車載ソフトウェアエンジニアとは?仕事内容・年収・なり方をわかりやすく解説

車載ソフトウェアエンジニアとは?仕事内容・年収・なり方をわかりやすく解説

「車載ソフトウェアエンジニアって何をする仕事?」「組み込みエンジニアとはどう違うの?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。

車載ソフトウェアエンジニアとは、自動車に搭載される電子制御装置のソフトウェアを開発する技術者です。車の電動化や運転支援技術の進化により、車の価値をソフトウェアが左右する場面が増えています。そのため、求人でも注目度が高まっている職種です。

この記事では、IT・機電エンジニア専門の転職エージェントである私たちが、車載ソフトウェアエンジニアの仕事内容や種類、必要なスキル、年収、なり方を解説します。

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車載ソフトウェアエンジニアとは

車載ソフトウェアエンジニアは、ECU(電子制御ユニット:車の各機能を制御する小型コンピュータ)で動くソフトウェアを開発します。現在の車には多数のECUが搭載されており、エンジン、ブレーキ、エアコン、カーナビなど、さまざまな機能をソフトウェアが制御しています。

組み込みエンジニアとの違い

車載ソフトウェアエンジニアは、組み込みエンジニアの一分野です。家電や産業機器の組み込み開発と比べると、次のような違いがあります。

・人命に関わるため、安全性への要求が特に高い
・車載向けの国際規格や標準規格に沿った開発が求められる
・開発期間が長く、多くの企業が分担して開発を進める
・高温や振動など、厳しい環境で確実に動くことが求められる

注目される背景

近年は、ソフトウェアの更新によって機能を追加・改善できる車、いわゆるソフトウェア・デファインド・ビークル(SDV)への移行が進んでいます。無線通信でソフトウェアを更新する仕組みも広がりつつあります。

求人の傾向としても、自動車業界ではソフトウェア人材の募集を強化する動きが見られます。私たちの相談現場でも、組み込みやIT系のエンジニアから車載分野への転職を検討する方が増えています。

車載ソフトウェアエンジニアの仕事内容【工程別】

車載ソフトウェアの開発は、多くの場合「V字モデル」で進みます。V字モデルとは、前半で要求から設計へと詳細化し、後半で各設計に対応するテストを行う開発の進め方です。主な工程と役割は次のとおりです。

工程主な役割
要求分析車に求められる機能や性能を整理し、仕様にまとめる
システム設計機能をECUやソフトウェア、ハードウェアに割り振る
ソフトウェア設計ソフトウェアの構造や処理の流れを設計する
実装設計に沿ってプログラムを作成する、またはモデルから生成する
テスト・検証単体から実車相当の環境まで段階的に動作を確認する
品質・プロセス管理規格に沿った開発かを確認し、記録を残す

要求分析・システム設計

完成車メーカーなどから示された要求をもとに、ソフトウェアで実現すべき内容を整理します。どの機能をどのECUで処理するかを決める工程で、車全体の構成を理解する力が求められます。

ソフトウェア設計・実装

ソフトウェアの構造を設計し、C言語などでプログラムを作成します。制御系では、MATLAB・Simulinkでモデルを作り、そこからプログラムを自動生成するモデルベース開発も広く使われています。

テスト・検証

作成したソフトウェアを、単体、結合、システム全体の順に検証します。実際のECUを、車の動きを模擬する装置につないで確認するHILS(実機と模擬環境を組み合わせた検証)もよく使われます。最終的には、実車での評価も行われます。

品質・プロセス管理

車載開発では、要求から設計、テストまでの対応関係を追えるように文書を残すことが重視されます。「動くこと」だけでなく、「正しく作ったことを説明できること」が求められる点が、車載開発の大きな特徴です。

車載ソフトウェアの種類(担当領域)

