CASEとは?自動車業界の4つの変革をわかりやすく解説|求められる職種も紹介

CASEとは?自動車業界の4つの変革をわかりやすく解説|求められる職種も紹介

「自動車業界のCASEとは何のこと?」「ニュースでよく聞くけれど、エンジニアの仕事にどう影響するの?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。

CASEとは、自動車業界の大きな変化を表す4つの技術・サービスの頭文字をとった言葉です。コネクテッド、自動運転、シェアリング・サービス、電動化を指し、車の作り方だけでなく、求められるエンジニアの技術も大きく変えつつあります。

この記事では、IT・機電エンジニア専門の転職エージェントである私たちが、CASEの意味や4つの要素、自動車業界への影響、CASE時代に求められる職種とスキルを解説します。

CASEとは

CASEは、自動車業界の変化を象徴する4つの領域の頭文字を組み合わせた言葉です。それぞれの意味は次のとおりです。

頭文字意味主な内容
Cコネクテッド車が通信でつながり、情報をやり取りする
A自動運転システムが運転の一部または全部を担う
Sシェアリング・サービス車を所有せず、共有やサービスとして利用する
E電動化モーターと電池を使って車を動かす

この言葉は、ドイツの自動車メーカー(当時のダイムラー社)が中長期戦略の中で示したことをきっかけに広まったとされています。その後、国内の自動車業界でも、今後の方向性を表す言葉として定着しました。

CASEが注目される理由

CASEが注目されるのは、4つの要素が互いに結びつき、自動車業界の構造そのものを変えようとしているためです。例えば、電動化した車が通信でつながり、自動で走り、共有して使われる、といった形で組み合わさることで、車の価値や使われ方が大きく変わります。

CASEは個別の技術の話ではなく、「車を作って売る」業界から「移動の価値を提供する」業界への転換を表す言葉です。そのため、自動車業界は「100年に一度の変革期」とも表現されています。

CASEの4つの要素をわかりやすく解説

ここでは、CASEの4つの要素について、具体的な内容と関わる技術を解説します。

C:コネクテッド(つながる車)

コネクテッドとは、車に通信機能を持たせ、外部のサーバーや他の車、道路の設備などとつながる状態を指します。主な活用例は次のとおりです。

・事故が起きた際の自動緊急通報
・地図や車載ソフトウェアの無線通信による更新
・スマートフォンからのエアコン操作や施錠の確認
・走行データを活用した保険や保守のサービス
・車と信号、他の車、歩行者などとの通信(V2X)

コネクテッドを支えるのは、通信技術、クラウド、セキュリティなどのIT技術です。車が外部とつながる分、不正アクセスへの対策も重要になります。

A:自動運転

自動運転とは、システムが運転操作の一部または全部を担う技術です。自動運転は、システムがどこまで運転を担うかによって、次のレベルに分けられています。

レベル名称運転の主体内容
0運転自動化なし運転者すべての操作を運転者が行う
1運転支援運転者加減速かハンドル操作のどちらかを支援する
2部分運転自動化運転者加減速とハンドル操作の両方を支援する
3条件付運転自動化システム特定の条件下でシステムが運転し、必要時は運転者が対応する
4高度運転自動化システム特定の条件下でシステムがすべての運転を行う
5完全運転自動化システム条件の制限なくシステムがすべての運転を行う

国内でも、より高いレベルの自動運転の実用化に向けて、制度の整備が進められているとされます。

自動運転には、カメラやレーダーなどのセンサー、画像認識などのAI技術、車を正確に動かす制御技術が欠かせません。人命に関わるため、機能安全(故障時にも危険な状態にしないための考え方)も重視されます。

S:シェアリング・サービス

シェアリング・サービスとは、車を個人で所有するのではなく、必要なときに共有したり、移動サービスとして利用したりする考え方です。代表的な例には、カーシェアリングや、一般の車を使った送迎サービスなどがあります。

また、電車やバス、タクシー、シェアサイクルなどの移動手段を一体で検索・予約・決済できるMaaS(サービスとしての移動)も、この領域に含まれます。アプリや予約・決済のシステム、データ分析など、IT系の技術が中心となる領域です。

E:電動化

電動化とは、エンジンだけで動く車から、モーターと電池を使って動く車へ移行することです。電動車には、主に次の種類があります。

種類動力特徴
ハイブリッド車(HV)エンジンとモーター外部から充電せず、エンジンとモーターを使い分ける
プラグインハイブリッド車(PHV)エンジンとモーター外部から充電でき、電気だけでも一定の距離を走れる
電気自動車(BEV)モーター電池にためた電気だけで走る
燃料電池車(FCV)モーター水素から電気をつくって走る

国内では、政府が乗用車の新車販売を電動車へ移行していく目標を掲げています。電動化に関わる技術には、電池、モーター、インバーター(電気の形を変換して、モーターの動きを制御する装置)、充電設備、電池を適切な温度に保つ熱管理などがあります。

