離職率の調べ方6選|企業の実態を無料で確認する手順と注意点を解説

離職率の調べ方6選|企業の実態を無料で確認する手順と注意点を解説

「離職率 調べ方」と検索したあなたは、応募を検討している企業が本当に長く働ける会社なのかを、入社前に確かめたいのではないでしょうか。

結論として、離職率は「公開資料」「公的データベース」「人に聞く」の3段階で調べれば、ほとんどの企業について手がかりをつかめます。

ただし数字の定義は企業ごとに異なり、数値だけを見て良し悪しを決めると判断を誤ります。

この記事では、IT・機電エンジニア専門の転職エージェントである私たちが、無料でできる離職率の調べ方6つと、数字の読み解き方、面接での聞き方までを解説します。

結論:離職率は3段階で調べるのが最短

離職率は、手間の少ない順に3段階で進めると効率よく集まります。上場企業であれば公開資料だけで多くが把握でき、非上場企業は公的サイトと人づてで補う形になります。

・第1段階:有価証券報告書・統合報告書・採用サイト(上場企業向け/無料)
・第2段階:厚生労働省の職場情報サイトなど公的データベース(企業規模を問わず/無料)
・第3段階:口コミサイト、転職エージェント、面接での質問(非公開情報の補完)

注意したいのは、離職率そのものを公表していない企業が多数を占めることです。その場合は平均勤続年数、従業員数の推移、採用人数といった周辺の数字から実態を推測します。本記事では、その具体的な手順まで解説します。

そもそも離職率とは|計算式と2つの種類

離職率とは、一定期間内にどれだけの人が会社を離れたかを示す割合です。押さえておきたいのは、同じ「離職率」という言葉でも、企業によって計算方法も対象期間も異なるという点です。

基本の計算式は次のとおりです。

離職率(%)= 期間中の離職者数 ÷ 起算日の在籍者数 × 100

よく使われる種類は2つあります。

・年間離職率:1年間に退職した人の割合。全社員が対象
・新卒3年以内離職率:新卒入社者のうち3年以内に退職した人の割合

同じ会社でも、定年退職や契約期間満了、グループ会社への転籍を含めるかどうかで数字は変わります。

正社員のみを対象にするか、契約社員や派遣社員を含めるかも企業の裁量とされます。

数字を見るときは、必ず「誰を」「どの期間で」数えたのかを確認してください。

相談の現場でも、「採用ページに離職率の低さが書いてあったのに、配属部署の実態はまったく違った」という声を聞くことがあります。数字は入り口であり、答えそのものではありません。

離職率を調べる6つの方法【無料でできる順】

ここからは具体的な調べ方を6つ紹介します。まずは一覧で全体像を押さえてください。

調べ方主にわかること対象企業費用・手間
有価証券報告書・統合報告書従業員数、平均勤続年数、平均年齢、離職率(任意記載)上場企業無料・中
厚生労働省の職場情報サイト平均勤続年数、採用・定着状況、中途採用比率、残業時間掲載企業のみ無料・小
求人票・採用サイト採用人数、定着状況、職場情報欄の記載全企業無料・小
就職四季報などの書籍新卒3年後離職率、採用数の推移掲載企業のみ有料・小
口コミサイト退職理由の傾向、部署ごとの実感投稿がある企業一部無料・小
転職エージェント求人の出方、選考・入社後の傾向取引のある企業無料・小

1. 有価証券報告書・統合報告書を見る

上場企業であれば、金融庁の開示システムから有価証券報告書を無料で閲覧できます。「従業員の状況」には、従業員数、平均年齢、平均勤続年数、平均年間給与が記載されます。離職率そのものは必須項目ではありませんが、人的資本に関する記載欄で定着率や離職率を任意に公表する企業も増えています。

メリット:企業が公式に開示した数字のため、信頼性が高い。
注意点:離職率が載っていない企業も多く、その場合は平均勤続年数と従業員数の推移から推測する必要がある。

2. 厚生労働省の職場情報サイトで検索する

厚生労働省が運営する職場情報総合サイト「しょくばらぼ」では、企業名で検索すると、平均勤続年数、採用・定着状況、中途採用比率、残業時間、有給休暇取得率などを無料で確認できます。上場・非上場を問わず掲載されるため、中小企業を調べたいときに有効です。