車載ソフトウェアは、担当する機能によっていくつかの領域に分かれます。領域によって、求められる技術や働き方の特徴が異なります。

領域主な対象特徴
パワートレインエンジン、モーター、電池の制御燃費や電費、走行性能に直結する
シャシーブレーキ、ステアリング安全性への要求が特に高い
ボディドア、ライト、空調、シート快適性や利便性に関わる機能が多い
先進運転支援・自動運転カメラやレーダーによる認識と判断画像処理や高度な演算を扱う
車載情報機器カーナビ、メーター、音響画面操作や通信機能を扱う
通信・ネットワーク車内通信、車外との通信車内の機器同士や外部のサーバーとつなぐ

大きく分けると、走る・曲がる・止まるを担う「制御系」と、表示や通信を担う「情報系」があります。制御系はC言語と組み込みの知識が中心で、情報系はC++やIT系の技術を活かしやすい傾向があります。自分の経歴に近い領域から目指すと、転職の選択肢を広げやすくなります。

車載ソフトウェアエンジニアが働く企業の種類

同じ車載ソフトウェアエンジニアでも、働く企業によって担当する工程や役割は大きく異なります。主な企業の種類は次のとおりです。

企業の種類主な役割特徴
完成車メーカー車全体の企画と仕様の決定上流工程や全体設計に関わりやすい
部品メーカーECUや車載部品の開発設計から実装まで幅広く担当しやすい
半導体メーカー車載向け半導体と基盤ソフトの提供ハードウェアに近い領域を扱う
ソフトウェア開発会社開発の受託や技術支援複数の企業の案件に関われる
技術者派遣型の企業客先での開発支援案件によって担当工程が限られる場合がある

相談現場では、「SES(システムエンジニアリングサービス:技術者が客先で働く契約形態)で車載案件に入っているが、テスト工程ばかりで設計に関われない」という声をよく聞きます。担当工程は本人の力量だけでなく、所属企業の立ち位置にも左右されます。設計経験を積みたい場合は、企業の種類から見直すことも一つの方法です。

担当工程を広げられる職場を知りたい方へ

同じ車載開発でも、企業によって関われる工程は大きく異なります。経験豊富なアドバイザーが、これまでのキャリアを丁寧にヒアリングし、SES・客先常駐から自社開発への転職も含めて選択肢を一緒に考えます。
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車載ソフトウェアエンジニアの1日の流れ(例)

ここでは、部品メーカーで制御ソフトウェアを担当するエンジニアの1日の例を紹介します。

時間内容
9:00始業、メールと不具合報告の確認
9:30チームの朝会で進捗と課題を共有
10:00ソフトウェアの設計書を作成
12:00昼休憩
13:00プログラムやモデルの修正
15:00試験装置を使った動作検証
17:00完成車メーカーとの仕様確認の打ち合わせ
18:00検証結果をまとめて終業

開発の節目や試験の前は、業務が集中しやすい傾向があります。また、実車評価のために試験場へ出張することもあります。実機を使う検証が多いため出社が基本の職場が多い一方、設計中心の工程ではリモート勤務を取り入れている求人もあります。

車載ソフトウェアエンジニアに必要なスキル・知識

車載ソフトウェアエンジニアには、組み込み開発の基礎に加えて、車載特有の規格や通信の知識が求められます。主なスキルは次のとおりです。

・プログラミング:制御系はC言語、情報系や運転支援ではC++が中心
・組み込みの基礎:マイコン、割り込み、RTOS(決められた時間内に処理を終えることを重視したOS)
・車載通信:CAN(車内の機器同士をつなぐ代表的な通信方式)などの理解
・車載向けの規格:AUTOSAR(車載ソフトウェアの標準構成を定めた規格)、ISO 26262(機能安全の国際規格)
・モデルベース開発:MATLAB・Simulinkを使った設計と検証
・自動車の構造:エンジンやブレーキなど、制御対象の仕組みの理解
・文書作成と調整力:仕様書や検証記録の作成、関係者との仕様確認

未経験からすべてを身につけておく必要はありません。求人の傾向としては、C言語と組み込みの基礎があれば、車載の規格や通信は入社後に学ぶ前提で募集されるケースも見られます。

