「ITエンジニアになるには資格が必要?」「転職やキャリアアップに役立つ資格はどれ?」と迷っている方も多いのではないでしょうか。
ITエンジニアに資格は必須ではありませんが、基礎知識の習得や専門分野の証明に役立つ場合があります。
ただし、資格なら何でも取得すればよいわけではありません。開発、インフラ、セキュリティなど、目指すキャリアによって選ぶ資格は異なります。
この記事では、IT・機電エンジニア専門の転職エージェントである私たちが、ITエンジニアに役立つ資格10選と、未経験・職種・目的別の選び方を解説します。
ITエンジニアに資格は必要?
ITエンジニアとして働くために、資格が必須とは限りません。
資格の取得自体をゴールにするのではなく、「必要な知識を身につける手段」として活用することが重要です。ITエンジニアの採用では、資格だけでなく実務経験や技術力、担当してきた工程なども確認されます。
そのため、経験者が資格を取得しただけで転職時の評価が大きく変わるとは限りません。
一方、未経験者にとっては、資格勉強を通じてITの基礎を体系的に学ぶメリットがあります。資格が役立ちやすい場面を整理すると、以下のとおりです。
| 状況 | 資格を取得する目的 |
| IT未経験 | ITの基礎知識を体系的に学ぶ |
| 若手エンジニア | 担当分野の理解を深める |
| インフラ系 | ネットワーク・クラウドなどの知識を深める |
| セキュリティ系 | 専門知識を体系的に身につける |
| 中堅エンジニア | 専門分野や上位工程への理解を深める |
| 転職検討中 | 学習内容や専門分野を説明する材料にする |
転職相談の現場でも、「転職するなら、とりあえず資格を取ったほうがよいですか」という質問を受けることがあります。
しかし、資格を先に決めるのではなく、まず「次にどの仕事をしたいか」を整理することが大切です。
ITエンジニアに役立つ資格10選【一覧】
ITエンジニア向けの資格は数多くあります。
ここでは、IT全般・開発・インフラ・セキュリティなどのキャリアを考える際に候補となる代表的な資格を紹介します。
| 資格・試験 | 主な対象 | おすすめの人 |
| ITパスポート試験 | IT基礎 | ITを初めて学ぶ人 |
| 基本情報技術者試験 | IT基礎・開発 | 未経験者・若手 |
| 応用情報技術者試験 | IT全般 | 実務経験者 |
| ネットワークスペシャリスト試験 | ネットワーク | インフラ系 |
| データベーススペシャリスト試験 | データベース | 開発・基盤系 |
| 情報処理安全確保支援士試験 | セキュリティ | セキュリティ系 |
| システムアーキテクト試験 | システム設計 | 上流工程を目指す人 |
| プロジェクトマネージャ試験 | プロジェクト管理 | 管理職・責任者を目指す人 |
| ITサービスマネージャ試験 | 運用・管理 | 運用管理を深めたい人 |
| エンベデッドシステムスペシャリスト試験 | 組込みシステム | 組込み・制御系 |
これらはすべて同じ人が順番に取得する必要はありません。
自分の現在地と目指す仕事に合わせて選びましょう。
出典:独立行政法人情報処理推進機構「情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験」
未経験者・初心者におすすめのITエンジニア資格
未経験者の場合は、最初から専門性の高い資格を目指す必要はありません。
まずはIT全体の基礎を理解し、その後に目指す職種の専門知識へ進む方法があります。
ITパスポート試験
ITパスポート試験は、ITに関する基礎的な知識を対象とする国家試験です。情報技術だけでなく、経営やプロジェクト管理なども試験範囲に含まれます。IT用語自体に慣れていない人が、最初の学習目標として検討しやすい試験です。
ただし、ITエンジニアを目指す場合は、ITパスポート取得だけで学習を終えないようにしましょう。
出典:独立行政法人情報処理推進機構「ITパスポート試験」
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は、ITエンジニアとして必要となる基礎的な知識を幅広く扱います。コンピューター、アルゴリズム、ネットワーク、データベース、セキュリティなどを体系的に学習できます。未経験からITエンジニアを目指す人や、IT分野を基礎から学び直したい若手エンジニアの選択肢になります。
資格取得だけでなく、試験勉強を通じてIT全体の仕組みを理解することが重要です。
出典:独立行政法人情報処理推進機構「基本情報技術者試験」
実務経験者のスキルアップに役立つ資格
