「プロダクトマネジメントとは何をすることなのか」「プロジェクトマネジメントとは何が違うのか」と疑問に感じている方もいるのではないでしょうか。
プロダクトマネジメントとは、ユーザーの課題と事業目標を踏まえ、プロダクトの価値を継続的に高めていく活動です。
新しい機能を企画するだけでなく、ユーザー調査や戦略策定、開発の優先順位付け、リリース後の効果検証まで幅広く含まれます。
この記事では、IT・機電エンジニア専門の転職エージェントである私たちが、プロダクトマネジメントとは何か、具体的な仕事内容や進め方、必要なスキルを解説します。
プロダクトマネジメントとは
プロダクトマネジメントとは、ユーザーに価値を提供しながら、プロダクトを継続的に成長させていくための活動です。
Webサービスやアプリ、SaaSなどでは、
「誰のどのような課題を解決するのか」
「どの機能を作るのか」
「何を優先して改善するのか」
といった意思決定を繰り返します。
プロダクトマネジメントは「何を作るか」だけでなく「なぜ作るのか」「作った結果どうなったのか」まで考えることが特徴です。
なお、プロダクトマネジメントの範囲は企業によって異なります。
一人のPdMが幅広く担当する場合もあれば、事業責任者やエンジニア、デザイナーなどが役割を分担する場合もあります。
プロダクトマネジメントの目的
プロダクトマネジメントの目的は、単に多くの機能を開発することではありません。
ユーザーにとって必要な価値を提供し、それを事業の成果につなげることが重要です。
そのため、
・ユーザーは何に困っているのか
・市場では何が求められているのか
・自社はどのような価値を提供できるのか
・事業として継続できるのか
・技術的に実現できるのか
などを考えます。
例えばユーザーから「検索機能を増やしてほしい」という要望があったとしても、すぐに開発するとは限りません。
本当の課題が「必要な情報を見つけられないこと」なら、検索以外の方法が適切な可能性もあります。
要望をそのまま機能に変えるのではなく、背景にある課題を見つけることが重要です。
プロダクトマネジメントの主な仕事内容
プロダクトマネジメントでは、企画からリリース後の改善まで幅広い業務を行います。
| 領域 | 主な内容 |
| ユーザー理解 | 課題・行動・ニーズを調査する |
| 市場分析 | 市場や競合を調査する |
| 戦略 | プロダクトの方向性を決める |
| ロードマップ | 中長期の開発方針を整理する |
| 優先順位 | 開発する機能の順番を決める |
| 開発連携 | エンジニア・デザイナーと協力する |
| リリース | 新機能・改善を提供する |
| 効果検証 | データや反応から成果を確認する |
ユーザーを理解する
最初に必要なのがユーザー理解です。
例えば、
・ユーザーインタビュー
・アンケート
・問い合わせ内容
・利用データ
・行動ログ
などから課題を探します。
重要なのは、ユーザーが言ったことだけを見るのではなく、その背景まで考えることです。
市場や競合を調査する
ユーザーだけでなく、市場や競合サービスについても調べます。
競合と同じ機能を追加することが目的ではありません。
自社のプロダクトが、
「誰に、どのような価値を提供するのか」
を考える材料として活用します。
プロダクト戦略を考える
調査した情報をもとに、プロダクトが目指す方向を整理します。
例えば、
・どのユーザーを対象にするか
・どの課題を優先するか
・どのような価値を提供するか
などです。
事業戦略との整合性も考える必要があります。
ロードマップを作る
ロードマップとは、プロダクトを今後どのように成長させるかを示す計画です。
「今月は機能A、来月は機能B」という予定表だけではありません。
中長期的に、
「どの課題を、どの順番で解決するのか」
を整理します。