車載ソフトウェアエンジニアに役立つ資格

車載ソフトウェアエンジニアになるために、必須となる資格はありません。ただし、知識を体系的に示す材料として、次の資格が役立ちます。

・エンベデッドシステムスペシャリスト試験:組み込み開発に特化した国家試験で、情報処理技術者試験の高度試験の一つ
・基本情報技術者試験:情報処理の基礎知識を幅広く証明できる国家試験
・機能安全に関する民間の認定資格

出典:IPA「情報処理技術者試験」

選考では、資格よりも実務経験や開発した製品の内容が重視される傾向があります。資格は、未経験者が学習意欲を示す材料や、経験者が専門性を整理する目標として活用するとよいでしょう。

車載ソフトウェアエンジニアの年収

車載ソフトウェアエンジニアの年収は、担当する工程や領域、働く企業の種類によって差が出やすい傾向があります。

指標金額・数値(目安)
車載ソフトウェアエンジニアの平均年収約578.5万円
年代別の年収推移25〜29歳:約484.7万円/30〜34歳:約559.5万円/35〜39歳:約636.0万円/40〜44歳:約686.3万円/45〜49歳:約729.2万円
全職業の有効求人倍率(職業計)1.12倍

出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」(2025年11月)

上記の有効求人倍率は全職業の指標であり、車載分野の需要そのものを示す数値ではありません。

求人の傾向として、要求分析や設計などの上流工程の経験、機能安全や標準規格に沿った開発の経験は、評価されやすい要素です。同じ年数の経験でも、どの工程をどこまで担当したかによって、提示される条件が変わることがあります。

年収や担当領域を見て、自分ならどの道があるか気になった方も多いのではないでしょうか。職種研究や資格選びに役立つ情報を、LINEで配信しています。転職を決めていない段階でも、気軽にご活用ください。

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車載ソフトウェアエンジニアのやりがいと大変さ

車載ソフトウェアエンジニアは、社会に広く使われる製品に関われる一方で、安全性への責任や開発の進め方に特有の大変さもあります。

やりがいは次のとおりです。

・自分が開発したソフトウェアが、多くの人が使う車に搭載される
・電動化や運転支援など、業界の大きな変化に最前線で関われる
・安全性の高い開発手法を身につけ、専門性を高められる

大変さは次のとおりです。

・人命に関わるため、品質や安全性への責任が重い
・仕様書や検証記録など、文書作成の負荷が大きい
・関係する企業や部署が多く、調整に時間がかかる
・開発の節目や試験の前は、業務が集中しやすい

大変さを感じたときは、それが車載開発という職種そのものの特性なのか、所属企業や担当工程といった環境の問題なのかを切り分けることが大切です。例えば、文書作成の多さは車載開発に共通する特性です。一方で、テスト工程だけを長く担当して裁量がない、といった悩みは環境に起因することが多く、企業を変えることで解消できる場合があります。

車載ソフトウェアエンジニアになるには

車載ソフトウェアエンジニアを目指すルートは、現在の経歴によって異なります。代表的なルートは次のとおりです。

新卒で目指す場合

情報系、電気電子系、機械系の学科出身者が多い傾向がありますが、学科を問わず募集する企業もあります。研究や授業でマイコンやMATLABを使った経験があれば、選考でアピール材料になります。

組み込みエンジニアから目指す場合

C言語や組み込みの経験は、そのまま活かせます。家電や産業機器の組み込み経験者が、車載分野へ移るケースは珍しくありません。車載の規格や通信の知識を補うと、さらに評価されやすくなります。

機械・電気系の設計職から目指す場合

制御対象であるエンジンやモーター、回路への理解は大きな強みです。C言語やモデルベース開発を学ぶことで、ハードとソフトの両方がわかる人材として評価される可能性があります。

IT系のエンジニアから目指す場合

業務システムなどの開発経験者は、車載情報機器や車外との通信を担う情報系の領域から目指すと、経験を活かしやすい傾向があります。

未経験から目指す場合

第二新卒や異業種からの場合は、C言語と組み込みの基礎を学んだうえで、未経験者を育成する体制がある企業を探すのが現実的です。その際は、入社後に担当できる工程まで確認しておくと安心です。