メリット:企業規模を問わず、同業種・同規模の企業と横に並べて比較できる。
注意点:掲載は企業側の任意であり、載っていない企業も多い。

出典:厚生労働省「職場情報総合サイト しょくばらぼ」

3. 求人票・採用サイトの職場情報欄を見る

ハローワークの求人票や企業の採用ページには、過去数年の採用者数や定着状況が記載されている場合があります。採用人数に対して在籍者数が極端に少ない場合、入れ替わりの多さを示す手がかりになります。

メリット:応募前の段階で、追加の手間なく確認できる。
注意点:記載は企業によってばらつきが大きく、中途採用の情報は限られる。

なお、若者雇用促進法(青少年の雇用の促進等に関する法律)に基づく職場情報の提供は、新卒者等の募集を行う企業が対象とされ、応募者から求めがあった場合には所定の類型ごとに情報を提供することとされています。中途採用に同じ枠組みがそのまま適用されるとは限りません。私たちはキャリアの専門家であり、法律の専門家ではありません。制度の適用範囲について正確な判断が必要な場合は、都道府県労働局や社会保険労務士などの専門窓口にご確認ください。

4. 就職四季報などの書籍データを使う

新卒3年後離職率がまとまって載っている資料として、就職四季報が知られています。中途転職者にとっても、若手の定着状況を知る材料になります。

メリット:企業横断で同じ基準の数字を比較できる。
注意点:有料であり、掲載は主要企業が中心。中途入社者の離職率とは別物である。

5. 口コミサイトで退職者の声を読む

口コミサイトでは、退職理由や部署ごとの実感を知ることができます。数字には表れない「なぜ辞めたのか」を把握する用途に向いています。

メリット:退職理由の傾向という、定量データにない情報が得られる。
注意点:投稿は不満を持った層に偏りやすく、情報が古い場合もある。

6. 転職エージェントに直接聞く

取引実績のあるエージェントは、その企業にどのくらいの頻度で求人が出ているか、過去の紹介者がどう定着しているかを把握しています。公開情報で埋まらない部分を補えるのが、この方法の最大の価値です。

メリット:離職率という数字ではなく、実際の入れ替わりの感触を聞ける。
注意点:エージェントごとに取引企業が異なり、情報の濃さに差が出る。

上場企業の離職率を調べる5ステップ【実践手順】

ここでは、最も情報量の多い有価証券報告書を使った手順を5つのステップで整理します。所要時間は1社あたり10分程度です。

  1. 金融庁の開示システムで企業名を検索し、直近の有価証券報告書を開く
  2. 「従業員の状況」を開き、従業員数・平均年齢・平均勤続年数・平均年間給与を控える
  3. 過去3〜5期分を並べ、従業員数と平均勤続年数の推移を確認する
  4. 人的資本やサステナビリティに関する記載欄で、離職率・定着率の記述を探す
  5. 同業他社2〜3社の同じ項目と比較し、業界水準からの位置を把握する

見るべきポイントは、単年度の数字ではなく推移です。従業員数が増えているのに平均勤続年数が下がり続けている場合、採用が先行して定着が追いついていない可能性があります。逆に、急拡大している企業は新入社員が母数を押し上げるため、平均勤続年数が短く出るのは自然なことです。

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非上場・中小企業の離職率を調べる3つの方法

非上場企業は有価証券報告書がないため、調べ方を変える必要があります。

公開資料がない企業ほど、周辺情報からの推測と、人に聞く方法が効いてきます。

・厚生労働省の職場情報サイトやユースエール認定の有無を確認する
・同じ求人が長期間、あるいは繰り返し掲載されていないかを確認する
・エージェント経由で、直近の入社者の定着状況を確認する

私たちが求人を扱う際も、同じポジションの募集が短い周期で繰り返されている企業は、背景を必ず確認します。事業拡大による増員なのか、欠員補充が続いているのかで、意味はまったく異なるためです。応募先に迷ったときは、この点をエージェントに質問してみてください。