開発するものの優先順位を決める
プロダクト開発では、時間や人員に限りがあります。
すべての要望を同時に実現することはできません。
そのため、
・ユーザーへの価値
・事業への影響
・開発コスト
・緊急性
・技術的な制約
などから優先順位を考えます。
プロダクトマネジメントでは「何を作るか」と同じくらい「何を今は作らないか」を決めることも重要です。
リリース後の結果を検証する
機能をリリースしたら、想定した成果が出たか確認します。
例えば、
・利用率
・継続率
・コンバージョン率
・問い合わせ数
など、目的に応じた指標を確認します。
期待した結果が出なければ原因を考え、次の改善につなげます。
プロダクトマネジメントの進め方5ステップ
実際の進め方は企業やプロダクトによって異なりますが、基本的な流れは整理できます。
1. ユーザーの課題を見つける
まずはユーザーの行動や声を調べます。
「どのような機能がほしいか」ではなく、
「どのような場面で困っているのか」
まで確認しましょう。
2. 解決する課題を決める
見つかった課題をすべて同時に解決することはできません。
ユーザーへの影響や事業上の重要性などを考えて優先順位を決めます。
3. 解決方法を考える
次に、選んだ課題をどのように解決するか考えます。
新機能の開発だけが解決策とは限りません。
既存機能の改善やUI変更、運用方法の見直しで解決できる場合もあります。
4. 開発してユーザーへ届ける
エンジニアやデザイナーと協力して実際に開発します。
この段階でも、
「なぜ作るのか」
という目的をチーム内で共有することが重要です。
5. 結果を確認して改善する
リリース後は利用状況を確認します。
結果から新しい課題や仮説を見つけ、再び改善します。
プロダクトマネジメントは「企画→開発→完成」ではなく、検証と改善を繰り返す活動です。
プロダクト開発では、PdMやエンジニアなど職種によって求められる役割が異なります。IT領域の職種やキャリアについて情報収集したい場合はLINEでも確認できます。
プロダクトマネジメントとプロジェクトマネジメントの違い
混同されやすいのが、プロジェクトマネジメントです。
大きな違いは「管理する対象」です。
| 比較項目 | プロダクトマネジメント | プロジェクトマネジメント |
| 対象 | プロダクト | プロジェクト |
| 主な目的 | プロダクト価値の向上 | プロジェクトの完遂 |
| 主な問い | 何を・なぜ作るか | いつ・どう進めるか |
| 期間 | 継続的 | 開始・終了がある |
| 主な管理対象 | ユーザー価値・事業成果 | 進捗・予算・品質など |
例えば、新しいアプリを開発するとします。
プロダクトマネジメントでは、
「誰の課題を解決するアプリなのか」
「どの機能を優先するのか」
を考えます。
プロジェクトマネジメントでは、
「いつまでに作るのか」
「誰が担当するのか」
「予算内で進んでいるか」
などを管理します。
プロダクトマネジメントは価値、プロジェクトマネジメントは遂行に軸足があると整理すると理解しやすいでしょう。
ただし、企業やチームによって一人が両方を担当する場合もあります。
プロダクトマネジメントとPdMの違い
プロダクトマネジメントとPdMは、同じ意味ではありません。
プロダクトマネジメントは「活動・機能」を指します。
PdM(Product Manager)は、その活動を中心となって担う「職種・役割」を指します。
例えば、
プロダクトマネジメント
=ユーザー調査、戦略、優先順位付け、効果検証などの活動
PdM
=それらを推進する役割
という違いです。
「プロダクトマネジメント=仕事そのもの」「PdM=その仕事を担う人」と考えるとわかりやすいでしょう。
ただし、すべてのプロダクトマネジメント業務をPdM一人が行うわけではありません。
