求人票の嘘は訴えることができる?|法的手段と証拠・相談先をまとめて解説

求人票の嘘は訴えることができる?|法的手段と証拠・相談先をまとめて解説

「求人票 嘘 訴える」と検索したあなたは、入社前に聞いていた条件と実際が違い、会社の責任を問えないかと考えているのではないでしょうか。求人票と実態が異なる場合に法的手段を検討する余地はありますが、いきなり訴訟に進むのは現実的な選択ではありません。まずは証拠を揃え、行政の窓口に相談し、そのうえで手段を選ぶという順番があります。この記事では、IT・機電エンジニア専門の転職エージェントである私たちが、責任を問いやすいケース、証拠の集め方、相談先、訴える以外の選択肢を解説します。

最初にお伝えしておきます。私たちはキャリアの専門家であり、法律の専門家ではありません。この記事は一般的な考え方と進め方の整理であり、個別の法的判断は必ず弁護士などの専門家にご確認ください。

結論:訴える前に、確認すべき順番がある

法的手段を検討すること自体は可能です。ただし、いま最初にやるべきことは訴訟の準備ではありません。求人票の記載と実際の条件が、証拠で示せる形でどう違うのかを整理することが出発点です。

進め方を5段階で整理します。

・証拠を集める。求人票、労働条件通知書、雇用契約書、給与明細、勤怠記録
・違いを項目ごとに書き出す。賃金、労働時間、勤務地、業務内容の順で確認する
・社内で事実確認と是正を求める。ここで解消するケースも実際にあります
・行政の窓口に相談する。費用がかからず、対応の見通しが立ちやすい
・裁判外の解決手続きや法的手段を検討する。ここで初めて弁護士に相談する

この順番を飛ばすと、証拠が不十分なまま会社と対立し、結果的に何も得られないまま退職に至ることがあります。

そもそも求人票の嘘は法的に問題になる?

条件面での相違は、法令上の論点になり得るとされます。ただし、どこからが問題かの線引きは個別の事情で変わります。

労働条件の明示は求人を出す側の義務とされる

求人を出す企業や職業紹介事業者には、賃金・労働時間・業務内容などを明示する義務があるとされます。募集時に示した条件を後から変更する場合には、その旨を明示する必要があるとされます。「求人票はあくまで目安です」という説明が、無条件に通るわけではありません。

条件が事実と異なる場合、労働者は契約を解除できるとされる

労働契約の締結時に示された条件が事実と相違していた場合、労働者は即時に労働契約を解除できるとされます。入社後にギャップが判明したときの論点の1つになります。

ただし「嘘」と「解釈の幅」の境界は曖昧

一方で、「アットホームな職場」「風通しがよい」といった主観的な表現は、事実として検証できません。「月給30万円以上」の「以上」や、「年収400万〜700万円」のレンジ表記も、それ自体が直ちに問題となるわけではありません。争点になりやすいのは、金額・時間・勤務地といった、数字や事実で確認できる項目のほうです。

責任を問いやすいケースと、そうでないケース

すべての相違が同じように扱われるわけではありません。証拠との相性で整理してください。

相違の内容立証のしやすさ理由
提示された賃金と実際の支給額が違う比較的しやすい求人票と給与明細で数字を突き合わせられる
固定残業代の内訳が説明と異なる比較的しやすい契約書と明細で内訳を確認できる
明示された勤務地と実際の配属が違うしやすい部類配属辞令や交通費申請で確認できる
残業時間が説明と大きく違う条件次第勤怠記録があれば示せるが平均値の解釈が争点になる
業務内容が説明と違う難しい部類記載が抽象的だと相違の判断が分かれる
職場の雰囲気が聞いた話と違う極めて難しい主観的な表現は事実確認になじまない

上から3つは、書類だけで違いを示せる可能性があります。下の2つは、それ自体を単独で争うより、賃金や労働時間の相違と併せて主張するほうが現実的だと考えられます。

「訴える」とは具体的に何をすることか|4つの手段

訴えるという言葉には、性質の異なる複数の手続きが含まれています。目的が違うため、混同しないでください。

手段目的特徴
行政への申告・申出是正を促す費用がかからず個人でも進めやすいとされる
裁判外の解決手続き話し合いでの解決双方の合意が前提で強制力は限定的とされる
労働審判短期間での解決原則3回以内の期日で結論を目指す制度とされる
民事訴訟金銭の請求など時間と費用がかかるが判断が示される

多くの方が最初に想像するのは民事訴訟ですが、実務上まず検討されるのは上の2つです。会社に是正を求めたいのか、金銭的な補償を求めたいのか、契約を解消したいのか。求める結果によって、選ぶべき手段は変わります。