CASEとSDV・MaaSの関係

CASEと一緒によく登場する言葉に、SDVとMaaSがあります。それぞれの関係を整理しておきましょう。

・SDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル):ソフトウェアによって機能が決まり、購入後も更新で進化する車のこと。CASEの4つの要素を実現する土台になる考え方です
・MaaS(サービスとしての移動):複数の移動手段を一つのサービスとしてまとめる考え方。CASEのうち「S」と深く関わります

つまり、CASEは自動車業界の変化の「方向性」を示す言葉であり、SDVはそれを実現するための「車の作り方」、MaaSはその先にある「移動サービスの形」と捉えるとわかりやすいでしょう。

CASEが自動車業界にもたらす変化

CASEの進展により、自動車業界では製品の中身から事業の進め方まで、さまざまな変化が起きています。主な変化は次のとおりです。

・付加価値の変化:車の価値が、エンジンなどの機械部分から、ソフトウェアや電子部品へと移りつつある
・部品構成の変化:電動化によりエンジンや変速機の関連部品が減り、電池、モーター、半導体の重要性が高まっている
・取引構造の変化:完成車メーカーを頂点とした従来の分業構造に、IT企業や半導体メーカー、新興の自動車メーカーが加わっている
・事業の変化:車を販売して終わりではなく、移動サービスやデータを活用した事業へと広がっている
・開発の変化:ソフトウェアの継続的な開発や、機械・電気・ITなど異なる分野の連携が求められている

相談現場では、「エンジン関連の設計に携わっているが、この先の仕事が不安」という声をよく聞きます。ただし、熱、振動、強度といった機械設計の基礎は、電動車でも電池の冷却やモーターの設計などで必要とされます。技術の土台を活かしながら、変化している領域へ軸足を移すことは十分に可能です。

CASE時代に求められるエンジニアの職種

CASEの4つの要素ごとに、求められる職種や技術は異なります。主な職種と、活かしやすい経歴は次のとおりです。

CASEの要素求められる職種・技術活かしやすい経歴
コネクテッド通信、セキュリティ、クラウドのエンジニアネットワーク、インフラ、Web開発
自動運転センサー、画像認識、制御、機能安全のエンジニア組み込み、AI開発、制御設計
シェアリング・サービスアプリ、予約・決済システム、データ分析のエンジニアWeb開発、業務システム開発
電動化電池、モーター、インバーター、充電設備の技術者回路設計、電源設計、機械設計
4つに共通車載ソフトウェア、システム設計のエンジニア組み込み、車載開発

このように、CASE時代の自動車業界では、機電系とIT系の両方のエンジニアが求められています。求人の傾向としても、自動車関連企業がIT系のエンジニアを募集する例や、電動化に関わる回路・電源の技術者を募集する例が目立つようになりました。

CASE時代に自分の経験をどう活かせるか知りたい方へ

CASEの領域ごとに、活かせる経験や求められる技術は異なります。経験豊富なアドバイザーが、これまでのキャリアを丁寧にヒアリングし、IT・機電の両面から選択肢を一緒に考えます。
無料で相談する 

CASE時代に必要なスキル・資格

CASE時代のエンジニアには、自分の専門に加えて、隣接する分野を理解する力が求められます。すべてを一人で身につける必要はありませんが、専門の掛け合わせが強みになります。

機電系エンジニアに求められるスキル

・電池、モーター、インバーターなど電動化に関わる技術
・センサーや制御の技術
・C言語などを使った組み込みソフトウェアの基礎
・機能安全の考え方

IT系エンジニアに求められるスキル

・通信、クラウド、セキュリティの技術
・画像認識やデータ分析などのAI技術
・自動車の構造や、車載特有の安全性への考え方の理解

役立つ資格

資格は必須ではありませんが、知識を体系的に示す材料として次の資格が役立ちます。

・エンベデッドシステムスペシャリスト試験:組み込み開発に特化した高度試験
・情報処理安全確保支援士:情報セキュリティの専門性を示す国家資格
・応用情報技術者試験:ITの幅広い知識を証明できる国家試験

出典:IPA「情報処理技術者試験」

CASE関連職種の年収・需要

CASE関連の職種の年収は、担当する領域や工程、経験の組み合わせによって差が出やすい傾向があります。

指標金額・数値(目安)
参考:情報処理・通信技術者の有効求人倍率1.43倍
全職業の有効求人倍率(職業計)1.12倍

出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」(2025年11月)

情報処理・通信技術者の有効求人倍率は、IT系職種全体の指標です。CASE関連の領域に限った数値ではなく、機電系の職種の水準は別である点に注意してください。

求人の傾向としては、電動化、ソフトウェア、半導体に関わる領域での募集が目立ちます。また、機電とIT、車載と通信のように、複数の分野にまたがる経験を持つ人材が評価されやすい傾向があります。

CASEの進展は、エンジニアのキャリアの選択肢を広げるきっかけにもなります。職種研究や資格選びに役立つ情報を、LINEで配信しています。転職を決めていない段階でも、気軽にご活用ください。

公式LINEを追加する

CASE時代のキャリアの考え方

CASE時代のキャリアは、現在の経歴によって考え方が異なります。経歴別のポイントは次のとおりです。

自動車業界の機械・電気系エンジニア

機械や電気の知識は、電動化や自動運転でも欠かせません。電池の熱管理、モーターの設計、電源回路など、変化している領域へ経験を広げることで、活躍の場を保ちやすくなります。

