みなし残業とは?違法になるケースと固定残業代の確認方法をわかりやすく解説

みなし残業とは?違法になるケースと固定残業代の確認方法をわかりやすく解説

「みなし残業とは何か」「違法ではないのか」と検索したあなたは、求人票や給与明細に書かれた固定残業代に疑問を感じているのではないでしょうか。

みなし残業とは、一般に、あらかじめ決めた時間分の残業代を固定額で支払う固定残業代の制度を指し、制度そのものは違法ではないとされます。

ただし、超えた分の残業代が支払われないなど、運用によっては違法や無効と判断される場合があります。この記事では、IT・機電エンジニア専門の転職エージェントである私たちが、みなし残業の仕組みと違法になるケース、求人票の見方を解説します。

みなし残業とは|固定残業代の仕組み

みなし残業とは、実際の残業時間にかかわらず、一定時間分の残業代をあらかじめ給与に含めて支払う仕組みのことです。一般には「固定残業代」や「定額残業代」とも呼ばれます。

例えば「月給30万円(固定残業代:月20時間分、5万円を含む)」と記載されている場合、20時間までの残業代はこの5万円で支払われたことになります。20時間を超えた分は、別に支払われる必要があるとされます。

裁量労働制・事業場外みなしとの違い

制度仕組み主な対象
固定残業代(みなし残業)一定時間分の残業代を固定額で支払い、超えた分は別に支払う職種を問わず導入される
専門業務型裁量労働制実際の労働時間にかかわらず、決めた時間働いたとみなすシステムの分析や設計など、法令で定められた専門業務
事業場外のみなし労働時間制社外で働き、時間の把握が難しい場合に、一定時間働いたとみなす外回りの営業など

エンジニアの場合、システムの分析や設計の業務は、専門業務型裁量労働制の対象業務とされています。求人票の「みなし」がどの制度を指すのか、確認することが大切です。

私たちはキャリアの専門家であり、法律の専門家ではありません。個別の判断は、労働基準監督署や弁護士、社労士などの専門窓口に確認してください。

結論:みなし残業は違法なのか

みなし残業の制度そのものは違法ではないとされますが、運用の仕方によっては違法や無効と判断される場合があります。

  • 違法ではないとされる例:基本給と固定残業代が区別され、超えた分がきちんと支払われている
  • 違法・無効となる可能性がある例:超えた分が支払われない、何時間分かわからない、基本給が最低賃金を下回る
  • 判断のポイント:求人票、雇用契約書、給与明細の記載内容

相談現場では「みなし残業だから、いくら残業しても給料は同じと言われた」という声を聞きます。固定残業時間を超えた分の扱いは、必ず確認しておきましょう。

みなし残業が違法・無効となる可能性がある6つのケース

違法や無効が問題になりやすいのは、固定残業代の中身が明確でない場合や、超えた分の支払いがない場合です。

1. 固定残業時間を超えた分が支払われない

決められた時間を超えて働いた分は、別に支払う必要があるとされます。

2. 基本給と固定残業代が区別されていない

「月給に残業代を含む」とだけ書かれ、金額が区別されていない場合は、問題になりやすいとされます。

3. 何時間分の残業代なのかが示されていない

時間数がわからないと、超えた分が正しく支払われているかを確かめられません。

4. 固定残業代を除いた基本給が、最低賃金を下回る

固定残業代を除いた賃金で、最低賃金を満たしている必要があるとされます。

5. 固定残業代が、法律で定められた割増賃金に満たない

固定残業時間分の割増賃金を計算した額より、固定残業代が少ない場合は、差額の支払いが必要とされます。

6. 固定残業時間が長すぎる

残業時間の上限は、原則として月45時間・年360時間とされます。これを大きく超える時間を前提にした固定残業代が、無効と判断された例もあるとされます。

固定残業代が足りているか確かめる計算方法

固定残業代が足りているかは、「1時間あたりの賃金×1.25×固定残業時間」と比べることで、目安を確かめられます。

  1. 固定残業代を除いた月給を、月の平均所定労働時間で割り、1時間あたりの賃金を出す
  2. 1時間あたりの賃金に1.25を掛け、残業1時間あたりの賃金を出す
  3. 残業1時間あたりの賃金に、固定残業時間を掛ける
  4. 3で出した金額と、実際の固定残業代を比べる