プロダクトマネジメントに必要な7つのスキル
プロダクトマネジメントでは、ユーザー・ビジネス・技術を横断して考える必要があります。
1. ユーザー理解
ユーザーの行動や課題を理解する力です。
インタビューやデータなど、複数の情報から判断する必要があります。
2. 課題発見力
ユーザーから出た要望の背景にある、本当の課題を考えます。
「何を作るか」の前に「何を解決するか」を考える力です。
3. データ分析力
プロダクトの状況を判断するためにデータを使います。
利用率や継続率など、目的に応じた指標を確認します。
4. ビジネスへの理解
プロダクトは事業として継続する必要があります。
売上やコスト、市場、競合などを理解する力も重要です。
5. IT・技術への理解
エンジニアと連携するためには、技術的な実現可能性や開発コストへの理解も必要です。
必ずしも自分でコードを書く必要はありませんが、開発の仕組みを理解していると役立ちます。
6. コミュニケーション力
プロダクト開発には、
・エンジニア
・デザイナー
・営業
・マーケティング
・カスタマーサクセス
など、多くの職種が関わります。
異なる立場の人と目的を共有する力が必要です。
7. 意思決定力
プロダクト開発では、正解がわからない状態で判断する場面があります。
情報を集めたうえで仮説を立て、優先順位を決める力が必要です。
プロダクトマネジメントでよく使われる指標
プロダクトを改善するには、目的に合った数値を見る必要があります。
代表的な指標には次のようなものがあります。
| 指標 | 確認する内容 |
| 利用者数 | どの程度利用されているか |
| 継続率 | 利用を続けているか |
| 解約率 | どの程度離脱しているか |
| CVR | 目的の行動につながった割合 |
| 機能利用率 | 特定機能が使われているか |
| 売上 | 事業成果につながっているか |
ただし、すべての指標を追えばよいわけではありません。
例えば「継続利用を増やす」ことが目的なら、単純な新規登録者数だけでは成果を判断できません。
最初に目的を決め、その結果を判断できる指標を設定することが重要です。
プロダクトマネジメントに向いている人
プロダクトマネジメントは、一つの専門領域だけではなく幅広い視点を持てる人に向いています。
例えば、
・ユーザーの課題を考えるのが好き
・仮説を立てて検証するのが好き
・数字を使って改善したい
・技術とビジネスの両方に興味がある
・複数の関係者と仕事を進められる
・優先順位を決められる
・プロダクトを長期的に育てたい
といった人です。
完成した仕様に沿って作るだけでなく「そもそも何を作るべきか」を考えたい人と相性がよいでしょう。
一方で、会社によってプロダクトマネジメントの進め方は異なります。
職種そのものの問題か、職場環境の問題かを切り分けて考えることも大切です。
プロダクトマネジメントを学ぶ方法
プロダクトマネジメントは、知識を覚えるだけで身につくものではありません。
実際のプロダクトを題材に考えてみることが重要です。
ユーザー視点でサービスを分析する
普段使っているサービスについて、
「誰の課題を解決しているのか」
「なぜこの機能があるのか」
「改善するとしたら何を変えるか」
を考えてみましょう。
データから改善案を考える
アクセス数や利用率などのデータが使える場合は、数字から課題を探します。
施策を行ったら、
「○○を改善した結果、利用率が○%変化した」
など、実際に確認できる数値で成果を整理しましょう。
プロダクト開発に参加する
現在エンジニアとして働いている場合は、仕様通りに開発するだけでなく、
「なぜこの機能を作るのか」
まで確認してみましょう。
企画やユーザー理解へ担当範囲を広げることで、プロダクトマネジメントに近い経験を積めます。
エンジニア経験はプロダクトマネジメントに活かせる?
