「初めての転職」と検索したあなたは、何から手をつければよいのか、そもそも動くべきなのかで迷っているのではないでしょうか。初めての転職で最初にやるべきことは、求人を探すことではなく、今の不満が職場環境によるものか、仕事内容そのものによるものかを切り分けることです。 ここを曖昧にしたまま動くと、転職先で同じ不満を繰り返しやすくなります。この記事では、IT・機電エンジニア専門の転職エージェントである私たちが、判断の軸、進め方の6ステップ、年代別の考え方、初回特有の失敗までを順に解説します。
初めての転職で、まず決めるべき3つのこと
やることは多く見えますが、順番を守れば混乱しません。最初に決めるのは「転職するかどうか」ではなく、「何が解決すれば納得できるか」です。
- ①解決したい課題:給与、労働時間、仕事内容、人間関係、将来性のうち、どれが中心か
- ②譲れない条件と譲れる条件:すべてを満たす求人は存在しないという前提で線を引く
- ③動く時期:在職中に進めるのか、いつまでに結論を出すのか
相談の現場では、「とりあえず求人を見始めたが、良さそうな会社が多すぎて選べない」という声をよく聞きます。判断の軸が決まっていないため、比べる基準がない状態です。
そもそも今、転職すべきか|判断の3つの軸
転職は手段であり、目的ではありません。次の3点を確認してください。
軸1|その課題は、現職のままで解決できないか
異動の希望を出す、担当工程を変える、上長に業務量を相談するといった手段が残っていないかを確認します。動かずに解決するなら、それが最も負担の少ない選択です。
軸2|不満の原因は「職種」か「職場環境」か
ここが初回で最もつまずきやすい部分です。設計そのものが合わないのか、レビュー体制や納期の組み方が厳しいだけなのかで、選ぶべき次の一手は正反対になります。
- 原因が環境にある場合:同じ職種のまま、体制の整った企業を探すのが近道です
- 原因が仕事内容にある場合:領域や職種を変える選択を検討することになります
たとえば「客先常駐で経験が積みにくい」という悩みは環境要因に近く、同じ技術領域で自社開発や社内システム部門へ移ることで解消する例があります。一方で「そもそも仕様を詰める作業が苦手」であれば、企業を変えても状況は変わりにくくなります。
軸3|市場から見て、今の経験はどう評価されるか
自分の評価は、社内の物差しだけでは判断できません。同じ経験でも、業界や企業規模によって評価は変わります。ここは第三者の視点を借りると精度が上がります。
初めての転職で選べる4つの進め方
| 進め方 | 想定期間 | 向いている人 |
| ①現職での改善を先に試す | 1〜3か月 | 課題が環境要因に絞られている方 |
| ②在職中に自力で応募する | 3〜6か月 | 志望先が明確で、時間を確保できる方 |
| ③在職中にエージェントを併用する | 2〜6か月 | 情報収集から始めたい方、初回で不安が大きい方 |
| ④退職してから活動する | 状況により変動 | 心身の負荷が高く、両立が難しい方 |
①現職での改善を先に試す
メリット:環境が変わらない負担の少なさに加え、「試したが変わらなかった」という事実が、後の面接で説明材料になります。
注意点:期限を決めずに続けると時間だけが過ぎます。相談から2〜3か月で変化がなければ、次の手段に移る判断が必要です。
②在職中に自力で応募する
メリット:収入が途切れず、進め方を自分で決められます。
注意点:日程調整と書類作成をすべて自力で担うため、業務が繁忙期に入ると止まりやすくなります。
③在職中にエージェントを併用する
メリット:求人の紹介に加え、職務経歴書の添削や日程調整を任せられます。労働条件や体制について、求人票に書かれない部分を確認できる場合もあります。
注意点:担当者との相性はあります。合わないと感じたら、変更を申し出るか他社を併用してかまいません。
④退職してから活動する
メリット:準備と面接に時間を充てられます。
注意点:収入と社会保険の扱いが変わります。空白期間の説明も必要になるため、生活面の見通しを立ててから選ぶ判断が求められます。
初めての転職を進める6ステップ【ロードマップ】
この6つの順番を入れ替えないことが、初回でつまずかない最大のコツです。
ステップ1|経験の棚卸し
担当した工程、規模、使用した技術、成果を書き出します。まだ整える必要はありません。まず量を出すことが目的です。
ステップ2|転職の軸を決める
棚卸しをもとに、譲れない条件を3つ以内に絞ります。数が多いと選べなくなります。
ステップ3|情報収集と求人の確認
求人票では、職種名ではなく担当工程・体制・評価制度を見ます。同じ職種名でも実務範囲は企業ごとに異なります。