最初にやるべきこと|証拠の集め方チェックリスト

どの手段を選ぶにしても、証拠が土台になります。在籍中に手元で確保できるものから押さえてください。

□ 求人票の画面保存または印刷(掲載日がわかる状態)
□ 応募した求人媒体のページ保存
□ 求人票以外の募集情報(企業の採用ページなど)
□ 労働条件通知書
□ 雇用契約書
□ 内定通知書と、入社前のやり取りの記録
□ 給与明細(入社月から直近まで)
□ 勤怠記録または勤務時間がわかる資料
□ 配属先がわかる辞令や通知
□ 業務指示のやり取りの記録
□ 面接時に説明を受けた内容のメモ

求人票は掲載期間が終わると閲覧できなくなるため、気づいた時点で真っ先に保存してください。退職を決めてから探しても間に合いません。給与明細や勤怠記録も、在籍中のほうが取得しやすい書類です。

なお、記録を残す方法によっては社内規程に触れる場合があります。持ち出しの可否に不安がある場合は、相談先に確認したうえで進めてください。

手元の資料で何が言えるのか整理したい方へ

法的な判断は専門家の領域ですが、その前段でキャリアとしてどう動くかは別の問題です。
経験豊富なアドバイザーが、これまでのキャリアを丁寧にヒアリングしたうえで、選択肢を一緒に整理します。
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相談先の選び方|4つの窓口と役割の違い

窓口ごとに扱える範囲が異なるとされます。目的に合わない場所へ行くと、二度手間になります。

窓口主に扱う内容向いている状況
総合労働相談コーナー労働問題全般の一次相談どこに相談すべきか自体がわからない
労働基準監督署賃金未払いなど労働基準法に関わる事項賃金や労働時間に明確な問題がある
ハローワークの求人ホットライン紹介した求人と実際の条件の相違ハローワーク経由で応募した
弁護士・法テラス個別の法的判断と代理交渉金銭請求や契約解消を具体的に検討する

社会保険労務士は、労働・社会保険に関する手続きや制度面の相談先として知られています。制度の運用が適正かどうかを確認したい段階では、選択肢に入ります。

繰り返しになりますが、私たちはキャリアの専門家であり、法律の専門家ではありません。法的な判断が必要な段階では、必ず上記の専門窓口をご利用ください。費用が心配な場合、条件を満たせば無料の法律相談を利用できる制度があるとされます。

訴える前に知っておきたい3つの現実

進めるかどうかを決める前に、実際にかかる負担を把握してください。

時間と労力がかかる

手続きの種類によって期間は変わりますが、いずれも数か月単位の時間を要することがあります。その間、資料の準備や打ち合わせに労力を割く必要があります。転職活動と並行する場合、どちらも中途半端になるリスクがあります。

在籍中は関係が悪化しやすい

在籍したまま法的手段に進むと、社内での立場が難しくなることがあります。私たちの相談現場でも、「是正を求めた結果、社内で孤立してしまった」という声を聞くことがあります。在籍を続けたいのか、退職を前提にするのかを先に決めておくと、判断がぶれません。

得られる結果は期待と一致しないことがある

求める結果が「謝罪」や「反省」である場合、法的手段でそれが得られるとは限りません。手続きで扱われるのは、多くの場合、金銭や契約関係の整理です。何を回復したいのかを言語化しておくと、手段を選びやすくなります。

データで見る|差額を主張するときの考え方

金銭的な相違を主張する場合、金額の根拠が求められるとされます。求人票の記載と実際の支給額の差を、月額と年額の両方で整理してください。

そのうえで、提示された条件が市場水準からどう位置づけられるかも確認しておくと、話が整理しやすくなります。

指標金額(目安)
給与所得者全体の平均年収約478万円
システムエンジニア(ウェブサービス開発)の平均年収約574万円
システムエンジニア(基盤システム)の平均年収約684万円
システムエンジニアの20代前半約377万円
システムエンジニアの40代後半(ピーク)約760万円

出典:厚生労働省「job tag/システムエンジニア(Webサービス開発)」「job tag/システムエンジニア(基盤システム)」(令和6年賃金構造基本統計調査に基づく)
出典:国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」
出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」(システムエンジニアの年齢階級別賃金)

同じ職種でも年代と担当領域で400万円近い開きがあります。求人票のレンジが広いのはこの開きを反映したもので、幅の広さ自体が問題になるわけではありません。争点になるのは、示された金額と実際の支給額の差のほうです。

上記はいずれもIT系職種の数値です。機械設計・回路設計・生産技術などの機電系は職務内容も賃金体系も別のため、この数値は当てはまりません。

訴える以外の選択肢|是正を求める、環境を変える

法的手段は選択肢の1つであり、唯一の道ではありません。並行して次の2つも検討してください。

1つ目は、社内での是正です。相違が配属や案件の都合による一時的な状態なのか、恒常的な運用なのかで対応は変わります。書面で整理したうえで上長や人事に確認すると、話が具体化しやすくなります。

