保全とは?種類・仕事内容・必要な資格をわかりやすく解説|設備保全の年収も紹介

保全とは?種類・仕事内容・必要な資格をわかりやすく解説|設備保全の年収も紹介

「保全とはどういう意味?」「設備保全の求人をよく見かけるけれど、どんな仕事なの?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。

保全とは、工場などの設備が本来の機能を発揮できるよう、点検・修理・改善を行って維持する活動のことです。この活動を専門に担う仕事が「設備保全」で、生産を止めないために欠かせない存在として、製造業を中心に幅広い業界で求められています。

この記事では、IT・機電エンジニア専門の転職エージェントである私たちが、保全の意味や種類、設備保全の仕事内容、必要なスキルと資格、年収、なり方を解説します。

保全とは

保全とは、設備の故障を防ぎ、故障した場合には速やかに回復させて、良い状態を保つための活動全般を指します。英語では「メンテナンス」と呼ばれ、日本産業規格(JIS)でも生産管理に関する用語として定められています。

保全の目的

保全の目的は、設備を止めずに、品質の良い製品を安全に作り続けることです。設備が突然止まると、生産が遅れるだけでなく、不良品の発生や作業者の事故につながるおそれもあります。保全は「壊れたら直す」だけでなく、「壊れないようにする」ことまで含む活動です。

保守との違い

保全と似た言葉に「保守」があります。両者は同じような意味で使われることも多いですが、一般的には次のように使い分けられる傾向があります。

・保守:設備やシステムを正常な状態に保つための、日常的な点検や修理
・保全:保守に加えて、故障しにくくするための改良や、保全しやすい設備づくりまで含む広い概念

なお、IT分野ではシステムの維持管理を「保守」と呼ぶことが多く、工場の設備では「保全」という言葉がよく使われます。

設備保全という仕事

工場の設備を対象に保全を専門で行う仕事を、設備保全と呼びます。求人では「保全員」「設備保全エンジニア」「メンテナンススタッフ」などの名称で募集されることもあります。

保全の種類

保全は、いつ、どのような考え方で行うかによって、いくつかの種類に分けられます。主な種類は次のとおりです。

種類内容例
時間基準保全決められた周期で点検や部品交換を行う半年ごとに消耗部品を交換する
状態基準保全設備の状態を測り、劣化の兆候に応じて対応する振動や温度の変化から異常を見つける
事後保全故障してから修理する止まっても影響が小さい設備に適用する
改良保全故障しにくいよう設備を改良する壊れやすい部品の材質や構造を見直す
保全予防設備の設計段階から保全のしやすさを考える点検しやすい部品配置にする

このうち、時間基準保全(TBM)と状態基準保全(CBM)は、故障する前に手を打つ「予防保全」に含まれます。状態基準保全のうち、センサーなどで集めたデータから故障の時期を予測するものは「予知保全」とも呼ばれ、近年注目を集めています。

どの方法が正解というわけではなく、設備の重要度や故障したときの影響に応じて使い分けます。例えば、生産ライン全体が止まる重要な設備は予防保全を手厚くし、予備がある設備は事後保全にするなど、費用と効果のバランスを考えて計画します。

自主保全と専門保全

保全は、担当者によっても分けられます。製造現場の作業者が日常的な清掃や点検を行うのが「自主保全」、保全部門の専門スタッフが修理や計画的な整備を行うのが「専門保全」です。多くの工場では、両者が役割を分担しながら設備を守っています。

設備保全の仕事内容【業務別】

設備保全の仕事は、故障への対応だけでなく、点検、計画、改善、管理まで幅広くあります。主な業務と内容は次のとおりです。

業務主な内容
日常点検・定期点検設備の音、振動、温度、油の状態などを確認する
故障対応設備が止まった際に原因を調べ、修理して復旧させる
保全計画の立案点検や部品交換の周期を決め、計画的に実行する
設備の改善故障の再発防止や作業効率の向上のために設備を改良する
部品・記録の管理予備部品の在庫や、点検・修理の記録を管理する
設備導入の支援新しい設備の据え付けや立ち上げに立ち会う