離職率は何%なら高い?判断の目安【データで見る】

離職率の高低は、業界と企業規模を揃えて比べなければ意味を持ちません。目安として押さえるべき指標を整理します。

比較の指標参照すべきデータ
全産業の平均離職率厚生労働省「雇用動向調査」
情報通信業の離職率厚生労働省「雇用動向調査」
製造業の離職率厚生労働省「雇用動向調査」
新卒3年以内離職率厚生労働省「新規学卒者の離職状況」
企業規模別の傾向厚生労働省「新規学卒者の離職状況」

参考として、転職のしやすさを示す指標も押さえておくと判断に役立ちます。情報処理・通信技術者の有効求人倍率は1.43倍で、職業計の1.12倍を上回っています。人が動きやすい職種ほど離職率も高く出やすいという構造があり、数字の高さがそのまま職場の問題を意味するとは限りません。

出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」(2025年11月)

なお、機械設計や回路設計、生産技術といった機電系職種については、職種単位の離職率の統計が限られます。全産業や製造業全体の数字を、そのまま個別職種に当てはめないようご注意ください。

離職率の数字だけで判断してはいけない3つの理由

調べた数字をどう扱うかが、実は最も重要です。理由を3つ挙げます。

  1. 定義が企業ごとに違う:定年退職や転籍を含めるかで、数ポイント単位で変動します
  2. 成長企業は低く出やすい:採用を増やすと分母が膨らみ、離職率は見かけ上下がります
  3. 部署・職種で実態が異なる:全社の数字が低くても、特定の部署だけ入れ替わりが激しいことは珍しくありません

特にエンジニアの場合、3点目が大きく影響します。

同じ会社でも、自社開発部門と客先常駐部門では働き方も定着状況も別物になりがちです。

ここで一度立ち止まっていただきたいのが、離職率の高さが、その職種やビジネスモデルに構造的に伴うものなのか、その企業固有の環境の問題なのかを切り分けることです。受託開発や客先常駐は、プロジェクト単位で人が動く性質上、数字が高く出やすい傾向があります。一方、同じ業態でも評価制度や配属の決め方によって定着に差が出るケースも多く見てきました。構造の問題なら領域を変える、企業固有の問題なら同領域で体制の整った企業を選ぶ、という順序で考えると判断がぶれません。

面接・カジュアル面談での聞き方|そのまま使える質問例5つ

公開情報で埋まらない部分は、選考の場で直接確認するのが確実です。そのまま使える質問例を挙げます。

・「配属予定のチームは、直近1年で何名の増減がありましたか」
・「このポジションは増員によるものでしょうか、欠員補充でしょうか」
・「同じ職種の方の平均的な在籍年数は、どのくらいでしょうか」
・「退職された方には、どのような理由が多かったのでしょうか」
・「入社1年以内の方は、現在どのくらい在籍されていますか」

避けたいのは「御社の離職率は高いですか」といった、相手に評価を迫る聞き方です。事実を尋ねる形にすれば、警戒されにくく、回答も具体的になります。回答時に数字が即答されるか、部署単位まで踏み込んで話せるかどうかも、組織の透明性を測る材料になります。

答えをはぐらかされた場合も、それ自体が情報です。ただし、担当者が現場のマネージャーでない場合は単に把握していないだけのこともあるため、一度で判断せず、別の面接官にも同じ質問をしてみてください。

離職率と併せて確認したい5つの指標|エンジニア転職の場合

離職率は単独で見るより、他の指標と組み合わせたほうが精度が上がります。

指標確認できる場所見るポイント
平均勤続年数有価証券報告書、職場情報サイト業界平均や同規模他社との差
従業員数の推移有価証券報告書、企業サイト増減のペースと採用数のバランス
中途採用比率職場情報サイト、採用ページ中途入社者が定着しているか
客先常駐・受託の比率求人票、事業内容の記載配属先が固定か流動的か
平均残業時間と有給取得率職場情報サイト、求人票数字の裏付けがある記載か

