・労働条件通知書・給与明細を保管し、労働基準監督署や弁護士など専門窓口にご相談ください。私たちは法律の専門家ではないため、法的判断はお答えできません。

求人票と違う条件でも、雇用契約書にサインしたら覆せませんか

サインの有無だけで一律に決まるものではないとされます。契約時に示された条件と実際の労働条件が異なる場合は、別の論点として扱われることがあります。署名前に相違に気づいた場合は、その場で確認し、書面の修正を求めるのが確実です。判断に迷う場合は専門窓口をご利用ください。

入社前に条件を細かく聞くと、印象が悪くなりませんか

相談現場の実感として、条件確認を理由に不合格になったという報告はほとんど受けていません。入社後を具体的に想像したいという姿勢で聞けば、むしろ意欲として受け取られます。判断材料にすべきは、質問の可否ではなく、回答が具体的かどうかのほうです。

「固定残業代あり」の求人は避けるべきですか

固定残業代があること自体は問題ではありません。確認すべきは、金額と対応時間数が明記されているか、超過分が別途支給されるかの2点です。この2点が書かれていない求人は、記載内容を面接で必ず確認してください。制度の有無より、開示の姿勢を見るのが実務的です。

求人票のズレを理由に短期間で辞めた場合、次の転職に響きますか

在籍期間の短さだけで一律に評価が決まるわけではありません。条件相違という事実を、感情ではなく数値で説明できれば、理解されるケースは多くあります。併せて、短期間でも取り組んだ内容と、次に確認する基準を語れると、選考での納得感が高まります。

エージェント経由なら、求人票のズレは完全に防げますか

完全に防げると保証することはできません。ただし、求人票に書かれない配属実態や残業の実情を、事前に確認したうえでご案内することは可能です。私たちは労働条件・労働環境を独自に審査した求人のみを扱っており、確認しきれない点は正直にお伝えしています。

この記事の執筆者

AIdeaCareerMedia編集部

主にIT・機電エンジニアに特化した転職事情に関する有益な情報を発信するメディアの編集部です。転職者であれば転職市場や選考での対策、企業の採用担当者様であればエンジニア人材の採トレンド等の「エンジニアに携わる転職・採用」の情報を提供します。

この記事の監修者

人材紹介事業部 事業統括責任者 堀 凌也

関西学院大学卒業後、新卒で当社入社。入社直後よりリクルーティングアドバイザーとしてトップクラスの成績を収め、組織内最年少で拠点責任者に抜擢。
現在は求職者への価値提供と企業の採用課題解決を両立する事業統括責任者として、組織の急成長と人材育成を牽引。