「技術士補とはどんな資格なのか」「第一次試験に合格したら、技術士補に登録したほうがよいのか」と気になって検索した方も多いのではないでしょうか。技術士を目指す最初の一歩として関心を持ちながらも、実際の価値がわかりにくいと感じる方は少なくありません。
技術士補とは、技術士を目指す人が、技術士の補助をしながら必要な経験を積むための国家資格です。 第一次試験の合格などで登録資格を得られますが、登録しなくても技術士を目指すことはできるため、自分のキャリアに合わせて登録の要否を判断することが大切です。
この記事では、IT・機電エンジニア専門の転職エージェントである私たちが、技術士補の制度やなり方、第一次試験の内容、登録の流れ、メリットと「意味ない」と言われる理由、技術士へのステップアップまでを解説します。
技術士補とは
技術士補とは、技術士法に基づく国家資格で、技術士となるために必要な技能を身につける目的で、技術士の業務を補助する人を指します。技術士補として登録した人だけが、「技術士補」の名称を使うことができます。
技術士は、科学技術に関する高度な専門知識と応用能力を持つ技術者を認定する国家資格です。機械、電気電子、情報工学、建設など、複数の技術部門に分かれています。技術士補は、その技術士を目指す段階の資格と位置づけられています。
なお、技術士制度の試験と登録の事務は、公益社団法人日本技術士会が担っています。制度の内容は見直されることがあるため、受験や登録の前には必ず公式の最新情報を確認してください。
技術士・修習技術者との違い
技術士補とあわせて知っておきたいのが、「修習技術者」という言葉です。3つの違いは次のとおりです。
| 区分 | どのような人か | 名称の使用 |
| 修習技術者 | 第一次試験に合格した人、または認定された教育課程を修了した人 | 資格の名称ではない |
| 技術士補 | 修習技術者のうち、技術士補として登録した人 | 登録すれば「技術士補」を名乗れる |
| 技術士 | 第二次試験に合格し、技術士として登録した人 | 登録すれば「技術士」を名乗れる |
つまり、第一次試験に合格しただけの段階では「修習技術者」であり、技術士補になるには別途登録が必要です。第一次試験の合格と技術士補の登録は、別のものだと理解しておくことが重要です。
技術士補になるには【2つのルート】
技術士補になるには、まず修習技術者になり、そのうえで技術士補として登録する必要があります。修習技術者になるルートは、主に次の2つです。
- 技術士第一次試験に合格する
- 文部科学大臣が指定した大学などの教育課程を修了する
1つ目の第一次試験は、年齢・学歴・実務経験を問わず誰でも受験できます。社会人になってから技術士を目指す方の多くは、このルートを選びます。
2つ目は、日本技術者教育認定機構(JABEE)が認定した教育課程のうち、文部科学大臣が指定したものを修了するルートです。該当する課程を修了すると、第一次試験が免除され、修習技術者となります。自分の出身学科が対象かどうかは、大学や公式の情報で確認してください。
技術士第一次試験の内容
第一次試験は、技術者としての基礎知識、倫理観、専門分野の基本的な知識を確かめる試験です。 受験資格の制限がないため、学生や若手のエンジニアも多く挑戦しています。
試験は、次の3つの科目で構成されています。
| 科目 | 主な内容 |
| 基礎科目 | 設計・計画、情報・論理、解析、材料・化学・バイオ、環境・エネルギー・技術など、科学技術全般の基礎 |
| 適性科目 | 技術士法に定められた義務や、技術者としての倫理に関する理解 |
| 専門科目 | 受験する技術部門の専門知識 |
専門科目は、機械、電気電子、情報工学、建設、化学、金属など、複数の技術部門から1つを選んで受験します。部門ごとに出題範囲が異なるため、自分の専門分野や、将来技術士を目指したい分野に合わせて選ぶことが大切です。
試験は例年1回、秋から冬ごろに実施されています。合格率は部門や年度によって異なります。受験の申し込み時期や試験日も、公式の情報で必ず確認してください。
技術士補の登録の流れ
第一次試験に合格した後、技術士補として登録するには、一般的に次の流れで手続きを進めます。
- 第一次試験に合格する、または指定された教育課程を修了する
- 補助を受ける技術士(指導技術士)を決める
- 必要な書類をそろえ、日本技術士会に登録を申請する
- 審査を経て、技術士補として登録される
登録の大きな特徴は、自分が補助する技術士を決めなければならない点です。 指導技術士は、原則として自分と同じ技術部門の技術士である必要があるとされています。社内に技術士がいない場合は、登録のハードルが高くなります。