エンジニア経験はプロダクトマネジメントでも活かせる場合があります。
例えば、
・技術的な実現可能性を判断できる
・開発工数をイメージできる
・エンジニアと共通言語で話せる
・システムの制約を理解できる
といった点です。
一方、技術だけではプロダクトマネジメントを完結できません。
ユーザー理解や事業、データ分析などの経験も必要になります。
エンジニア経験を捨てるのではなく、技術力にユーザー・ビジネスの視点を加えることがキャリアを広げるポイントです。
プロダクトマネジメントを経験できる主な職種
プロダクトマネジメントに関わる職種はPdMだけではありません。
| 職種 | 関わりやすい領域 |
| PdM | 戦略・企画・優先順位 |
| エンジニア | 技術・開発・改善 |
| UXデザイナー | ユーザー理解・体験設計 |
| Webディレクター | 企画・制作進行 |
| データアナリスト | データ分析・効果検証 |
| カスタマーサクセス | 顧客課題・利用促進 |
企業によって役割分担は異なります。
PdMという肩書きがなくても、プロダクト改善に関わる経験を積める場合があります。
プロダクト開発に近いキャリアへ進みたい方へ
エンジニア経験を活かしながら、PdMや自社開発などへキャリアを広げる方法もあります。現在の経験を整理し、どのスキルを加えれば希望する仕事へ近づけるか一緒に確認できます。
まとめ
プロダクトマネジメントは、プロダクトの価値を継続的に高めるための活動です。
・ユーザーの課題と事業目標の両方からプロダクトを考える
・調査・戦略・優先順位付け・効果検証まで幅広く含まれる
・プロジェクトマネジメントとは管理する対象や目的が異なる
・PdMはプロダクトマネジメントを中心となって担う役割
・エンジニア経験もプロダクトマネジメントに活かせる
機能を増やすことを目的にせず、「誰のどの課題を解決するのか」を起点に考えることが重要です。
よくある質問
プロダクトマネジメントとは簡単にいうと何ですか?
ユーザーの課題と事業目標を踏まえ、プロダクトの価値を継続的に高める活動です。何を作るかだけでなく、なぜ作るのか、リリース後に成果が出たかまで考えます。
プロダクトマネジメントとPdMの違いは何ですか?
プロダクトマネジメントは活動そのものを指し、PdMはProduct Managerとしてその活動を担う役割を指します。ただし、実際の役割分担は企業によって異なります。
プロダクトマネジメントとプロジェクトマネジメントの違いは何ですか?
プロダクトマネジメントはプロダクトの価値向上、プロジェクトマネジメントは決められたプロジェクトの遂行に軸足があります。実務では両方の役割が重なる場合もあります。
プロダクトマネジメントにプログラミングは必要ですか?
必須とは限りません。ただし、技術的な実現可能性や開発コストを理解するためにIT・開発への理解は役立ちます。必要な技術レベルは企業や役割によって異なります。
エンジニアからプロダクトマネジメントに関われますか?
可能です。技術理解や開発経験を活かしながら、ユーザー調査や企画、データ分析、優先順位付けなどへ担当範囲を広げる方法があります。
プロダクトマネジメントに資格は必要ですか?
特定の資格が必須とは限りません。知識だけでなく、ユーザーの課題を発見し、施策を実行して結果を検証した経験を積むことが重要です。
プロダクトマネジメントを理解すると、PdMだけでなくエンジニアとしてのキャリアの選択肢も整理しやすくなります。IT領域のキャリア情報はLINEでも確認できます。
この記事の執筆者

AIdeaCareerMedia編集部
主にIT・機電エンジニアに特化した転職事情に関する有益な情報を発信するメディアの編集部です。転職者であれば転職市場や選考での対策、企業の採用担当者様であればエンジニア人材の採トレンド等の「エンジニアに携わる転職・採用」の情報を提供します。
この記事の監修者

【IT部門統括責任者】キャリアアドバイザー 小畑 大夢
近畿大学卒業後、新卒で当社入社。圧倒的な当事者意識で営業活動に従事し、全社MVP・MVMの連続受賞をはじめ多くの表彰を経験。
圧倒的な求職者様目線を強みに、これまで多くのITエンジニアの転職成功に貢献。
現在は、IT部門統括責任者として、勝てる組織づくりと後進育成に邁進。