応募前チェックリスト

応募を判断する前に、以下を確認してみてください。

□ 離職率または平均勤続年数の数字を入手した
□ 数字の対象期間と対象者の範囲を確認した
□ 同業・同規模の企業2社以上と比較した
□ 従業員数の推移を3期分以上確認した
□ 配属予定部署の情報を確認した(全社平均ではなく)
□ 求人が繰り返し掲載されていないか確認した
□ 退職理由の傾向を口コミまたは面接で確認した
□ 自分が重視する条件(働き方・技術領域)と照らし合わせた

6つ以上に印がついていれば、判断材料は十分に揃っています。3つ以下の場合は、情報不足のまま決断しようとしている可能性があります。

調べた数字をどう読むか、迷ったときは

公開情報だけでは、部署単位の実態や求人の背景までは見えにくいものです。経験豊富なアドバイザーが、これまでのキャリアを丁寧にヒアリングしたうえで、企業の実態を踏まえた選択肢を一緒に考えます。今の悩みの相談だけでもかまいません。
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まとめ

・離職率は「公開資料→公的データベース→人に聞く」の3段階で調べるのが最短
・上場企業は有価証券報告書の「従業員の状況」から、従業員数と平均勤続年数の推移を確認する
・非上場企業は厚生労働省の職場情報サイトや、求人の出方、エージェント経由の情報で補う
・同じ離職率でも定義や対象期間が異なるため、数字は業界・規模を揃えて比較する
・数字の高さが職種の構造によるものか、その企業固有の環境によるものかを切り分けて判断する

よくある質問

中途採用者の離職率は調べられますか

企業が個別に公表している例は限られます。中途採用比率や平均勤続年数から間接的に推測するか、面接で「同職種の方の在籍年数」を尋ねる方法が現実的です。エージェント経由であれば、過去に入社した方の定着状況を確認できる場合もあります。

離職率を公表していない企業は避けるべきですか

公表の有無だけで判断する必要はありません。非上場企業や中小企業では、開示の仕組みがないことも多いためです。公表がない場合は、平均勤続年数や求人の掲載頻度など、別の指標から実態を確認してください。

離職率は何%以上だと危険信号ですか

一律の基準はありません。業界・企業規模・職種によって水準が大きく異なるためです。判断するときは、同業かつ同規模の企業の平均と比べ、さらに数年分の推移を見て、上昇傾向にあるかどうかを確認するのが現実的です。

口コミサイトの情報はどこまで信じてよいですか

傾向をつかむ材料として使い、断定には使わないのが適切です。投稿は不満を持った層に偏りやすく、時期も部署もばらつきます。複数の投稿に同じ指摘が繰り返し出てくる場合は、面接で事実関係を確認してみてください。

面接で離職率を聞くと不利になりませんか

聞き方次第です。評価を迫る質問ではなく、「配属予定チームの直近の増減」といった事実確認の形にすれば、長く働く前提で考えている候補者として受け取られることが多くあります。質問のタイミングは、逆質問の場面が適しています。

客先常駐の企業は離職率が高いのでしょうか

プロジェクト単位で人が動く性質上、数字が高く出やすい傾向はあります。ただし、同じ業態でも配属の決め方や評価制度によって定着状況は大きく変わります。業態だけで判断せず、配属の決まり方を確認することをおすすめします。

なお、退職や労働条件に関する具体的な手続きや権利については、労働基準監督署や社会保険労務士などの専門窓口にご相談ください。

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この記事の執筆者

AIdeaCareerMedia編集部

主にIT・機電エンジニアに特化した転職事情に関する有益な情報を発信するメディアの編集部です。転職者であれば転職市場や選考での対策、企業の採用担当者様であればエンジニア人材の採トレンド等の「エンジニアに携わる転職・採用」の情報を提供します。

この記事の監修者

人材紹介事業部 事業統括責任者 堀 凌也

関西学院大学卒業後、新卒で当社入社。入社直後よりリクルーティングアドバイザーとしてトップクラスの成績を収め、組織内最年少で拠点責任者に抜擢。
現在は求職者への価値提供と企業の採用課題解決を両立する事業統括責任者として、組織の急成長と人材育成を牽引。