製造業でExcel VBAは役立つ?活用例・スキル・学び方を解説

製造業でExcel VBAは役立つ?活用例・スキル・学び方を解説

「製造業でExcel VBAを覚えると役に立つのか」「Pythonが注目されているけれど、今からVBAを学ぶ意味はあるのか」と迷って検索した方も多いのではないでしょうか。

製造業でのExcel VBAは、日報の集計や検査成績書の作成など、毎日の手作業を自動化できる身近で効果の大きいスキルです。多くの工場でExcelが日常的に使われているため、学んだ内容をすぐ現場で活かしやすいのが特徴です。一方で、大量のデータの分析にはPythonが向いているなど、得意なことは道具によって異なります。

この記事では、IT・機電エンジニア専門の転職エージェントである私たちが、製造業でのExcel VBAの活用例、活かせる職種、必要なスキルや学び方、キャリアへの活かし方を解説します。

製造業でExcel VBAが使われる理由

製造業でExcel VBAが広く使われている一番の理由は、多くの工場で生産計画や検査記録、日報などの管理にExcelが使われているからです。普段使っているExcelの作業をそのまま自動化できるため、新しい仕組みを入れなくても改善を始められます。

VBA(ビジュアル・ベーシック・フォー・アプリケーションズ)は、Excelなどの事務用ソフトに組み込まれたプログラミング言語です。多くの職場で追加の費用をかけずに使えるため、現場の担当者が自分で業務を改善する手段として定着してきました。

マクロとVBAの違い

Excelの「マクロ」は、繰り返しの操作を記録して自動で実行する機能のことです。VBAは、そのマクロを作るための言語にあたります。操作を記録するだけでも簡単なマクロは作れますが、VBAを書けるようになると、条件によって処理を変えたり、複数のファイルをまとめたりと、できることが大きく広がります。

PythonやPLCとの違い

製造業で使われるほかのプログラミング言語と、得意なことを比べてみましょう。

言語得意なこと製造業での主な用途
Excel VBAExcelの操作の自動化、帳票の作成日報の集計、検査成績書の作成、計画表の更新
Python大量のデータの分析、機械学習、画像処理品質データの分析、外観検査、故障の予兆の検知
ラダー言語設備の制御PLC(設備を制御する専用のコントローラー)で生産ラインを動かす

Excelで完結する作業の自動化ならVBA、大量のデータ分析や高度な処理ならPython、と使い分けるのが現実的です。どちらか一方が優れているのではなく、目的に合わせて選ぶことが大切です。

製造業でのExcel VBA活用例【業務別】

製造業でExcel VBAが使われている代表的な場面を、業務ごとに整理します。

業務主な活用例関わりやすい職種
生産管理生産計画表の更新、日報の集計生産管理、製造
品質管理検査成績書の自動作成、管理図の作成品質管理、品質保証
設計部品表の作成、図面番号の管理機械設計、回路設計
設備保全点検記録の集計、保全計画の管理設備保全
購買・在庫発注数の計算、在庫一覧の更新生産管理、購買

生産管理での活用

各ラインから集まる日報のファイルを一つにまとめ、生産数や不良数を自動で集計する使い方が代表的です。毎朝手作業で行っていた集計が、ボタン一つで終わるようになります。受注の情報をもとに生産計画表を更新する処理にも使われています。

品質管理での活用

測定データを取り込み、決まった書式の検査成績書を自動で作成する使い方があります。顧客ごとに書式が異なる場合も、VBAで書式を切り替えられれば、書き写しの手間とミスを減らせます。管理図(品質のばらつきを時系列で確認する図)を自動で作る用途もあります。

設計での活用

部品表の作成や、図面番号の管理、設計の計算シートの自動化などに使われます。部品表から発注用の一覧を作るなど、設計と購買の間のデータの受け渡しを効率化する例もあります。

設備保全での活用

点検記録を設備ごとに集計し、点検の漏れや次回の予定を一覧にする使い方があります。故障の履歴をまとめて、故障の多い設備を洗い出す用途にも使えます。

自動化できる作業を見つけるチェックリスト

自分の業務に、Excel VBAで自動化できる作業があるか確認してみましょう。

□ 毎日、または毎週、同じ手順でExcelを操作している
□ 複数のファイルから数字を書き写して集計している
□ 決まった書式の帳票を、手作業で作っている
□ 同じ表を、条件を変えて何度も作り直している
□ 書き写しのミスで、やり直しになったことがある

