「インフラエンジニアになるには、どの言語を勉強すればよいのだろう」と迷っていないでしょうか。アプリ開発とは違い、インフラエンジニアと言語の関係は少し分かりにくいものです。
インフラエンジニアにプログラミング言語は必須ではありませんが、自動化やクラウド領域まで担当するなら、シェルスクリプトやPythonなどを扱えることが大きな武器になります。
必要な言語は、サーバー、ネットワーク、クラウドなど担当領域によっても異なります。
この記事では、IT・機電エンジニア専門の転職エージェントである私たちが、インフラエンジニアが使う言語と、仕事内容別の学習優先順位を解説します。
インフラエンジニアにプログラミング言語は必要?
結論からいうと、インフラエンジニアになるためにプログラミング言語が必須というわけではありません。
インフラエンジニアの中心業務は、サーバーやネットワーク、クラウド環境などの設計・構築・運用です。
そのため、アプリケーションエンジニアのように、一日中プログラムを書く仕事ではありません。
特に監視や定型的な運用業務では、プログラミングをほとんど行わない職場もあります。
一方で、近年は次のような業務が増えています。
・サーバー構築の自動化
・クラウド環境の自動構築
・監視作業の自動化
・ログの集計や解析
・定型作業の効率化
・設定ファイルのコード管理
こうした業務では、プログラミングやスクリプトの知識が役立ちます。
特に、運用から設計・構築、クラウド、SREなどへキャリアを広げたい人ほど重要性が高まります。ここで大切なのは、「何か一つの言語を完璧に覚えること」ではありません。
自分が担当したいインフラ業務に合わせて、必要な言語を選ぶことが重要です。
インフラエンジニアに役立つ言語7選【一覧】
代表的なものを整理すると、次のとおりです。
| 言語・技術 | 主な用途 | おすすめ度 |
| シェルスクリプト | Linuxの操作・自動化 | 高い |
| PowerShell | Windows環境の管理・自動化 | 高い |
| Python | 運用自動化・クラウド・データ処理 | 高い |
| SQL | データベース操作・障害調査 | 高い |
| YAML | クラウド・構成管理ツールの設定 | 高い |
| HCL | Terraformによるクラウド構築 | 担当領域による |
| Go | クラウド・SRE・インフラツール開発 | 発展向け |
なお、YAMLやHCLは、一般的な意味でのプログラミング言語とは性質が異なります。
しかし、現在のインフラ業務では使用する場面が多いため、本記事では「インフラエンジニアが学ぶべき言語・記述技術」として紹介します。
シェルスクリプト
Linux系サーバーを扱うのであれば、シェルスクリプトは優先的に学びたい技術です。
コマンドを組み合わせ、一連の処理を自動実行できます。
例えば、
・ログファイルを定期的に削除する
・バックアップを取得する
・サーバーの状態を確認する
・複数ファイルを一括処理する
といった作業に利用できます。
Linuxサーバーを扱う現場では、まず基本的なLinuxコマンドを覚え、その延長として学習すると理解しやすいでしょう。
PowerShell
PowerShellは、Windows環境の管理や自動化で利用される技術です。
Windows ServerやMicrosoft系サービスを扱うインフラエンジニアなら、学んでおく価値があります。
例えば、ユーザー管理やファイル操作、サーバー設定などの定型処理を自動化できます。Windows系インフラを担当する場合は、シェルスクリプトよりPowerShellの優先順位が高くなる場合があります。
Python
Pythonは、インフラエンジニアのキャリアを広げたい人におすすめのプログラミング言語です。比較的コードを読みやすく、インフラ運用の自動化にも利用できます。
例えば、
・APIを利用したクラウド操作
・ログデータの加工
・監視データの処理
・定型作業の自動化
・各種ツールとの連携
などに活用できます。
クラウドエンジニアやSREなどを目指す場合にも役立つため、シェルスクリプトの次に学ぶ候補として考えやすい言語です。
SQL
SQLは、データベースから情報を取得したり更新したりするために使われます。
データベースエンジニア以外でも、システム障害の調査や動作確認でデータベースを見る機会があります。
最低限、
・SELECT
・WHERE
・JOIN
・GROUP BY
など、データを取得・集計する基本操作を理解しておくと便利です。
ただし、本番環境のデータを更新・削除する操作には慎重さが求められます。
YAML
YAMLは、設定情報を人間が読みやすい形式で記述するために利用されます。
例えば、コンテナや構成管理、CI/CDなどの設定で目にすることがあります。
インフラエンジニアがクラウドや自動化領域へ進む場合、プログラムそのものを書く能力だけでなく、設定ファイルを正しく読める力も重要です。
文法自体は複雑ではないため、実際の設定ファイルを触りながら覚える方法が向いています。
HCL
HCLは、Terraformなどでインフラ構成を記述するときに使われます。