点検と故障対応

日々の業務の中心は、設備の点検と、故障が起きたときの対応です。点検では、五感や計測器を使って異常の兆候を早めに見つけます。故障対応では、限られた時間の中で原因を突き止め、生産を再開させることが求められます。

保全計画と改善

経験を積むと、点検や部品交換の計画を立てる業務や、故障の再発を防ぐための改善を任されるようになります。「同じ故障を繰り返さないために何を変えるか」を考える仕事で、設備保全のやりがいが大きい部分です。

部品と記録の管理

予備部品が不足すると、故障時の復旧が遅れます。そのため、必要な部品の在庫を管理し、点検や修理の記録を残すことも大切な業務です。記録は、故障の傾向を分析し、保全計画を見直すための材料にもなります。

設備保全の種類と活躍する業界

設備保全は、扱う技術によって大きく3つに分けられます。

・機械保全:ベアリングや減速機、油圧・空圧機器など、機械部分の点検・修理を担う
・電気保全:モーター、制御盤、センサー、配線など、電気部分の点検・修理を担う
・計装保全:温度や圧力、流量などを測定・制御する機器の点検・調整を担う

小規模な工場では一人で機械と電気の両方を担当することもあれば、大規模な工場では分野ごとに担当が分かれていることもあります。

活躍する業界も幅広く、自動車・部品、食品・飲料、化学・素材、半導体・電子部品、医薬品などの工場で求められています。なお、建物の電気や空調設備を扱うビルメンテナンスも保全の一種ですが、工場の設備保全とは対象や求められる知識が異なるため、区別して考えるとよいでしょう。

求人の傾向としては、設備保全は未経験者を歓迎する求人が比較的多い職種です。一方で、電気系の知識や資格を持つ人材は経験の有無にかかわらず評価されやすく、選考でも有利に働く傾向があります。

設備保全の仕事に関心を持った方へ

同じ設備保全でも、業界や工場の規模によって働き方や担当範囲は大きく異なります。経験豊富なアドバイザーが、これまでのキャリアを丁寧にヒアリングし、自分に合う職場を一緒に考えます。
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設備保全の1日の流れ(例)

ここでは、工場で日勤の設備保全を担当する場合の1日の例を紹介します。

時間内容
8:00始業、朝礼で前日の設備の状況を共有
8:30担当設備の日常点検
10:00保全計画に沿った部品交換
12:00昼休憩
13:00設備停止の連絡を受けて故障対応
15:00故障原因の調査と再発防止策の検討
16:30点検・修理記録の入力
17:00終業、夜勤の担当者への引き継ぎ

24時間稼働の工場では、交替勤務で夜勤を担当する場合もあります。また、生産が止まる長期休暇の期間に、大がかりな点検や工事を行う職場も多く見られます。働き方は職場によって大きく異なるため、求人を見る際は勤務体系をよく確認しましょう。

設備保全に必要なスキル・知識

設備保全には、機械と電気の基礎知識に加えて、故障の原因を突き止める力が求められます。主なスキル・知識は次のとおりです。

・機械の知識:ベアリング、減速機、油圧・空圧機器などの仕組み
・電気の知識:モーター、インバーター、配線、制御盤の仕組み
・制御の知識:PLC(工場設備の制御に使われる専用コントローラー)やシーケンス制御の理解
・図面を読む力:機械図面や電気回路図を読み取る力
・故障解析の力:「なぜ壊れたか」を掘り下げ、根本原因を突き止める力
・安全意識:高所作業や電気作業における危険を理解し、ルールを守る姿勢

設備保全で特に評価されるのは、目の前の故障を直すだけでなく、原因を突き止めて再発を防ぐ力です。転職活動では「担当設備の故障件数を○%減らした」「停止時間を年間○時間短縮した」のように、改善の成果を数値で示すと説得力が増します。