当てはまる項目がある作業は、VBAで自動化できる可能性があります。

Excel VBAが活きる製造業の職種

Excel VBAのスキルは、特定の職種に限らず、製造業の幅広い職種で活かせます。特に相性が良いのは次の職種です。

・生産技術:工程の改善に使うデータの集計や、作業時間の分析に活かせる
・生産管理:生産計画や在庫管理の作業を効率化できる
・品質管理・品質保証:検査成績書の作成や不良の集計を自動化できる
・設備保全:点検記録や保全計画の管理に活用できる
・設計:部品表の作成や設計計算の自動化に役立つ

求人の傾向として、私たちが見ている製造業の求人では、生産管理や品質保証などで「Excelの関数やマクロを使った業務改善の経験」を歓迎条件に挙げるものが見られます。必須ではないことが多いものの、改善の実績として書類で伝えやすいスキルです。

Excel VBAを使う1日の流れ(例)

Excel VBAを日常的に使う品質管理エンジニアの1日を例に紹介します。企業や担当業務によって大きく異なるため、あくまでイメージとしてご覧ください。

・8:30 朝礼、前日の検査結果を自動集計したシートで不良件数を確認
・9:00 不良が増えた工程について、製造の担当者と状況を確認
・10:30 出荷する製品の検査成績書を、VBAで一括作成して内容を確認
・13:00 不良の原因を調べるため、過去の検査データを抽出して比較
・15:00 新しい顧客向けの書式に合わせて、成績書を作るプログラムを修正
・16:30 品質会議の資料を作成
・17:30 翌日の作業を整理して終業

VBAで定型の作業を短くできれば、不良の原因を調べるなど、考える仕事に時間を使えるようになります。これが製造業でVBAを使う大きな価値です。

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必要なスキル・知識

製造業でExcel VBAを活かすには、プログラミングだけでなく、Excelそのものの知識と業務の理解が必要です。

スキル領域具体的な内容習得の優先度
Excelの基本操作関数、表の作り方、並べ替え、抽出最優先
VBAの基礎変数、条件分岐、繰り返しの処理高
ファイルの操作複数のファイルの読み込み、保存高
帳票の作成書式の設定、印刷範囲の指定中
業務の理解工程、品質管理の手法、帳票の目的最優先
分かりやすい書き方説明の記述、処理を分けた構成高

ほかの人が直せるように作る力

職場でVBAを使ううえで見落とされやすいのが、ほかの人が読んで直せるように作る力です。処理の説明を書き残したり、使い方の手順書を用意したりしておくと、担当者が変わっても使い続けられます。

職場のルールを確認する

企業によっては、情報セキュリティの方針でマクロの使用を制限している場合があります。VBAで仕組みを作る前に、職場のルールや情報システム部門の方針を確認しておきましょう。

役立つ資格

製造業でExcel VBAを使うのに資格は必須ではありません。ただし、学習の目標や、スキルを客観的に示す材料として役立ちます。

・VBAエキスパート:Excel VBAの知識を、基礎と応用の段階に分けて確認できる
・マイクロソフト オフィス スペシャリスト:Excelの操作スキルを証明できる
・基本情報技術者試験:プログラミングやITの基礎知識を幅広く学べる(IPA「情報処理技術者試験」)

出典:IPA「情報処理技術者試験」

各試験の最新情報は、各試験の公式サイトで確認してください。

転職の選考では、資格よりも「何を自動化し、どれくらい効果が出たか」が重視される傾向があります。資格は、実務の成果を補う位置づけで考えるのがおすすめです。

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やりがいと大変さ

製造業でExcel VBAを使うやりがいは、自分の作った仕組みで職場の作業がはっきり楽になることです。毎日の集計が数分で終わるようになったり、書き写しのミスがなくなったりと、効果が目に見えるため、周りから感謝される機会も多くあります。

一方で、大変さもあります。代表的なのが、作った仕組みを自分しか直せなくなる「属人化」です。相談の場では、「自分が作ったマクロを誰も直せないため、異動や転職を言い出しにくい」という声を聞くことがあります。また、VBAでの改善が業務として認められず、空いた時間や残業で取り組んでいるケースもあります。

原因は仕事の中身か、職場の評価の仕組みか

ここで大切なのは、悩みの原因が「VBAを使う仕事そのもの」にあるのか、「改善の取り組みを評価しない職場の環境」にあるのかを切り分けることです。改善の仕事にやりがいを感じているのに評価されない場合は、職場の評価の仕組みが原因かもしれません。その場合は、業務改善やデータ活用に力を入れている企業へ移ることで、同じスキルが正当に評価されることがあります。

一方で、プログラムを作る仕事自体が合わないと感じる場合は、VBAは業務の補助として使うにとどめ、本来の専門分野に力を入れる考え方もあります。

製造業でExcel VBAを身につけるには

製造業で使えるExcel VBAを身につけるには、自分の業務の中にある「面倒な作業」を題材に学ぶのが最も効率的です。次の順番で進めると、実務につなげやすくなります。