Terraformは、サーバーやネットワークなどのインフラ構成をコードとして管理するIaC(Infrastructure as Code:インフラをコードで管理する考え方)の代表的なツールです。クラウド環境の設計・構築を目指す場合は、Terraformとあわせて学ぶと実務につながりやすくなります。
一方で、未経験者が最初にHCLだけを学ぶ必要はありません。Linuxやネットワーク、クラウドの基礎を身につけてから取り組むほうが理解しやすいでしょう。
Go
Goは、クラウド関連のソフトウェアやインフラツールで使われることがあるプログラミング言語です。
ただし、一般的なインフラエンジニアを目指す段階で優先度が高いわけではありません。SREやクラウドネイティブ領域、インフラ向けツールの開発など、より高度なキャリアを目指す人向けの選択肢です。未経験者であれば、まずシェルスクリプトやPythonなどを優先するとよいでしょう。
仕事内容によって必要な言語は変わる
インフラエンジニアと一口にいっても、担当分野はさまざまです。
そのため、全員が同じ言語を覚える必要はありません。
| 目指す分野 | 優先したい言語・技術 | 主な理由 |
| Linuxサーバー | シェルスクリプト | サーバー操作や自動化で使いやすい |
| Windowsサーバー | PowerShell | Windows環境の管理に向いている |
| ネットワーク | Python | 設定取得や運用自動化に活用できる |
| データベース | SQL | データ確認・調査に必要 |
| クラウド | Python・YAML・HCL | 自動化やIaCで活用できる |
| SRE | Python・Go・シェル | 運用自動化やツール開発に役立つ |
「インフラエンジニアだからPythonを学ぶ」という考え方ではなく、目指す仕事から逆算することが大切です。
例えば、Windows Serverを中心に扱う企業への転職を考えている人なら、PythonよりもPowerShellを優先したほうが実務に直結する可能性があります。
一方、AWSなどを利用するクラウドエンジニアを目指す場合は、PythonやTerraformなどの知識が役立ちます。
転職相談でも「どの言語を学べば評価されますか」という質問を受けることがあります。その際、私たちはまず「どのようなインフラエンジニアになりたいか」を整理するようおすすめしています。
学ぶ技術は、目指す求人から逆算したほうが効率的だからです。
未経験者が学ぶならどの言語から?おすすめの順番
未経験からインフラエンジニアを目指すなら、最初から多くの言語を学ぶ必要はありません。
おすすめの順番は次のとおりです。
1.Linuxの基本操作を覚える
最初はプログラミング言語より、Linuxの基本操作を優先しましょう。
例えば、
・ファイルやディレクトリを操作する
・権限を確認・変更する
・プロセスを確認する
・ログを見る
・ネットワーク状態を確認する
といった操作です。
インフラエンジニアの場合、プログラミング能力だけ高くても、OSやネットワークの仕組みが分からなければ実務で困る場面があります。
2.シェルスクリプトを学ぶ
Linuxコマンドに慣れたら、複数の処理を自動化するシェルスクリプトへ進みます。
例えば、
「ログファイルを確認する→特定の文字を探す→結果をファイルへ保存する」
という作業を自動化してみると、実務で使うイメージを持ちやすくなります。
3.Pythonを学ぶ
次に、自動化できる範囲を広げるためPythonを学びます。
最初から高度なアプリケーション開発を目指す必要はありません。
・変数
・条件分岐
・繰り返し処理
・関数
・ファイル操作
などの基本を押さえましょう。
4.クラウドやIaCへ広げる
設計・構築やクラウド領域を目指す場合は、YAMLやTerraformなどへ広げます。
順番を整理すると、
Linux基礎
→シェルスクリプト
→Python
→クラウド・IaC
という流れが一つの目安です。
ただし、Windows系インフラを目指す場合は、シェルスクリプトの代わりにPowerShellを優先する選択肢があります。
インフラエンジニアは言語より先に身につけたい知識もある
プログラミング言語を勉強しているだけでは、インフラエンジニアとして十分とはいえません。
むしろ未経験者の場合、言語よりOS・ネットワーク・サーバーの基礎知識を優先すべき場面があります。
具体的には、次の知識です。
・LinuxやWindowsなどOSの基本
・TCP/IPなどネットワークの基礎
・IPアドレスやサブネット
・DNSの仕組み
・Webサーバーの基本
・データベースの基礎
・セキュリティの基本
・クラウドの基本概念
インフラは、複数の技術が組み合わさって動いています。
Pythonを書けても、「なぜ通信できないのか」「どこで障害が起きているのか」が分からなければ、トラブル対応は難しくなります。
採用選考でも、未経験者に高度なプログラミング能力だけを求めるとは限りません。
基本的なIT知識を理解し、自分で学習していることを説明できるほうが重要な求人もあります。
インフラエンジニアとして次に何を学ぶべきか迷っている方へ
経験豊富なアドバイザーがこれまでの業務経験を整理し、市場価値を客観的に確認したうえで、次に身につけたいスキルやキャリアの選択肢を一緒に考えます。情報収集目的の相談も歓迎しています。
言語を習得するとインフラエンジニアの仕事はどう変わる?
