「転職するには貯金がいくら必要なのか」「会社を辞めてから転職活動をしても、お金は足りるだろうか」と不安になって検索した方も多いのではないでしょうか。転職を考え始めたとき、仕事の悩みと同じくらい、お金の心配が大きな壁になる方は少なくありません。
転職に必要な貯金額は、人によって大きく異なります。働きながら転職活動をするなら、大きな貯金がなくても進められます。一方で、退職してから活動する場合は、「毎月の生活費と退職後に増える支出」に「収入がない期間」を掛け、予備費を加えた金額を目安に準備することが大切です。 必要な金額を自分の状況に合わせて計算しておけば、焦りから納得できない転職をしてしまうことを防げます。
この記事では、IT・機電エンジニア専門の転職エージェントである私たちが、転職でお金が必要になる場面、退職後にかかる主なお金、必要な貯金額を計算する4ステップ、在職中と退職後の違い、状況別の考え方、貯金が少ないときの対処法までを解説します。
結論:必要な貯金額は「働きながら」か「辞めてから」で大きく変わる
最初に、この記事の結論を整理します。
・働きながら転職活動をする場合は、収入が途切れないため、大きな貯金がなくても進めやすい
・退職してから転職活動をする場合は、収入がない期間の生活費に加え、退職後に増える支出も考える必要がある
・必要な貯金額は「(毎月の生活費+退職後に増える支出)×収入がない期間+転職活動費+予備費」で計算できる
・一人暮らしか、家族がいるかなど、状況によって必要な金額は変わる
・貯金が少ない場合は、在職中に転職活動を進めることで、お金の不安を大きく減らせる
「いくら貯金があれば安心か」は、一律の正解がありません。 大切なのは、自分の生活に必要な金額を具体的に把握しておくことです。
転職でお金が必要になる場面
転職では、思っている以上にさまざまな場面でお金がかかります。在職中に活動するか、退職後に活動するかによって、必要になるお金も変わります。
| 場面 | 主な支出 | 在職中に活動する場合 | 退職後に活動する場合 |
| 毎月の生活 | 家賃、食費、光熱費、通信費など | 給与でまかなえる | 貯金から支払う必要がある |
| 税金・保険料 | 住民税、健康保険料、年金保険料 | 給与から天引きされることが多い | 自分で支払う必要が出てくる場合がある |
| 転職活動 | 面接の交通費、スーツや身だしなみの費用 | 給与でまかなえる | 貯金から支払う必要がある |
| 入社前後 | 引っ越し費用、入社までの生活費 | 転居を伴う場合に発生 | 転居を伴う場合に発生 |
特に見落とされやすいのが、退職後の税金や保険料です。在職中は給与から自動的に差し引かれていたものを、退職後は自分で支払う必要が出てくる場合があります。
退職後にかかる主なお金
退職してから転職活動をする場合、生活費に加えて次のようなお金がかかる可能性があります。金額や手続きは、個人の状況や住んでいる地域によって異なるため、事前に確認しておくことが大切です。
住民税
住民税は、前年の所得に基づいて課税されるとされています。そのため、退職して収入がなくなった後も、前年の収入に応じた住民税の支払いが続く場合があります。退職の時期によっては、残りの金額をまとめて支払う必要が出てくることもあります。
健康保険料
退職すると、会社の健康保険から外れることになります。その後は、国民健康保険に加入する、会社の健康保険を一定期間続ける任意継続を選ぶ、家族の扶養に入るなどの方法があるとされます。どの方法を選ぶかによって、保険料が変わります。
年金保険料
会社員は厚生年金に加入していますが、退職後に次の会社に入るまでの期間は、国民年金に切り替える手続きが必要になる場合があるとされます。
転職活動費
面接に行くための交通費や、スーツなどの身だしなみの費用がかかります。最近はオンラインでの面接も増えていますが、最終面接などで会社を訪問する機会もあります。
引っ越し・入社準備の費用
転職先が遠方の場合は、引っ越し費用がかかります。また、入社後に最初の給与が支払われるまでの期間の生活費も考えておく必要があります。
なお、退職後には雇用保険の基本手当(いわゆる失業手当)を受けられる場合がありますが、受給の条件や開始の時期は、退職の理由などによって異なるとされます。すぐに受け取れるとは限らないため、貯金の計算には含めずに考えておくと安心です。
私たちはキャリアの専門家であり、法律や税金、社会保険の専門家ではありません。具体的な金額や手続きについては、お住まいの市区町村の窓口、年金事務所、ハローワーク、税務署、社会保険労務士やファイナンシャルプランナーなどに相談してください。
必要な貯金額の計算方法【4ステップ】
必要な貯金額は、次の4つのステップで計算できます。