登録には、登録免許税や登録手数料などの費用がかかります。必要な書類や費用の詳細は、申請前に公式の案内を確認してください。
技術士補を取得するメリット
技術士補として登録するメリットは、主に次の4つです。
- 「技術士補」の名称を使える:名刺や職務経歴書に、国家資格として記載できる
- 第二次試験の受験資格につながる:技術士の補助を4年を超えて行うことで、受験資格の要件の1つを満たせるとされる
- 技術士の指導を受けながら成長できる:日頃の業務で、技術士から直接学ぶ機会が増える
- 学習意欲を示せる:若手のうちに取得していると、自己研さんの姿勢が伝わりやすい
相談の現場では、「第一次試験に合格したが、技術士補に登録するべきか迷っている」という声をよく聞きます。社内に同じ部門の技術士がいて、その人の指導を受けながら働ける環境であれば、登録するメリットは大きいといえます。
また、選考の場面では、第一次試験の合格や技術士補の登録が、基礎知識と学習意欲の裏付けとして評価されやすい傾向があります。特に、実務経験が浅い若手の方にとっては、アピール材料の1つになります。
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技術士補は意味ない?と言われる理由
インターネット上では「技術士補は意味ない」という声も見かけます。そう言われるのには、制度上の理由があり、すべての人にとって登録が必要なわけではないからです。 主な理由は次のとおりです。
・登録しなくても、第二次試験を受ける道がある
・技術士補でなければできない業務(業務独占)がない
・登録には同じ部門の指導技術士が必要で、条件をそろえにくい
・登録に費用と手間がかかる
・最終的な目標である技術士に比べると、社外での認知度が高くない
ただし、これは「技術士補に価値がない」という意味ではありません。指導技術士のもとで経験を積める環境にいる方や、国家資格として名称を名乗りたい方にとっては、十分に意味のある資格です。
大切なのは、技術士補を「ゴール」ではなく「技術士への通過点」として捉えることです。自分の職場環境や目指すキャリアに照らして、登録するかどうかを判断しましょう。
技術士補と年収・キャリアの関係
技術士補の登録だけで、年収が大きく上がるとは限りません。年収に影響しやすいのは、技術士補そのものより、最終的な技術士の取得や、業務での実績です。
ただし、企業によっては資格が待遇に反映される場合があります。主な関わり方と確認したいポイントは次のとおりです。
| 項目 | 内容(目安) |
| 技術士補の資格手当 | 企業によって有無や金額が異なる |
| 技術士の資格手当 | 企業によって有無や金額が異なる |
| 昇格要件への反映 | 一部の企業で、技術士や技術士補を要件や加点の対象としている |
建設コンサルタントなど一部の業界では、技術者が保有する資格が、会社の受注や技術者の配置に関わる場面があるとされています。そのため、技術士やその前段階の資格を重視する企業も見られます。
私たちが扱う求人を見ても、技術士補は「歓迎条件」として記載されることはあっても、必須条件とされることは限られます。資格を取っても評価が変わらないと感じる場合は、原因が資格の活かし方にあるのか、資格や専門性を評価する仕組みのない環境にあるのかを切り分けてみてください。 環境が理由であれば、技術士を目指す人を支援する制度や体制のある企業を検討する価値があります。
技術士補をはじめ、エンジニアの資格選びや職種研究に役立つ情報を、LINEでも配信しています。情報収集の段階でもお気軽にどうぞ。
技術士へのステップアップ
技術士補や修習技術者になった後は、第二次試験に合格することで技術士を目指せます。第二次試験を受けるには、修習技術者であることに加えて、一定の実務経験が必要とされています。
第二次試験の受験資格となる実務経験には、主に次の3つのパターンがあるとされます。
| パターン | 必要とされる経験 |
| 技術士補としての経験 | 技術士補として、技術士を補助した期間が4年を超える |
| 監督者のもとでの経験 | 職務上の監督者の指導のもとで、科学技術の業務に従事した期間が4年を超える |
| 単独での実務経験 | 科学技術に関する専門的な応用能力を必要とする業務に従事した期間が7年を超える |
このように、技術士補として登録しなくても、上司などの監督者のもとでの経験や、一定期間の実務経験で受験資格を満たす道があります。大学院での研究経験を期間に含められる場合もあります。