言語を習得する大きなメリットは、作業を自動化できることです。
定型作業を自動化できる
毎日同じコマンドを実行する作業がある場合、スクリプト化することで手作業を減らせます。
作業時間だけでなく、入力ミスなどを減らすことにもつながります。
運用から設計・構築へキャリアを広げやすくなる
インフラ運用では、既存環境を維持する仕事が中心になる場合があります。
一方、クラウドやIaCでは、自動化やコード管理の知識が求められることがあります。
そのため、プログラミングやスクリプトを扱えることは、担当領域を広げる材料になります。
SREやクラウド領域を目指しやすくなる
インフラとソフトウェア開発の境界は以前より小さくなっています。
運用だけでなく、自動化やシステム改善まで担当する職種を目指すなら、コードを書く能力は役立ちます。
ただし、「言語を習得すればキャリアアップできる」と単純に考えないことも重要です。
ネットワークやサーバー、クラウドなどの基礎知識と組み合わせて初めて活かしやすくなります。
インフラエンジニアの言語と年収・将来性の関係
「Pythonを覚えれば年収が上がる」といった単純な関係ではありません。
年収は、担当工程や経験、クラウドスキル、マネジメント経験など複数の要素で変わります。
一方、設計・構築や自動化など、より専門性の高い業務を担当するためにプログラミングスキルが役立つことはあります。
関連するIT職種の年収を見ると、厚生労働省のjob tagでは、システムエンジニア(Webサービス開発)の平均年収は約574万円、基盤システムでは約684万円です。
| 指標 | 金額・数値 |
| SE(Webサービス開発)の平均年収 | 約574万円 |
| SE(基盤システム)の平均年収 | 約684万円 |
| 給与所得者全体の平均年収 | 約478万円 |
| 情報処理・通信技術者の有効求人倍率 | 1.43倍 |
| 職業計の有効求人倍率 | 1.12倍 |
※SEとインフラエンジニアでは職務範囲が異なるため、年収は関連IT職種の参考値です。
出典:厚生労働省「job tag システムエンジニア(Webサービス開発)」「job tag システムエンジニア(基盤システム)」、国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」、厚生労働省「一般職業紹介状況」(2025年11月)
また、経済産業省の「IT人材需給に関する調査」では、2030年にIT人材が最大約79万人不足する可能性が示されています。
インフラ領域でもクラウドや自動化への対応が進むなか、従来の運用知識だけでなく、コードを利用して業務を効率化できる人材はキャリアの選択肢を広げやすいと考えられます。
出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年公表)
インフラエンジニア向けの効率的な言語勉強法
言語を学ぶ場合、参考書を読むだけではなく、実際のインフラ業務を想定した課題を作ることがおすすめです。
実際に手を動かす
例えばLinux環境を用意し、
・ファイルを自動整理する
・ログから特定文字列を抽出する
・ディスク容量を確認する
・一定条件で通知を出す
など、小さな自動化を作ってみましょう。
「Pythonを勉強した」より、「毎日行うログ確認を自動化するプログラムを作った」と説明できるほうが、何ができるのか伝わりやすくなります。
成果物は数字で説明できる形にする
転職活動で学習成果を伝えるなら、できるだけ具体的に説明します。
例えば、
「サーバー監視を自動化しました」
だけではなく、
「5台の検証用サーバーを対象に、CPU使用率とディスク容量を自動取得するスクリプトを作成しました」
と説明すると、取り組みの規模が伝わります。
実務経験がある人なら、
・対象サーバー数
・担当した環境数
・自動化した作業数
・削減できた手順
・対応したユーザー数
なども整理しておくとよいでしょう。
資格学習と組み合わせる
インフラの基礎知識を体系的に身につける目的では、資格学習も選択肢です。
例えば、IT全般の基礎を学ぶ場合は基本情報技術者試験などがあります。
出典:IPA「情報処理技術者試験」
資格だけで実務能力を証明できるわけではありません。
「資格で基礎知識を学ぶ」「実際に環境を構築する」「スクリプトを書いて自動化する」を組み合わせると、知識と実践を結びつけやすくなります。
どの言語を学ぶべきか迷ったら求人から逆算する
学習する言語を決められない場合は、興味のある求人を10件ほど見て、必要条件や歓迎条件を比較する方法があります。