ステップ1:毎月の生活費を把握する
家賃、食費、光熱費、通信費、保険料、交際費など、毎月必ずかかるお金を書き出します。家計簿や銀行口座の記録を見ながら、実際の金額を確認しましょう。
ステップ2:退職後に増える支出を見積もる
住民税、健康保険料、年金保険料など、退職後に自分で支払う必要が出てくるお金を見積もります。金額は、市区町村の窓口などで確認できます。
ステップ3:収入がない期間を想定する
転職活動にかかる期間は、人や職種によって大きく異なります。自分の状況に合わせて、余裕を持った期間を想定しておくことが大切です。入社後、最初の給与が支払われるまでの期間も含めて考えましょう。
ステップ4:転職活動費と予備費を加える
面接の交通費や引っ越し費用などの転職活動費に加えて、急な出費に備えた予備費を上乗せします。
すぐに使えるものとして、必要な貯金額を計算するためのシートを紹介します。○の部分に、ご自身の金額を入れてみてください。
| 項目 | 記入欄 |
| ①毎月の生活費 | ○万円 |
| ②退職後に増える毎月の支出(住民税・健康保険料・年金保険料など) | ○万円 |
| ③収入がない期間(入社後の最初の給与までを含む) | ○か月 |
| ④転職活動費・引っ越し費用 | ○万円 |
| ⑤予備費 | ○万円 |
| 必要な貯金額の目安 | (①+②)×③+④+⑤=○万円 |
この計算をしてみると、「思っていたより多くのお金が必要だった」と感じる方も少なくありません。早めに計算しておくことで、退職の時期や活動の進め方を冷静に判断できます。
必要な金額が見えてくると、次にどう動くかを考えたくなる方もいるのではないでしょうか。転職事例と、はじめの一歩の進め方をLINEでお届けしています。
在職中と退職後、どちらで転職活動すべき?
転職活動を在職中に行うか、退職後に行うかは、お金の面でも大きな違いがあります。お金の不安を減らしたいなら、在職中に活動を始めるのが基本です。
| 比較の観点 | 在職中に活動する | 退職後に活動する |
| 収入 | 給与があるため、お金の不安が少ない | 収入が途切れるため、貯金が必要 |
| 活動の時間 | 仕事と両立するため、時間の確保が難しい | 活動に集中しやすい |
| 精神面 | 転職先が決まらなくても生活は続けられる | 貯金が減ることで焦りが生まれやすい |
| 選考での印象 | 現職での経験を話しやすい | 空白期間について説明を求められることがある |
| 向いている人 | お金の不安を減らしたい人 | 心身の負担が大きく、まず休む必要がある人 |
相談の現場では、「退職してから活動を始めたが、思ったより時間がかかり、貯金が減っていく焦りから、希望と違う会社に決めてしまった」という声を聞くことがあります。焦りは判断を鈍らせる大きな原因になるため、可能であれば在職中に活動を始めることをおすすめします。
一方で、心身の不調で働き続けるのが難しい場合は、まず休むことを優先してください。その場合は、事前に必要な貯金額を計算し、無理のない計画を立てておくことが大切です。
状況別に見る貯金の考え方
必要な貯金額は、生活の状況によって大きく変わります。
一人暮らしの場合
家賃や生活費をすべて自分で負担するため、退職後に活動する場合は、生活費と退職後に増える支出の両方をしっかり見積もる必要があります。
実家暮らしの場合
住居費がかからない、または少ない分、必要な貯金額を抑えやすい傾向があります。ただし、税金や保険料は自分で支払う必要が出てくる場合がある点に注意しましょう。
家族がいる場合
家族の生活費や教育費なども考える必要があるため、必要な貯金額は大きくなりやすい傾向があります。家族とよく話し合ったうえで、在職中に活動することを特に検討したい状況です。
未経験の職種に挑戦する場合
経験のある職種への転職に比べて、内定までに時間がかかる場合や、一時的に年収が下がる場合があります。収入がない期間を長めに想定し、入社後の生活費の変化も考えておくと安心です。
お金の不安も含めて、転職の進め方を一緒に考えませんか
経験豊富なアドバイザーが、これまでのキャリアを丁寧にヒアリングします。まずは情報収集の一環として話を聞いてみたいという方も歓迎です。
貯金が少ないときの対処法
貯金が少なくても、転職をあきらめる必要はありません。次のような方法で、お金の不安を減らしながら転職を進められます。
・在職中に転職活動を始める:収入を確保しながら活動できるため、最も確実な方法
・毎月の支出を見直す:通信費やサブスクリプション(定額制のサービス)など、削れる支出を洗い出す
・退職の時期を調整する:賞与の支給時期や、住民税の支払い時期なども考慮して計画する