自分がどのパターンで受験資格を満たせるかは、所属する組織の体制や経歴によって異なります。詳しい要件は、日本技術士会の公式情報で確認してください。
第一次試験の効率的な勉強法
第一次試験は、科目ごとに出題の傾向が比較的はっきりしているため、過去問題を中心に学ぶのが効率的です。 次のポイントを意識すると、限られた時間でも準備を進めやすくなります。
・過去問題を複数年分解き、出題の傾向をつかむ
・適性科目は、技術士法の義務と技術者倫理の考え方を押さえる
・基礎科目は、得意な分野から確実に得点できる問題を選ぶ
・専門科目は、日頃の業務に近い分野を中心に学ぶ
・試験日から逆算して、仕事の繁忙期を避けた学習計画を立てる
勉強を始める前に、次のような計画を書き出しておくと、途中で迷いにくくなります。
| 項目 | 記入例 |
| 受験する技術部門 | 機械部門 |
| 受験の目的 | 将来技術士を目指すための第一歩として |
| 試験日 | ○年○月○日 |
| 1週間の学習時間 | 平日○時間、休日○時間 |
| 苦手な科目・分野 | 基礎科目の情報・論理 |
| 合格後の予定 | 技術士補に登録するか、修習技術者として経験を積むかを決める |
合格に必要な学習時間は、経験や受験する部門によって大きく異なります。公式の情報や受験者の体験談も参考にしながら、自分に合った計画を立ててください。
技術士を目指せる環境を探し始めたら
市場価値を客観的に評価したうえで、納得のいく選択肢を一緒に考えます。今の悩みの相談だけでもかまいません。
まとめ
・技術士補とは、技術士を目指す人が、技術士の補助をしながら経験を積むための国家資格
・第一次試験の合格などで修習技術者となり、指導技術士を決めて登録すると技術士補になれる
・名称を使えることや、第二次試験の受験資格につながることがメリット
・登録しなくても技術士を目指す道があるため、職場環境やキャリアに合わせて登録を判断する
・資格が評価されない原因が活かし方か、評価の仕組みがない環境かを切り分けることが大切
よくある質問
技術士補と修習技術者の違いは何ですか?
修習技術者は、第一次試験に合格した人や、指定された教育課程を修了した人を指します。技術士補は、その修習技術者のうち、指導技術士を決めて登録した人です。第一次試験に合格しただけでは技術士補を名乗れない点に注意が必要です。
技術士補に登録しないと技術士になれませんか?
登録しなくても技術士を目指すことは可能です。第二次試験の受験資格には、技術士補としての経験のほか、職務上の監督者のもとでの経験や、一定期間の実務経験で満たすパターンもあるとされています。詳しい要件は公式の情報で確認してください。
技術士補は学生でも取れますか?
第一次試験は年齢・学歴を問わず受験できるため、学生でも合格を目指せます。ただし、技術士補として登録するには指導技術士を決める必要があるため、学生のうちは第一次試験の合格までにとどめ、就職後に登録を検討する方も多くいます。
技術士補は転職で評価されますか?
基礎知識や学習意欲の裏付けとして、評価されることがあります。特に実務経験が浅い若手の方にとっては、アピール材料の1つになります。ただし、選考で最も重視されるのは業務での実績のため、資格とあわせて担当した仕事の成果を具体的に伝えることが大切です。
第一次試験はどの部門を受けるべきですか?
日頃の業務や大学で学んだ分野に近い部門を選ぶのが基本です。将来、技術士として活躍したい分野がはっきりしている場合は、その部門を選ぶと第二次試験までの学習がつながりやすくなります。迷う場合は、各部門の過去問題を見て判断するのも1つの方法です。
技術士補や技術士を目指すキャリアについて、もう少し情報を集めてから考えたい方もいるのではないでしょうか。資格選びや職種研究に役立つ情報をLINEで配信しています。まずは情報を受け取るところから始めてみてください。
この記事の執筆者

AIdeaCareerMedia編集部
主にIT・機電エンジニアに特化した転職事情に関する有益な情報を発信するメディアの編集部です。転職者であれば転職市場や選考での対策、企業の採用担当者様であればエンジニア人材の採トレンド等の「エンジニアに携わる転職・採用」の情報を提供します。
この記事の監修者

【機電部門統括責任者】キャリアアドバイザー 湯浅 空大
立命館大学卒業後、新卒で中堅アパレル企業へ入社。当社入社後は未経験圧倒的なスピードで実績を上げ、わずか2年半で機電部門統括責任者に就任。
圧倒的な求職者様目線を強みに、多くの機電エンジニアの転職成功。現在は、機電部門統括責任者として、勝てる組織づくりと後進育成に邁進。