求人票の、
・Linux
・Python
・PowerShell
・AWS
・Terraform
・ネットワーク
・コンテナ
などの記載を確認しましょう。
繰り返し登場するスキルがあれば、目指す職種で求められやすい可能性があります。
私たちが転職相談を受けていると、「スキル不足だから転職できないと思っていたが、実際は今の会社で設計・構築を経験する機会がなかった」というケースがあります。
この場合、本人の学習不足だけが原因とは限りません。
スキルが伸びない原因が自分にあるのか、それとも経験を積めない職場環境にあるのかを切り分けることが重要です。
環境が原因なら、同じインフラ領域でも設計・構築やクラウド案件へ挑戦できる企業を探す選択肢があります。
反対に、インフラ業務そのものに興味を持てないのであれば、アプリケーション開発など別領域を検討する方法もあります。
インフラエンジニアとして次に何を学ぶべきか迷っている方へ
経験豊富なアドバイザーがこれまでの業務経験を整理し、市場価値を客観的に確認したうえで、次に身につけたいスキルやキャリアの選択肢を一緒に考えます。情報収集目的の相談も歓迎しています。
まとめ
インフラエンジニアと言語について、押さえておきたいポイントは次の5点です。
・インフラエンジニアにプログラミング言語は必須ではない
・Linux環境ではシェルスクリプト、Windows環境ではPowerShellが役立つ
・クラウドや自動化へ進むならPythonやYAML、HCLも選択肢になる
・未経験者は言語だけでなくLinuxやネットワークの基礎を優先する
・学習する技術は、目指す職種や求人から逆算して決める
インフラエンジニアに必要なスキルは、担当領域やキャリアによって変わります。
すべての言語を覚えようとするのではなく、「次にどの仕事を担当したいのか」を明確にしたうえで学習内容を決めましょう。
よくある質問(FAQ)
インフラエンジニアはプログラミングができなくてもなれますか?
未経験からインフラエンジニアを目指す段階では、高度なプログラミング能力が必須とは限りません。まずはLinuxやネットワークなどの基礎を身につけ、必要に応じてシェルスクリプトやPythonへ学習範囲を広げる方法があります。
インフラエンジニアならPythonを勉強するべきですか?
Pythonは自動化やクラウド領域に活用できるため、有力な選択肢です。ただし、必ず最初に学ぶ必要はありません。Linux環境ならシェルスクリプト、Windows環境ならPowerShellなど、担当業務によって優先順位は変わります。
インフラエンジニアにJavaは必要ですか?
一般的なサーバーやネットワークの設計・構築だけであれば、Javaを使わない仕事も多くあります。ただし、アプリケーション側の調査やミドルウェア対応などでコードを見るケースもあるため、担当システムによって必要性は異なります。
インフラエンジニアにHTMLやCSSは必要ですか?
基本的なインフラ業務では、HTMLやCSSの優先順位は高くありません。ただし、Webサービスの仕組みを理解するうえで基本概念を知っておくと役立ちます。まずはOSやネットワーク、サーバーの知識を優先するとよいでしょう。
クラウドエンジニアを目指すなら何を学べばよいですか?
まずLinux、ネットワーク、クラウドの基本を身につけることが重要です。そのうえでPythonやシェルスクリプト、Terraformなどを学ぶと、自動化やIaCを利用した環境構築へスキルを広げやすくなります。
未経験者は何から勉強すればよいですか?
Linuxとネットワークの基礎から始める方法がおすすめです。その後、シェルスクリプトやPythonへ進みましょう。言語学習だけに偏らず、実際にサーバーを動かしたり、簡単な自動化を作ったりすることも重要です。
この記事の執筆者

AIdeaCareerMedia編集部
主にIT・機電エンジニアに特化した転職事情に関する有益な情報を発信するメディアの編集部です。転職者であれば転職市場や選考での対策、企業の採用担当者様であればエンジニア人材の採トレンド等の「エンジニアに携わる転職・採用」の情報を提供します。
この記事の監修者

【IT部門統括責任者】キャリアアドバイザー 小畑 大夢
近畿大学卒業後、新卒で当社入社。圧倒的な当事者意識で営業活動に従事し、全社MVP・MVMの連続受賞をはじめ多くの表彰を経験。
圧倒的な求職者様目線を強みに、これまで多くのITエンジニアの転職成功に貢献。
現在は、IT部門統括責任者として、勝てる組織づくりと後進育成に邁進。