組み込み・車載のエンジニア

車載ソフトウェアの経験は、CASEのすべての領域で求められます。自動運転の制御や、通信、セキュリティなど、成長している領域の技術を学ぶと、担当できる仕事の幅が広がります。

IT系のエンジニア

コネクテッドやシェアリング・サービスの領域では、IT系の技術が中心です。自動車業界特有の安全性への考え方や規格を学んでおくと、選考で評価されやすくなります。

学生・未経験の方

まずは機電系かIT系のどちらかで基礎を身につけ、そのうえで自動車関連の領域を目指すのが現実的です。研究や学習で関心のある要素を一つ決めておくと、志望動機も具体的になります。

なお、CASEの進展に伴って将来に不安を感じたときは、その不安が職種そのものから来ているのか、会社の事業領域や担当製品といった環境から来ているのかを切り分けることが大切です。例えば、エンジン関連部品だけを扱う会社にいる場合、不安の原因は機械設計という職種ではなく、事業領域にある可能性があります。その場合は、同じ職種のまま電動化に取り組む企業へ移るという選択肢も考えられます。

変革期のキャリアを一人で抱え込まないために

業界が大きく変わる時期だからこそ、どの企業で何ができるのかは見えにくいものです。市場価値を客観的に評価したうえで、納得のいく選択肢を一緒に考えます。今の悩みの相談だけでもかまいません。
無料で相談する 

まとめ

・CASEとは、コネクテッド、自動運転、シェアリング・サービス、電動化の頭文字をとった言葉
・4つの要素は互いに結びつき、自動車業界を「移動の価値を提供する」業界へと変えつつある
・付加価値は機械部分からソフトウェアや電子部品へ移り、業界の取引構造や事業の形も変化している
・CASE時代には、機電系とIT系の両方のエンジニアが求められ、専門の掛け合わせが強みになる
・将来への不安を感じたら、職種そのものの問題か、事業領域などの環境の問題かを切り分けて考える

よくある質問

CASEは何の略ですか?

CASEは、コネクテッド(つながる車)、自動運転、シェアリング・サービス、電動化の4つの言葉の頭文字をとったものです。自動車業界で進む大きな変化をまとめて表す言葉として使われており、業界の今後の方向性を語る際によく登場します。

CASEとSDVの違いは何ですか?

CASEは、自動車業界の変化の方向性を4つの領域で示した言葉です。一方でSDVは、ソフトウェアによって機能が決まり、更新で進化する車の作り方を指します。CASEの4つの要素を実現するための土台がSDVと考えると、両者の関係を理解しやすくなります。

CASEとMaaSの違いは何ですか?

MaaSは、電車やバス、タクシーなど複数の移動手段を一つのサービスとして提供する考え方です。CASEのうち、シェアリング・サービスの領域と深く関わります。CASEが自動車業界全体の変化を示すのに対し、MaaSは移動サービスの形に焦点を当てた言葉です。

CASEの進展で自動車業界の仕事は減りますか?

業界全体で仕事が減るというより、求められる仕事の中身が変わっていると考えるのが実態に近いでしょう。エンジン関連の部品は減る傾向がある一方で、電池、モーター、半導体、ソフトウェアなどの領域では人材が求められています。変化している領域に合わせてスキルを広げることが大切です。

IT系のエンジニアでも自動車業界に転職できますか?

転職できる可能性は十分にあります。コネクテッドやシェアリング・サービス、自動運転のデータ処理など、CASEの領域ではIT系の技術が多く求められているためです。ただし、自動車業界特有の安全性への考え方や規格は、入社後も学び続ける姿勢が求められます。

機械系エンジニアはCASE時代にどう備えるべきですか?

熱、振動、強度などの機械設計の基礎は、電動車でも必要とされます。そのうえで、電池やモーターの周辺技術、電気や制御の基礎、組み込みソフトウェアの知識などを学ぶと、活躍できる領域が広がります。今の職場で機会がなければ、電動化に取り組む企業への転職も選択肢です。

CASEや自動車業界の変化に関わる職種研究の情報を、LINEでもお届けしています。すぐに転職する予定がない方も、情報収集にお役立てください。

公式LINEを追加する

この記事の執筆者

AIdeaCareerMedia編集部

主にIT・機電エンジニアに特化した転職事情に関する有益な情報を発信するメディアの編集部です。転職者であれば転職市場や選考での対策、企業の採用担当者様であればエンジニア人材の採トレンド等の「エンジニアに携わる転職・採用」の情報を提供します。

この記事の監修者

【機電部門統括責任者】キャリアアドバイザー 湯浅 空大

立命館大学卒業後、新卒で中堅アパレル企業へ入社。当社入社後は未経験圧倒的なスピードで実績を上げ、わずか2年半で機電部門統括責任者に就任。
圧倒的な求職者様目線を強みに、多くの機電エンジニアの転職成功。現在は、機電部門統括責任者として、勝てる組織づくりと後進育成に邁進。