ステップ4|職務経歴書の作成
応募先ごとに強調点を変えます。初回はここに最も時間がかかるため、早めに着手してください。
ステップ5|面接
聞かれるだけの場ではありません。入社後の働き方を確かめる機会として使います。
ステップ6|内定確認と退職手続き
条件は口頭ではなく書面で確認します。退職の申し出は、就業規則と業務の引き継ぎを踏まえて進めます。
スケジュールと期間の目安
在職中に進める場合の一例です。
| 時期 | 主に進めること |
| 1か月目 | 棚卸し、軸の整理、情報収集 |
| 2か月目 | 職務経歴書の作成、応募開始 |
| 3か月目 | 面接、条件の確認 |
| 4か月目以降 | 内定確認、退職の申し出、引き継ぎ |
実際には、職種・時期・応募数によって大きく変わります。私たちの経験では、初回の方は棚卸しと書類作成に想定以上の時間がかかる傾向があります。
「転職の軸」の決め方【記入式】
そのまま書き込んで使ってください。
| 項目 | 絶対条件 | できれば満たしたい | 現職の状況 |
| 仕事内容・担当工程 | |||
| 年収・評価制度 | |||
| 労働時間・休日 | |||
| 勤務地・リモートの可否 | |||
| 教育・技術習得の機会 | |||
| 事業の安定性・将来性 |
書き終えたら、絶対条件の欄を3つ以内に絞り込みます。残った3つが、求人を比べるときの唯一の基準になります。 現職の状況を並べて書くことで、「本当に転職が必要な項目」も見えやすくなります。
転職の軸を、一人で決めきれないときは
経験豊富なアドバイザーが、これまでのキャリアを丁寧にヒアリングします。まずは情報収集の一環として話を聞いてみたいという方も歓迎です。
初めての職務経歴書・面接で見られていること
職務経歴書は「規模がわかる数字」を添える
初回の方に共通する不足は、成果が数値化されていない点です。「担当した」ではなく「どの規模で、何がどう変わったか」を書いてください。
- 改善前と改善後の比較(作業時間、不具合件数、歩留まりなど)
- 対象の規模(件数、拠点数、ラインの本数、利用者数)
- 体制(チーム人数、自分の役割、社外との関わり)
記入例として、「検査工程を改善した」ではなく「1日あたり約200件の目視検査工程を見直し、作業時間を短縮した」と書くと、読み手が水準を判断できます。
面接では「転職理由の一貫性」が見られる
不満を語ること自体は問題ありません。ただし、その不満が応募先で解決する理由まで結びついているかが確認されます。判断軸2の切り分けが、ここで効いてきます。
逆に、こちらから確認しておきたい質問例
- 入社後、どの工程をどこまで担当しますか
- 前任者は、どのような理由で異動または退職されましたか
- 技術習得や資格取得への支援制度はありますか
- 残業時間の実績は、部署単位でどの程度ですか
年代別に見る「初めての転職」の考え方
| 年代 | 評価されやすい点 | 進め方の要点 |
| 20代前半 | 学習意欲、順応性 | 領域変更も選択肢に入る。基礎を積める体制を優先 |
| 20代後半 | 実務3〜5年の経験値 | 経験を活かせる範囲で条件改善を狙いやすい時期 |
| 30代前半 | 専門性と一定の裁量経験 | 領域は維持し、担当範囲の広さで差をつける |
| 30代後半以降 | 専門性、後進の育成経験 | 未経験領域への大幅な転換は慎重に検討 |
あくまで傾向であり、年代で可能性を決めつける必要はありません。30代以降は、経験の年数よりも「何を任され、どう判断してきたか」の説明力が問われる場面が増えます。
データで見る転職市場|求人倍率と需要
初めての転職では、市場の状況を知っておくと判断が落ち着きます。
| 指標 | 数値(目安) |
| 有効求人倍率(職業計) | 1.12倍 |
| 有効求人倍率(情報処理・通信技術者) | 1.43倍 |
| 給与所得者全体の平均年収 | 約478万円 |
| 参考:システムエンジニア(ウェブサービス開発)の平均年収 | 約574万円 |
| 参考:システムエンジニア(基盤システム)の平均年収 | 約684万円 |
| 参考:年代別推移(システムエンジニア) | 20代前半 約377万円 → 40代後半 約760万円 |
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」(2025年11月)、国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」、厚生労働省「job tag/システムエンジニア(Webサービス開発)」「同(基盤システム)」(令和6年賃金構造基本統計調査に基づく)、厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」