家族手当や通勤手当など、一部の手当は計算に含めないとされます。月の平均所定労働時間を160時間と仮定した場合の例は、次のとおりです。

項目例1例2
固定残業代を除いた月給24万円24万円
1時間あたりの賃金1,500円1,500円
残業1時間あたりの賃金(1.25倍)1,875円1,875円
固定残業時間20時間30時間
必要な固定残業代の目安37,500円56,250円
実際の固定残業代40,000円45,000円
判定の目安足りている不足している可能性がある

上記は仕組みを示すための例です。深夜や休日の割増、所定労働時間の決まり方によって計算は変わります。

求人票でみなし残業を確認するポイント

固定残業代がある求人では、基本給、固定残業時間と金額、超えた分の支払いの3点が明示されているかを確認しましょう。

求人票の表記例確認したいこと
月給30万円(固定残業代5万円・月20時間分を含む)基本給は25万円か、超えた分は支払われるか
月給30万円(みなし残業代を含む)何時間分でいくらか、基本給はいくらか
裁量労働制(1日8時間とみなす)対象業務か、深夜・休日の扱いはどうか

応募前に、次の項目を確認しておきましょう。

  • □ 固定残業代を除いた基本給の金額が書かれている
  • □ 固定残業時間と金額が書かれている
  • □ 超えた分は追加で支払うと書かれている
  • □ 深夜や休日の割増を含むかどうかがわかる
  • □ 実際の平均残業時間を確認できる

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みなし残業のメリット・デメリット

みなし残業は、残業が少ない月でも固定額を受け取れる一方、月給の見た目が高くなりやすい点に注意が必要です。

観点メリットデメリット・注意点
収入残業が少ない月も、固定残業代を受け取れる固定残業代を除いた基本給が低い場合がある
働き方効率よく働くほど、時間あたりの収入が上がる固定時間までの残業が当たり前になりやすい
賞与・退職金特になし基本給を基準に計算される場合、少なくなることがある

賞与や退職金を基本給で計算する会社では、固定残業代の比率が高いほど、それらが少なくなることがあります。

データで見る|年収や月給を比べるときの注意点

求人の年収や月給を比べるときは、固定残業代を含むかどうかをそろえて比較することが大切です。

指標金額(目安)
システムエンジニア(Webサービス開発)の平均年収約574万円
システムエンジニア(基盤システム)の平均年収約684万円
給与所得者全体の平均年収約478万円

出典:厚生労働省「job tag/システムエンジニア(Webサービス開発)」「job tag/システムエンジニア(基盤システム)」(令和6年賃金構造基本統計調査に基づく)

出典:国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」

公的な統計の年収には、残業代や賞与も含まれているとされます。固定残業代を含む月給の求人と、含まない求人を、同じ基準で比べないよう注意しましょう。上記はシステムエンジニアの数値で、職種や経験によって水準は異なります。機電系は別分野のため、上記の数値は当てはまりません。

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みなし残業が違法かもと思ったときの対処法

違法かもしれないと感じたら、まずは雇用契約書と給与明細、勤怠の記録を確認し、必要に応じて専門窓口に相談しましょう。

  1. 雇用契約書や就業規則で、固定残業代の時間と金額を確認する
  2. 給与明細で、固定残業代と超えた分の支払いを確認する
  3. 自分の労働時間を記録しておく(勤怠の記録、業務用パソコンの利用記録、メモなど)
  4. 人事部門に、計算方法を確認する
  5. 解決しない場合は、労働基準監督署や都道府県労働局の総合労働相談コーナー、弁護士に相談する