車載分野への転職を一人で抱え込まないために

自分の経歴でどの領域や企業を目指せるかは、求人を比較しないと見えにくいものです。市場価値を客観的に評価したうえで、納得のいく選択肢を一緒に考えます。まずは情報収集の一環として話を聞いてみたいという方も歓迎です。
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まとめ

・車載ソフトウェアエンジニアとは、自動車の電子制御装置のソフトウェアを開発する技術者
・組み込み開発の一分野だが、安全性への要求や規格対応、文書による説明責任が特に重視される
・担当領域は制御系と情報系に分かれ、経歴に近い領域から目指すと選択肢を広げやすい
・担当できる工程は、完成車メーカー、部品メーカー、技術者派遣型の企業など、企業の種類によって大きく異なる
・大変さを感じたら、職種そのものの特性か、企業や工程といった環境の問題かを切り分けて考える

よくある質問

未経験でも車載ソフトウェアエンジニアになれますか?

なれる可能性はあります。ただし、未経験者を採用する企業でも、C言語や組み込みの基礎を学んでいることが求められる傾向があります。マイコンボードで簡単な制御を試すなど、学習の成果を示せるよう準備しておくと、意欲と適性を伝えやすくなります。

組み込みエンジニアと車載ソフトウェアエンジニアの違いは何ですか?

車載ソフトウェアエンジニアは、組み込みエンジニアのなかで自動車を対象とする分野です。基本的な技術は共通していますが、車載では人命に関わる安全性への要求が高く、国際規格に沿った開発や、文書で説明できる開発の進め方がより重視されます。

車載ソフトウェアエンジニアはきついですか?

安全性への責任の重さや文書作成の多さ、開発の節目での業務の集中など、大変な面はあります。ただし、負荷の大きさは企業や担当工程によって異なります。働き方に不安がある場合は、求人内容だけでなく、開発体制や担当範囲まで確認することが大切です。

車載ソフトウェアエンジニアに将来性はありますか?

車の電動化や運転支援技術の進化、ソフトウェアの更新で機能を高める車への移行により、ソフトウェアの役割は大きくなっています。そのため、需要は続くと考えられます。ただし、規格や新しい技術への対応が求められるため、継続的な学習が前提になります。

車載ソフトウェアの開発ではどのプログラミング言語を使いますか?

制御系ではC言語、情報系や運転支援の領域ではC++が中心です。加えて、モデルベース開発ではMATLAB・Simulinkが使われ、検証の自動化やデータ解析ではPythonなどが使われることもあります。まずはC言語の習得から始めるのがおすすめです。

文系出身でも車載ソフトウェアエンジニアを目指せますか?

目指すことは可能ですが、理系出身者に比べて学ぶべき内容は多くなります。C言語に加えて、電気回路や制御の基礎も必要です。まずは情報系や車載情報機器など、ソフトウェアの比重が大きい領域から目指すと、経験を積みやすい傾向があります。

車載ソフトウェアや組み込み開発に関わる職種研究の情報を、LINEでもお届けしています。すぐに転職する予定がない方も、情報収集にお役立てください。

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この記事の執筆者

AIdeaCareerMedia編集部

主にIT・機電エンジニアに特化した転職事情に関する有益な情報を発信するメディアの編集部です。転職者であれば転職市場や選考での対策、企業の採用担当者様であればエンジニア人材の採トレンド等の「エンジニアに携わる転職・採用」の情報を提供します。

この記事の監修者

【機電部門統括責任者】キャリアアドバイザー 湯浅 空大

立命館大学卒業後、新卒で中堅アパレル企業へ入社。当社入社後は未経験圧倒的なスピードで実績を上げ、わずか2年半で機電部門統括責任者に就任。
圧倒的な求職者様目線を強みに、多くの機電エンジニアの転職成功。現在は、機電部門統括責任者として、勝てる組織づくりと後進育成に邁進。