・公的な制度について事前に確認する:健康保険や年金、雇用保険の手続きを、退職前に窓口で確認しておく
・オンラインの面接や面談を活用する:交通費や移動時間を抑えられる
・転職エージェントを活用する:求人探しや日程調整の手間を減らし、在職中でも効率よく活動できる
特に、在職中の転職活動は「忙しくて時間がない」という理由で後回しにされがちです。私たちの初回面談はWeb・電話で約20分ほどのため、仕事の合間でも情報収集を始めやすくなっています。
注意点・よくある失敗
転職とお金に関して、よくある失敗は次のとおりです。
・勢いで退職してしまう:必要な金額を計算しないまま辞め、後から貯金が足りなくなる
・住民税や保険料を見落とす:退職後に届く請求に驚き、計画が崩れる
・失業手当をあてにしすぎる:受給の条件や時期を確認せず、生活費の計画に組み込んでしまう
・焦って転職先を決める:貯金が減る焦りから、条件をよく確認しないまま入社を決めてしまう
・入社後の収入の変化を考えない:最初の給与の支払い時期や、年収の変化を見落とす
また、退職を考える前に、「今の仕事を辞めたい理由が、職種そのものにあるのか、職場の環境にあるのか」を切り分けておくことも大切です。 環境が理由であれば、同じ職種のまま体制の整った企業に移ることで解決できる場合があります。職種そのものが合わないなら、新しい分野に挑戦するための準備期間や、必要な貯金額も考えておく必要があります。理由を整理しておくことで、転職の方向性が定まり、活動にかかる期間やお金の見通しも立てやすくなります。
退職前に、転職の方向性を整理しておきたい方へ
市場価値を客観的に評価したうえで、納得のいく選択肢を一緒に考えます。今の悩みの相談だけでもかまいません。
まとめ
・転職に必要な貯金額は、在職中に活動するか、退職後に活動するかで大きく変わる
・退職後は、生活費に加えて住民税、健康保険料、年金保険料などの支出が増える場合がある
・必要な貯金額は「(生活費+退職後に増える支出)×収入がない期間+転職活動費+予備費」で計算できる
・お金の不安を減らしたいなら、在職中に転職活動を始めるのが基本
・退職前に、辞めたい理由が職種か職場環境かを切り分けておくと、転職の見通しが立てやすくなる
よくある質問
転職するのに貯金ゼロでも大丈夫ですか?
在職中に転職活動をして、退職日と入社日の間を空けずに転職するのであれば、貯金が少なくても進められる場合があります。ただし、入社後の最初の給与が支払われるまでの生活費や、急な出費には備えておく必要があります。退職後に活動する場合は、貯金がない状態は避けることをおすすめします。
退職してから転職活動をするのはやめたほうがいいですか?
一概にやめたほうがよいとはいえません。活動に集中できるというメリットもあります。ただし、収入が途切れるため、事前に必要な貯金額を計算しておくことが大切です。お金の不安を減らしたい場合は、在職中に活動を始めることをおすすめします。
失業手当はすぐにもらえますか?
雇用保険の基本手当は、受給の条件や開始の時期が、退職の理由などによって異なるとされています。すぐに受け取れるとは限らないため、貯金の計算には含めずに考えておくと安心です。詳しくは、お住まいの地域を管轄するハローワークで確認してください。
退職後の住民税や保険料はどれくらいかかりますか?
金額は、前年の所得や住んでいる地域、選ぶ保険の種類などによって異なります。正確な金額は、お住まいの市区町村の窓口や年金事務所などで確認してください。退職前に確認しておくと、必要な貯金額をより正確に計算できます。
在職中に転職活動をする時間がありません。どうすればいいですか?
オンラインでの面接や面談を活用すると、移動の時間を減らせます。また、転職エージェントを利用すれば、求人探しや面接の日程調整の手間を減らせます。まずは情報収集だけでも始めておくと、退職の時期や必要な貯金額を冷静に判断しやすくなります。
転職のお金や進め方について、もう少し情報を集めてから考えたい方もいるのではないでしょうか。転職事例と、はじめの一歩の進め方をLINEでお届けしています。
この記事の執筆者

AIdeaCareerMedia編集部
主にIT・機電エンジニアに特化した転職事情に関する有益な情報を発信するメディアの編集部です。転職者であれば転職市場や選考での対策、企業の採用担当者様であればエンジニア人材の採トレンド等の「エンジニアに携わる転職・採用」の情報を提供します。
この記事の監修者

人材紹介事業部 事業統括責任者 堀 凌也
関西学院大学卒業後、新卒で当社入社。入社直後よりリクルーティングアドバイザーとしてトップクラスの成績を収め、組織内最年少で拠点責任者に抜擢。
現在は求職者への価値提供と企業の採用課題解決を両立する事業統括責任者として、組織の急成長と人材育成を牽引。
