「月給 手取り 違い」と検索されたあなたは、「求人票に月給30万円と書いてあるのに、振り込まれる額はもっと少ないのはなぜか」と疑問を感じているのではないでしょうか。
月給とは税金や社会保険料が差し引かれる前の支給額であり、手取りとはそれらが差し引かれた後に実際に口座へ振り込まれる金額です。両者は必ず一致しません。
この記事では、IT・機電エンジニア専門の転職エージェントである私たちが、月給と手取りの違い、差し引かれる項目の内訳、自分で手取りを試算する手順、そして求人票の給与欄を読むときの注意点までを解説します。
結論:違いは「差し引かれる前か、後か」
月給と手取りの違いは、控除(給与から差し引かれるお金)を含むかどうかの一点に集約されます。
要点は次の5つです。
・月給は会社が支給する総額であり、控除前の金額
・手取りは控除後に実際に振り込まれる金額
・求人票に書かれているのは原則として月給のほう
・差し引かれるのは社会保険料と税金で、合計すると相応の金額になる
・転職時の比較は「月給同士」で行い、そのうえで手取りを試算するのが実務的です
月給と手取りの違い【比較表】
まず両者を観点別に整理します。
| 観点 | 月給 | 手取り |
| 意味 | 差し引かれる前の支給総額 | 差し引かれた後の受取額 |
| 別の呼び方 | 額面、総支給額 | 差引支給額、振込額 |
| 求人票への記載 | 記載されるのはこちら | 通常は記載されない |
| 給与明細での位置 | 支給欄の合計金額 | 明細の最下部にある差引支給額 |
| 含まれるもの | 基本給、各種手当、残業代 | 上記から社会保険料と税金を引いた額 |
| 金額の大小 | 大きい | 小さい |
相談現場では「前職の月給と、今回の求人の手取りを並べて比べていた」という方にお会いすることがあります。比較の基準がずれると、実際には条件が下がる転職を選んでしまうおそれがあります。
月給とは|求人票に書かれている支給額
月給とは、毎月決まって支給される給与の総額です。基本給に加え、固定的に支払われる手当が含まれます。
基本給との違い
基本給は、手当を除いた給与の土台部分です。月給は、この基本給に住宅手当や資格手当などを足した金額を指します。
基本給が重要なのは、賞与や退職金の算定基礎になる場合が多いためです。月給が同じでも、基本給の比率が低いと賞与額が変わることがあります。
固定残業代が含まれる場合
求人票の月給に、固定残業代(みなし残業代。一定時間分の残業代をあらかじめ含める仕組み)が含まれているケースがあります。
この場合、月給の一部はすでに残業代です。求人票では「月給30万円(固定残業代4万円・○時間分を含む)」といった形で記載されます。含まれる時間数と金額の記載を確認しないと、実質的な時給換算が大きく変わります。
「月収」「年収」との関係
月収は月給とほぼ同義で使われますが、残業代や変動手当を含めた実際の月間支給額を指す場合もあります。年収は、月給の12ヶ月分に賞与を加えた1年間の総支給額です。いずれも控除前の金額です。
手取りとは|実際に振り込まれる金額
手取りとは、月給から社会保険料と税金を差し引いた後、口座に振り込まれる金額です。給与明細では「差引支給額」と表記されることが一般的です。
一般に、手取りは月給のおおむね75〜85%程度になるとされます。ただし比率は年齢、扶養家族の有無、居住地、加入する健康保険組合などによって変わります。
月給から差し引かれる5つの項目
給与から差し引かれる主な項目は次の5つです。制度に関わる内容のため、正確な料率や計算方法は必ず勤務先や公的機関でご確認ください。
| 控除項目 | 分類 | 主な特徴 |
| 健康保険料 | 社会保険 | 会社と本人で分担して負担するとされる |
| 厚生年金保険料 | 社会保険 | 会社と本人で分担して負担するとされる |
| 雇用保険料 | 社会保険 | 支給額に応じて算定されるとされる |
| 所得税 | 税金 | その月の給与額から算定されるとされる |
| 住民税 | 税金 | 前年の所得をもとに算定されるとされる |
1. 健康保険料
医療費の自己負担を軽減するための保険料です。加入先は、勤務先が加盟する健康保険組合または全国健康保険協会に分かれます。
料率は加入先や地域によって異なるとされます。
2. 厚生年金保険料
将来の年金給付の原資となる保険料です。5つの項目のうち、金額が最も大きくなることが多い項目です。
3. 雇用保険料
失業給付や education 訓練給付などの財源となる保険料です。他の項目に比べると金額は小さくなります。
4. 所得税
その年の所得に対してかかる国の税金です。毎月の給与からは概算額が差し引かれ、年末調整で精算されるとされます。
扶養家族がいる場合、差し引かれる額が変わるとされます。
5. 住民税