なお、上記の年収はIT系の職種に関する数値です。IT系の数値をそのまま当てはめることはできません。全職業の指標としては、職業計1.12倍を参照してください。
また、2030年には最大約79万人のIT人材が不足するとの推計もあります。求人があること自体は事実ですが、応募すれば決まるという意味ではありません。数の多さは、選択肢が多いという意味に留めて受け取ってください。
出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年公表)
初めての転職でよくある失敗と注意点
- 求人を見ることから始めてしまう:軸がないまま比較し、決めきれずに止まる
- 年収だけで判断する:担当工程や体制を確認せず、同じ不満を繰り返す
- 1社だけ受けて結論を出す:比較対象がなく、条件の妥当性を判断できない
- 職務経歴書を使い回す:応募先ごとの強調点が伝わらない
- 退職を先に伝えてしまう:選択肢がない状態で交渉に臨むことになる
- 誰にも相談せず長期化する:市場での自分の位置がわからないまま時間が過ぎる
退職に関する手続きの注意
退職の申し出時期、有給休暇の扱い、社会保険や離職票の手続きなどは、就業規則や関連する法令に沿って進める必要があるとされます。
私たちはキャリアの専門家であり、法律の専門家ではありません。引き止めが強い、退職を認めてもらえない、契約内容に不安があるといった場合は、労働基準監督署、弁護士、社会保険労務士などの専門窓口へご相談ください。
初めての転職を、一人で抱え込む前に
市場価値を客観的に評価したうえで、納得のいく選択肢を一緒に考えます。今の悩みの相談だけでもかまいません。初回はオンラインまたは電話で20分程度から始められます。
まとめ
- 初めての転職は、求人探しより先に「不満の原因が環境か仕事内容か」を切り分ける
- 進め方は、現職での改善・自力での応募・エージェント併用・退職後の活動の4つ
- 手順は6ステップで、棚卸しと軸の決定を先に済ませることが混乱を防ぐ
- 職務経歴書では、規模と変化がわかる数字を必ず添える
- 退職手続きや法令に関わる不安は、専門窓口に確認する
よくある質問(FAQ)
初めての転職は在職中に進めるべきですか
在職中に進める方が選択肢は広くなります。収入が途切れず、条件が合わなければ現職に留まる判断もできるためです。ただし心身の負荷が高く両立が難しい場合は、生活面の見通しを立てたうえで退職を先にする選択もあります。
転職活動はどれくらいの期間がかかりますか
在職中の場合、3〜4か月程度を見込む方が多い印象です。職種、時期、応募数で変動します。初回は棚卸しと書類作成に時間がかかるため、余裕を持った計画をおすすめします。
経験3年未満でも転職できますか
可能性はあります。ただし実績よりも、学習の姿勢や担当した業務の理解度が見られる傾向があります。短期間で辞める理由を問われる場面もあるため、現職で試したことを説明できる状態にしておくと安心です。
転職すれば年収は上がりますか
上がる場合も、一時的に下がる場合もあります。職種や領域を変える転職では、下がるところから始まる例も少なくありません。年収の増減は求人と評価次第であり、上がると保証できるものではないと理解しておいてください。
エージェントは使ったほうがよいですか
初回で不安が大きい方には有効な選択肢です。書類の添削や日程調整を任せられ、求人票に出ない体制面を確認できる場合もあります。自力での応募と併用してかまいません。合わないと感じたら変更を申し出て問題ありません。
上司に強く引き止められたらどうすればよいですか
まずは退職の意思と時期を、書面を含めた形で明確に伝えることが基本とされます。感情的な応対は避け、引き継ぎの計画を示すと話が進みやすくなります。認められない、脅しに近い言動があるといった場合は、専門窓口への相談をご検討ください。
この記事の執筆者

AIdeaCareerMedia編集部
主にIT・機電エンジニアに特化した転職事情に関する有益な情報を発信するメディアの編集部です。転職者であれば転職市場や選考での対策、企業の採用担当者様であればエンジニア人材の採トレンド等の「エンジニアに携わる転職・採用」の情報を提供します。
この記事の監修者

人材紹介事業部 事業統括責任者 堀 凌也
関西学院大学卒業後、新卒で当社入社。入社直後よりリクルーティングアドバイザーとしてトップクラスの成績を収め、組織内最年少で拠点責任者に抜擢。
現在は求職者への価値提供と企業の採用課題解決を両立する事業統括責任者として、組織の急成長と人材育成を牽引。