未払いの残業代を請求できる期間には期限があるとされるため、早めに行動しましょう。

転職で「みなし残業」の会社を選ぶときの考え方

みなし残業のある会社が悪いわけではなく、制度の中身と実際の残業時間が、自分の希望に合っているかで判断することが大切です。

相談現場では「月給は高く見えたが、固定残業代を除くと基本給が前職より低かった」という声を聞きます。月給だけで判断せず、基本給と固定残業時間を確認しましょう。

前職で残業の多さが不満だった場合は、その原因が職種の特性(障害対応や納期前の集中など)にあるのか、会社の体制(人員不足や無理な計画など)にあるのかを切り分けてみてください。体制が原因なら、同じ職種で残業を抑える仕組みのある会社を選ぶ方法があります。職種の特性が原因なら、担当業務や職種の見直しを検討できます。

面接では、次のような聞き方で確認してみましょう。

  • 「部署の平均的な残業時間は、どのくらいですか」
  • 「固定残業時間を超えた場合は、どのように精算されますか」

私たちは、労働条件・労働環境を独自に審査した求人のみを紹介しています。

データで見るエンジニアの求人状況

情報処理・通信技術者の有効求人倍率は1.43倍と、職業計の1.12倍を上回っています。IT系は求人が多く、給与の仕組みや残業時間を比べながら応募先を選びやすい職種です。

出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」(2025年11月)

機電系は別分野のため、この数値は当てはまりません。

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まとめ

  • みなし残業とは、一定時間分の残業代を固定額で支払う固定残業代の制度を指すことが多い
  • 制度そのものは違法ではないとされるが、超えた分の未払いなどは違法となる可能性がある
  • 基本給と固定残業代の区別、時間と金額の明示、超えた分の支払いがポイント
  • 求人を比べるときは、固定残業代を除いた基本給と、実際の残業時間を確認する
  • 残業の不満の原因が職種の特性か会社の体制かを切り分けて、転職先を選ぶ

よくある質問

みなし残業で、残業がなくても固定残業代はもらえますか?

固定残業代は、実際の残業時間にかかわらず、決められた金額が支払われる仕組みとされます。そのため、残業が少ない月でも、原則として固定残業代は支払われます。残業がないことを理由に減額されている場合は、雇用契約書の内容を確認し、人事部門に相談しましょう。

固定残業時間を超えた分は、必ず支払われますか?

固定残業時間を超えて働いた分は、別に残業代を支払う必要があるとされます。「みなし残業だから追加の残業代は出ない」という扱いは、違法となる可能性があります。給与明細を確認し、支払われていない場合は人事部門や専門窓口に相談しましょう。

みなし残業45時間は違法ですか?

固定残業時間を45時間に設定すること自体が、ただちに違法とは限りません。ただし、残業時間の上限は原則として月45時間とされているため、毎月その上限近くまで働くことを前提にした設定になります。実際の残業時間や、超えた分の支払いもあわせて確認しましょう。

裁量労働制でも残業代は出ますか?

裁量労働制では、実際の労働時間にかかわらず、決められた時間働いたとみなされるため、原則として時間外の残業代は発生しないとされます。ただし、みなし時間が法定労働時間を超える場合や、深夜・休日に働いた場合は、割増賃金が必要とされます。

面接でみなし残業について聞いても大丈夫ですか?

働き方に関わる大切な条件のため、確認すること自体は問題ありません。「固定残業時間を超えた場合は、どのように精算されますか」のように、仕組みを確認する聞き方にすると伝わりやすくなります。エージェントを利用している場合は、担当者を通じて確認することもできます。

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この記事の執筆者

AIdeaCareerMedia編集部

主にIT・機電エンジニアに特化した転職事情に関する有益な情報を発信するメディアの編集部です。転職者であれば転職市場や選考での対策、企業の採用担当者様であればエンジニア人材の採トレンド等の「エンジニアに携わる転職・採用」の情報を提供します。

この記事の監修者

人材紹介事業部 事業統括責任者 堀 凌也

関西学院大学卒業後、新卒で当社入社。入社直後よりリクルーティングアドバイザーとしてトップクラスの成績を収め、組織内最年少で拠点責任者に抜擢。
現在は求職者への価値提供と企業の採用課題解決を両立する事業統括責任者として、組織の急成長と人材育成を牽引。