お住まいの自治体に納める税金です。前年の所得をもとに算定されるとされます。
そのため、新卒1年目や、前年に所得がなかった方は差し引かれないことがあるとされます。入社2年目に「月給は変わらないのに手取りが減った」と感じる主な理由がこれです。
法令・制度に関する注意
ここに挙げた内容は一般的な考え方の整理です。私たちはキャリアの専門家であり、法律や税務の専門家ではありません。
保険料や税額の具体的な計算、控除の適用可否については、勤務先の人事労務担当、社会保険労務士、税理士、または年金事務所や税務署の窓口にご確認ください。労働時間や給与の未払いに関するトラブルは、労働基準監督署が相談先となります。
求人票の給与欄が読み解けずに迷っている方へ
経験豊富なアドバイザーが、これまでのキャリアを丁寧にヒアリングします。まずは情報収集の一環として話を聞いてみたいという方も歓迎です。
手取り額を自分で試算する方法【記入式】
正確な金額は給与明細でしか分かりませんが、おおよその見当をつけることはできます。次の表に金額を書き込んで計算してみてください。
| 項目 | 記入欄 |
| ① 月給(求人票の額面) | 円 |
| ② 健康保険料 | 円 |
| ③ 厚生年金保険料 | 円 |
| ④ 雇用保険料 | 円 |
| ⑤ 所得税 | 円 |
| ⑥ 住民税 | 円 |
| 控除合計(②〜⑥の合計) | 円 |
| 手取り見込み(①−控除合計) | 円 |
②〜⑥の金額が分からない場合は、次の手順で概算します。
・手順1:現在お勤めの方は、直近の給与明細の控除欄をそのまま転記する
・手順2:転職後の月給が現在と近い場合、控除額も近い水準になると考える
・手順3:月給が大きく変わる場合は、控除額も比例して増減すると考える
最も確実なのは、今お手元にある給与明細を1枚開くことです。 自分の控除の実額を把握しておくと、転職時の条件比較が一気に正確になります。
混同しやすい給与用語の整理
給与まわりには似た言葉が並びます。求人票を読むときに迷いやすい用語をまとめます。
| 用語 | 意味 | 確認したい点 |
| 基本給 | 手当を除いた給与の土台部分 | 賞与や退職金の算定基礎かどうか |
| 月給 | 基本給に固定的な手当を加えた額 | 固定残業代が含まれるかどうか |
| 額面 | 控除前の総支給額 | 月給とほぼ同義で使われる |
| 手取り | 控除後に振り込まれる額 | 求人票には記載されない |
| 想定年収 | 賞与を含む年間の見込み総額 | 賞与の支給実績と算定根拠 |
| 年俸制 | 年間の支給総額を先に決める制度 | 何回に分割して支給されるか |
年俸制は、分割回数によって1ヶ月あたりの額面が変わります。12分割と16分割では、月々の振込額が大きく異なります。
エンジニアの求人票で給与を見るときの3つの注意点
私たちが求人をご紹介する際、給与欄で必ず確認をお願いしている点が3つあります。
1. 固定残業代の有無と時間数
月給が高く見える求人ほど、固定残業代の内訳確認が重要になります。含まれる時間数を月給から逆算すると、実質的な基準額が見えてきます。
2. 賞与が「想定年収」に含まれているか
想定年収に賞与が含まれている場合、その賞与が確定支給なのか業績連動なのかで実態が変わります。過去の支給実績を確認しておくと判断材料になります。
3. 客先常駐か自社内勤務かによる手当の違い
IT系では、客先常駐(SES。客先に出向いて業務を行う契約形態)の案件に紐づく手当が設定されていることがあります。機電系でも、工場勤務や交替勤務に対する手当が支給される場合があります。
これらは配属や案件が変わると増減する可能性があります。固定的な給与なのか、条件付きの手当なのかを分けて見ることが必要です。
データで見るエンジニアの給与水準
自分の月給が高いのか低いのかを判断するには、市場全体の水準を知っておくことが役立ちます。
| 指標 | 金額・数値(目安) |
| システムエンジニア(Webサービス開発)の平均年収 | 約574万円 |
| システムエンジニア(基盤システム)の平均年収 | 約684万円 |
| 給与所得者全体の平均年収 | 約478万円 |
| 20代前半のシステムエンジニアの年収 | 約377万円 |
| 40代後半のシステムエンジニアの年収 | 約760万円(ピーク) |
| 情報処理・通信技術者の有効求人倍率 | 1.43倍(全職業計は1.12倍) |
出典:厚生労働省「job tag/システムエンジニア(Webサービス開発)」(令和6年賃金構造基本統計調査に基づく)
出典:国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」
出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」(システムエンジニアの年齢階級別賃金)