  1. Excelの関数を固める:集計や抽出の関数を使いこなせるようにする
  2. マクロの記録を試す:普段の操作を記録して、どんな処理が作られるか確認する
  3. VBAの基礎を学ぶ:変数、条件分岐、繰り返しの書き方を身につける
  4. 身近な作業を自動化する:日報の集計など、毎日行う作業を一つ選んで自動化する
  5. 成果を記録する:改善前後の作業時間やミスの件数を記録し、数字で説明できるようにする

実績は数字で示す

転職の選考や社内の評価では、取り組みの内容を数字で伝えられるかが重要です。たとえば、次のような書き方を意識しましょう。

・「日報○ライン分の集計を自動化し、毎朝の作業時間を○分から○分に短縮」
・「検査成績書の作成を自動化し、書き写しのミスを月○件から○件に削減」
・「点検記録の集計を自動化し、点検の漏れを月○件から○件に削減」

数字が手元にない場合でも、対象のファイルの数、利用している人数、扱っているデータの件数などを添えると、取り組みの規模が伝わります。

次のステップとしてPythonも視野に入れる

VBAで扱うデータが増えて処理が重くなってきたら、Pythonを学ぶことも検討してみましょう。VBAで身につけた「処理を順番に組み立てる考え方」は、Pythonを学ぶときにも役立ちます。

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まとめ

・製造業のExcel VBAは、日報の集計や帳票の作成など、毎日の手作業を自動化できる身近なスキル
・Excelで完結する作業の自動化はVBA、大量のデータ分析はPythonと、目的に合わせて使い分ける
・生産管理、品質管理、設計、設備保全など、製造業の幅広い職種で活かせる
・ほかの人が直せるように作ることと、成果を数字で示すことが評価につながる
・悩みの原因が仕事の中身か、職場の評価の仕組みかを切り分けて考える

よくある質問

製造業でExcel VBAは本当に役立ちますか?

役立ちます。多くの工場で生産計画や検査記録、日報の管理にExcelが使われているため、学んだ内容をすぐに業務に活かせます。毎日の集計や帳票の作成を自動化するだけでも、作業時間の短縮やミスの削減につながります。

Excel VBAとPythonはどちらを学ぶべきですか?

目的によって異なります。今の業務でExcelを使う作業を自動化したいならVBA、大量のデータの分析や画像を使った検査などに取り組みたいならPythonが向いています。まずはVBAで身近な作業を自動化し、必要に応じてPythonに進む方法もあります。

Excel VBAはもう古いのでしょうか?

古くて使えないということはありません。製造業では今もExcelを使った業務が多く、VBAで自動化できる作業は数多くあります。ただし、職場によってはマクロの使用を制限している場合もあるため、自分の職場のルールや方針を確認しておくと安心です。

Excel VBAのスキルは転職で評価されますか?

評価されることがあります。製造業の求人では、Excelを使った業務改善の経験を歓迎条件に挙げるものも見られます。ただし、評価の中心は本来の職種での経験です。VBAで何を改善し、どんな効果が出たかを数字で説明できるよう準備しておきましょう。

プログラミング未経験でもExcel VBAは習得できますか?

習得できます。普段使っているExcelの操作を題材にできるため、プログラミングが初めての方でも成果を実感しやすいです。まずはマクロの記録で処理の流れを確認し、少しずつVBAを書き換えていくと、無理なく理解を深められます。

AIが広まるとExcel VBAは必要なくなりますか?

すぐに必要なくなるとは考えにくいです。AIがプログラムの作成を手伝う場面は増えていますが、どの作業を自動化すべきか判断し、出来上がった処理が正しいか確かめるのは人の役割です。VBAの基礎を理解していると、AIを上手に使ううえでも役立ちます。

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この記事の執筆者

AIdeaCareerMedia編集部

主にIT・機電エンジニアに特化した転職事情に関する有益な情報を発信するメディアの編集部です。転職者であれば転職市場や選考での対策、企業の採用担当者様であればエンジニア人材の採トレンド等の「エンジニアに携わる転職・採用」の情報を提供します。

この記事の監修者

【機電部門統括責任者】キャリアアドバイザー 湯浅 空大

立命館大学卒業後、新卒で中堅アパレル企業へ入社。当社入社後は未経験圧倒的なスピードで実績を上げ、わずか2年半で機電部門統括責任者に就任。
圧倒的な求職者様目線を強みに、多くの機電エンジニアの転職成功。現在は、機電部門統括責任者として、勝てる組織づくりと後進育成に邁進。