2つ目は、環境を変える判断です。このとき整理していただきたいのが、今回のギャップが「この会社に固有の問題」なのか、「その職種や働き方に共通して起きやすい問題」なのかという切り分けです。会社固有であれば、同じ職種のまま情報開示の姿勢が明確な企業を探せば解決します。客先常駐という働き方そのものに起因するのであれば、自社開発や社内エンジニア職といった別の形を検討したほうが早い場合があります。この見極めを飛ばすと、次の転職でも同じ違和感を抱えることになりかねません。

求人環境も確認しておきます。情報処理・通信技術者の有効求人倍率は1.43倍で、職業計の1.12倍を上回っています。動くこと自体の選択肢は、比較的確保しやすい状況です。

出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」(2025年11月)

私たちは、労働条件・労働環境を独自に審査した求人のみをご紹介しています。配属部署ごとの実態や在宅勤務の適用条件まで確認したうえでご案内するため、同じギャップを繰り返さないための材料をお渡しできます。

同じことを繰り返さないために

法的手段を進めるかどうかとは別に、次の一歩をどう選ぶかは早めに考えておく価値があります。
初回面談はウェブまたは電話で約20分、情報収集の一環として話を聞いてみたいという方も歓迎です。
無料で相談する

まとめ

・法的手段を検討する余地はあるが、最初にやるべきは訴訟準備ではなく証拠の整理
・賃金・労働時間・勤務地の相違は書類で示しやすく、業務内容や雰囲気の相違は争いにくい
・訴えるという言葉には行政への申出、裁判外の解決、労働審判、民事訴訟が含まれ、目的が異なる
・求人票は掲載終了で消えるため、気づいた時点で保存し、在籍中に取得できる書類から押さえる
・今回のギャップが会社固有の問題か、その働き方に共通する問題かを切り分けてから次を決める

よくある質問

求人票と条件が違えば、必ず訴えることができますか?

必ずとは言えません。相違の内容と、証拠で示せるかどうかで扱いが変わるとされます。賃金や勤務地のように数字や事実で確認できる項目は主張しやすく、雰囲気や社風は争いにくい部類です。まずは総合労働相談コーナーなど無料の窓口でご確認ください。

入社前の口約束も証拠になりますか?

書面がなければ主張が難しくなる傾向があります。ただし、やり取りの記録や当時のメモが残っていれば、補強材料になる可能性があるとされます。面接での説明内容は、その日のうちに日付入りで記録しておくと後から役立ちます。判断は専門家にご相談ください。

すでに退職していても請求できますか

退職後でも検討できる場合があるとされますが、請求できる期間には制限があるとされます。時間が経つほど資料が手元から失われるため、早めに専門窓口へ相談してください。給与明細や契約書は退職時に必ず控えを確保しておくことをおすすめします。

弁護士費用が心配です。無料で相談できる窓口はありますか

まず総合労働相談コーナーや労働基準監督署は費用がかかりません。加えて、条件を満たせば無料の法律相談を利用できる制度があるとされます。いきなり弁護士へ行くのではなく、無料の窓口で論点を整理してから進めるほうが負担を抑えられます。

会社を訴えると、次の転職に不利になりますか?

選考で個別の紛争歴が共有される仕組みは、一般的にはありません。ただし退職理由を会社批判だけで説明すると、評価されにくくなる傾向があります。事実と数値で状況を説明し、次に何を確認するかを語れると、理解されやすくなります。

ハローワーク経由の求人なら、訴えやすいですか?

手続きの入口が1つ増えるという意味では動きやすくなります。紹介した求人と実際の条件が違う場合の申出窓口が用意されているためです。ただし、それは是正を促す仕組みであり、金銭の請求とは別の手続きになります。目的に応じて窓口を使い分けてください。

この記事の執筆者

AIdeaCareerMedia編集部

主にIT・機電エンジニアに特化した転職事情に関する有益な情報を発信するメディアの編集部です。転職者であれば転職市場や選考での対策、企業の採用担当者様であればエンジニア人材の採トレンド等の「エンジニアに携わる転職・採用」の情報を提供します。

この記事の監修者

人材紹介事業部 事業統括責任者 堀 凌也

関西学院大学卒業後、新卒で当社入社。入社直後よりリクルーティングアドバイザーとしてトップクラスの成績を収め、組織内最年少で拠点責任者に抜擢。
現在は求職者への価値提供と企業の採用課題解決を両立する事業統括責任者として、組織の急成長と人材育成を牽引。