設備保全に役立つ資格

設備保全の仕事に就くために、必須となる資格は多くありません。ただし、扱う設備によっては資格が必要な作業もあり、知識を証明する材料としても役立ちます。

・機械保全技能士:設備保全の技能を証明する国家検定で、機械系や電気系などの作業区分がある
・第二種電気工事士:一定の電気工事を行うために必要とされる国家資格
・第三種電気主任技術者:事業用の電気設備の保安監督を行うための国家資格
・危険物取扱者:一定量以上の危険物を扱う際に必要とされる国家資格
・ボイラー技士・冷凍機械責任者:ボイラーや冷凍設備を扱う職場で求められる資格

未経験から目指す方は、まず第二種電気工事士や機械保全技能士の取得を目標にすると、学習の方向性が定まりやすくなります。

設備保全の年収

設備保全の年収は、業界や企業規模、担当範囲、勤務体系によって差が出やすい傾向があります。

指標金額・数値(目安)
設備保全の平均年収571.2万円
年代別の年収推移20代:約397万円/30代:約511万円/40代:約593万円/50代:約605万円
全職業の有効求人倍率(職業計)1.12倍

出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」(2025年11月)

上記の有効求人倍率は全職業の指標であり、設備保全の需要そのものを示す数値ではありません。

交替勤務の職場では、夜勤手当や交替勤務手当の有無によって年収に差が出ることがあります。また求人の傾向として、電気系の資格やPLCを扱った経験、保全計画の立案経験は評価されやすく、条件面の向上につながりやすい要素です。

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設備保全のやりがいと大変さ

設備保全は、生産を支える重要な仕事である一方で、突発的な対応や体力面での大変さもあります。

やりがいは次のとおりです。

・止まった設備を自分の手で復旧させたときの達成感がある
・機械と電気の両方の技術が身につき、専門性を高められる
・改善によって故障が減り、工場全体の生産性向上に貢献できる

大変さは次のとおりです。

・設備が止まると、時間に追われながら原因を探す必要がある
・夜勤や休日の呼び出しに対応する職場もある
・暑さや油汚れ、高所など、作業環境が厳しい場面がある
・設備が順調に動いているのが当たり前とされ、成果が見えにくい

相談現場では、「故障対応に追われて休みが取れない」「夜中の呼び出しがつらい」という声をよく聞きます。ただし、こうした大変さには、職種そのものの特性と、職場環境の問題が混ざっていることが少なくありません。

そのため、その大変さが設備保全という職種に共通するものなのか、人員不足や予防保全の体制不足といった職場環境によるものなのかを切り分けることが大切です。予防保全に力を入れている工場では、突発的な故障対応が減る傾向があります。環境が理由なら、同じ設備保全で体制の整った企業へ移ることで改善できる可能性があります。一方で、現場作業そのものが合わないと感じる場合は、生産技術や設備設計など、経験を活かせる関連職種を検討するのも一つの方法です。

設備保全になるには

設備保全は、未経験からでも目指しやすい職種の一つです。経歴に応じた目指し方と、その後のキャリアパスを紹介します。

未経験から目指す場合

未経験者を歓迎する求人では、入社後に先輩のもとで点検や修理を学ぶ体制が整っていることが多くあります。第二種電気工事士などの資格を学習しておくと、意欲を伝える材料になり、選考で有利に働く傾向があります。

製造オペレーターから目指す場合

製造現場で設備を操作してきた経験は、設備の正常な状態を知っている点で大きな強みになります。自主保全で点検や簡単な修理を担当した経験があれば、具体的にアピールしましょう。

機械・電気系の学科や資格を持つ場合

工業高校や高専、大学の機械系・電気系学科の出身者は、基礎知識を活かして早くから戦力になりやすい傾向があります。電気系の資格を持っている場合は、電気保全の求人で特に評価されやすくなります。