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」(2025年11月)
これらはいずれも年間の総支給額であり、手取りの金額ではありません。また賞与を含む数値のため、12で割った額がそのまま月給になるわけではない点にご注意ください。
なお上記はIT系職種の数値です。機械設計、回路設計、生産技術などの機電系職種には、分野が異なるためそのまま当てはめられません。機電系の給与水準は別途の確認が必要です。
手取りを増やしたいと感じたときの3つの選択肢
手取りが少ないと感じたとき、取れる方向性は3つあります。
・選択肢1:控除の仕組みを正しく理解し、適用できる控除を確認する
・選択肢2:現職で昇給や等級変更、手当の適用を相談する
・選択肢3:支給水準や制度の異なる企業へ移る
判断の分かれ目は、手取りが少ない原因が「誰にでも共通する控除の仕組み」にあるのか、「今の会社の支給水準」にあるのかという切り分けです。
前者であれば、転職しても構造は変わりません。後者であれば、同じ職種のまま企業を変えることで改善する余地があります。
面談の場では「手取りで月30万円ほしい」というご希望を伺うことがあります。この場合、私たちは額面に換算し直したうえで、その水準の求人が現在の経験でどの程度あるかをお伝えしています。目標を額面ベースに置き換えておくと、求人選びの精度が上がります。
なお、給与に関する情報は入社前にすべて確定するわけではありません。賞与の実績や手当の適用条件など、求人票に書かれない部分は選考過程で確認しておくことをおすすめします。
今の給与が適正水準か、客観的に知りたい方へ
市場価値を客観的に評価したうえで、納得のいく選択肢を一緒に考えます。今の悩みの相談だけでもかまいません。
まとめ
・月給は控除前の支給総額、手取りは控除後に振り込まれる金額
・差し引かれるのは健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、所得税、住民税の5項目
・手取りは月給のおおむね75〜85%程度とされるが、条件により変動する
・求人票では固定残業代の内訳と、想定年収に含まれる賞与の性質を確認する
・条件比較は額面同士で行い、手元の給与明細で自分の控除実額を把握しておく
よくある質問
月給30万円の手取りはいくらになりますか?
一律には決まりません。手取りは月給のおおむね75〜85%程度とされますが、年齢、扶養家族の有無、居住地、加入する健康保険によって変わります。最も確実な確認方法は、現在の給与明細の控除欄を見て、自分の実際の控除額を把握することです。
月給と基本給は同じものですか?
異なります。基本給は手当を除いた土台部分で、月給は基本給に固定的な手当を加えた金額です。基本給は賞与や退職金の算定基礎となる場合が多いため、月給が同額でも基本給の比率によって年間の総支給額が変わることがあります。
入社2年目に手取りが減ったのはなぜですか?
住民税の影響である場合が多いとされます。住民税は前年の所得をもとに算定されるとされるため、前年に所得がなかった方は1年目に差し引かれないことがあります。2年目から加わることで、月給が同じでも手取りが下がって見えます。
求人票の月給には残業代が含まれていますか?
固定残業代が設定されている場合は含まれます。その場合、求人票には含まれる金額と時間数の記載があるのが通常です。記載が見当たらない場合や内訳が不明な場合は、選考の過程で確認しておくことをおすすめします。
年俸制でも手取りの考え方は同じですか?
考え方は同じです。年俸額は控除前の総額であり、そこから社会保険料と税金が差し引かれます。ただし年俸を何回に分割して支給するかで1ヶ月あたりの額面が変わるため、分割回数と賞与の扱いを確認する必要があります。
転職先を比べるとき、月給と手取りのどちらで比較すべきですか
月給、つまり額面で比較してください。手取りは個人の状況で変わるため、企業間の条件比較には向きません。額面で比較したうえで、賞与の実績、手当の適用条件、固定残業代の有無を並べると実態に近い比較ができます。
この記事の執筆者

AIdeaCareerMedia編集部
主にIT・機電エンジニアに特化した転職事情に関する有益な情報を発信するメディアの編集部です。転職者であれば転職市場や選考での対策、企業の採用担当者様であればエンジニア人材の採トレンド等の「エンジニアに携わる転職・採用」の情報を提供します。
この記事の監修者

人材紹介事業部 事業統括責任者 堀 凌也
関西学院大学卒業後、新卒で当社入社。入社直後よりリクルーティングアドバイザーとしてトップクラスの成績を収め、組織内最年少で拠点責任者に抜擢。
現在は求職者への価値提供と企業の採用課題解決を両立する事業統括責任者として、組織の急成長と人材育成を牽引。