設備保全のキャリアパス

設備保全で経験を積んだ後は、次のようなキャリアが考えられます。

・保全の計画や部門の管理を担う保全リーダー・管理職
・設備の導入やラインの設計を担う生産技術
・設備そのものを設計する設備設計エンジニア
・メーカー側で顧客の設備を点検・修理するフィールドエンジニア
・データを活用して予知保全を推進する技術者

設備保全のキャリアを一人で抱え込まないために

今の職場の働き方に悩んでいる方も、未経験から挑戦したい方も、選択肢を知ることが第一歩です。市場価値を客観的に評価したうえで、納得のいく選択肢を一緒に考えます。今の悩みの相談だけでもかまいません。
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まとめ

・保全とは、設備の機能を維持するために点検・修理・改善を行う活動のこと
・保全には時間基準保全、状態基準保全、事後保全、改良保全、保全予防などの種類があり、設備の重要度に応じて使い分ける
・設備保全の仕事は、点検、故障対応、保全計画、改善、部品・記録の管理まで幅広い
・機械と電気の基礎知識に加え、故障の原因を突き止めて再発を防ぐ力が評価される
・大変さを感じたら、職種そのものの特性か、人員不足など職場環境の問題かを切り分けて考える

よくある質問

保全と保守の違いは何ですか?

同じような意味で使われることも多いですが、保守は設備を正常な状態に保つための日常的な点検や修理を指すことが一般的です。一方で保全は、保守に加えて、故障しにくくするための改良なども含む広い概念として使われる傾向があります。

予防保全と予知保全の違いは何ですか?

予防保全は、故障する前に点検や部品交換を行う考え方全般を指します。予知保全はその一種で、センサーなどで設備の状態を測定し、集めたデータから故障の時期を予測して対応する方法です。決まった周期で対応する時間基準保全に比べ、必要なタイミングで対応できる点が特徴です。

未経験でも設備保全の仕事に就けますか?

就ける可能性は十分にあります。設備保全は未経験者を歓迎する求人が比較的多く、入社後に実務を通じて学べる職場もあります。ただし、機械や電気の基礎を学んでおくと、仕事の理解が早まります。第二種電気工事士などの資格学習から始めるのもおすすめです。

設備保全はきつい仕事ですか?

突発的な故障対応や、夜勤・休日の呼び出しがある職場では、きついと感じる場面もあります。ただし、負担の大きさは職場の人員体制や、予防保全への取り組み方によって大きく異なります。求人を選ぶ際は、勤務体系や保全部門の体制まで確認することが大切です。

AIやロボットの普及で設備保全の仕事はなくなりますか?

すぐになくなる可能性は低いと考えられます。データを使った予知保全などで仕事の進め方は変わりつつありますが、実際に設備を点検・修理し、改善策を考えるのは人の役割です。むしろ、データ活用の知識を身につけることで、活躍の幅は広がる傾向にあります。

資格がなくても設備保全の仕事はできますか?

資格がなくても始められる仕事は多くあります。ただし、一定の電気工事や危険物の取り扱いなど、資格が必要とされる作業もあります。担当できる業務の幅を広げ、評価を高めるためにも、入社後に計画的に資格を取得していくことをおすすめします。

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この記事の執筆者

AIdeaCareerMedia編集部

主にIT・機電エンジニアに特化した転職事情に関する有益な情報を発信するメディアの編集部です。転職者であれば転職市場や選考での対策、企業の採用担当者様であればエンジニア人材の採トレンド等の「エンジニアに携わる転職・採用」の情報を提供します。

この記事の監修者

【機電部門統括責任者】キャリアアドバイザー 湯浅 空大

立命館大学卒業後、新卒で中堅アパレル企業へ入社。当社入社後は未経験圧倒的なスピードで実績を上げ、わずか2年半で機電部門統括責任者に就任。
圧倒的な求職者様目線を強みに、多くの機電エンジニアの転職成功。現在は、機電部門統括責任者として、勝てる組織づくりと後進育成に邁進。