すでにITエンジニアとして働いている場合は、基礎資格だけでなく、自分の専門分野に合わせた資格を検討しましょう。
応用情報技術者試験
応用情報技術者試験では、技術だけでなく、システム開発や管理など幅広い知識が問われます。基礎を身につけたあと、ITエンジニアとして知識の幅を広げたい人に向いています。開発だけでなく、プロジェクト管理や経営に関連する内容も含まれるため、上流工程を目指す際の学習にも活用できます。
出典:独立行政法人情報処理推進機構「応用情報技術者試験」
システムアーキテクト試験
システムアーキテクト試験は、システム開発の上流工程に関する知識を対象とする試験です。要件を整理し、システムの構造や仕様を設計する仕事を目指す場合に関連します。プログラミングだけでなく、設計や要件定義へ担当範囲を広げたいエンジニアは検討してみましょう。
出典:独立行政法人情報処理推進機構「システムアーキテクト試験」
プロジェクトマネージャ試験
プロジェクトマネージャ試験は、プロジェクト全体を管理するための知識を対象としています。進捗、品質、コスト、リスクなどを管理しながら、プロジェクトを進める立場を目指す人に関連する試験です。技術専門職から管理・マネジメント方面へキャリアを広げたい場合の選択肢になります。
出典:独立行政法人情報処理推進機構「プロジェクトマネージャ試験」
インフラエンジニアに役立つ資格
インフラエンジニアを目指す場合は、ネットワークやシステム基盤に関する資格が候補になります。
ネットワークスペシャリスト試験
ネットワークスペシャリスト試験は、ネットワークの設計・構築・運用などに関する専門知識を対象としています。インフラエンジニアとしてネットワーク分野の専門性を深めたい場合に関連する試験です。
ネットワークだけを暗記するのではなく、実際の構成や障害対応と結びつけながら学習すると、実務理解にもつながります。
出典:独立行政法人情報処理推進機構「ネットワークスペシャリスト試験」
ITサービスマネージャ試験
ITサービスマネージャ試験は、ITサービスの安定的な提供や改善などに関する知識を対象としています。システム運用やサービス管理に関わるエンジニアが、運用管理の知識を深める際の候補です。インフラ分野でも、構築だけでなく運用や管理を専門にしたい人に関連します。
出典:独立行政法人情報処理推進機構「ITサービスマネージャ試験」
セキュリティ・データベース分野に役立つ資格
特定の技術領域を深めたい場合は、専門資格を検討しましょう。
情報処理安全確保支援士試験
情報処理安全確保支援士試験は、情報セキュリティに関する専門知識を対象としています。セキュリティ対策の設計や運用などに関心があるエンジニアの選択肢です。
なお、試験合格と情報処理安全確保支援士としての登録は別の手続きとなるため、制度を確認しておきましょう。
出典:独立行政法人情報処理推進機構「情報処理安全確保支援士試験」
データベーススペシャリスト試験
データベーススペシャリスト試験は、データベースの設計や管理などに関する専門知識を対象とします。データを扱うシステムの設計や基盤に関わるエンジニアに関連する資格です。開発系でもデータベースを扱う機会は多いため、専門性を高めたい場合に検討できます。
出典:独立行政法人情報処理推進機構「データベーススペシャリスト試験」
ITエンジニアが資格を取得する3つのメリット
ITエンジニアに資格が必須ではなくても、取得を目指すメリットはあります。
代表的なのは次の3つです。
1. 知識を体系的に学べる
実務では、担当している業務に関する知識だけが身につきやすい傾向があります。資格学習を利用すると、普段担当していない分野も含めて体系的に学べます。
特に未経験者の場合は、IT全体の基礎を整理するきっかけになります。
2. 学習した分野を伝えやすくなる
資格は、自分がどの分野を学習してきたかを伝える一つの材料になります。実務未経験の場合でも、「ITについて何もしていない状態」と比べれば、学習内容を説明しやすくなります。
ただし、資格だけで実務能力が証明されるわけではありません。
3. キャリアの方向性を整理できる
資格選びは、自分が今後どの分野へ進みたいかを考えるきっかけにもなります。ネットワーク、データベース、セキュリティ、マネジメントなど、専門分野によって資格も異なります。
「何の資格を取るか」より先に、「どの仕事をしたいか」を決めましょう。
資格を取るべきか迷っているITエンジニアの方へ
資格取得が必要なのか、実務経験を優先すべきなのかは、目指す職種によって異なります。経験豊富なアドバイザーがこれまでのキャリアを整理し、次に身につけるべき経験やスキルを一緒に考えます。
【レベル・目的別】ITエンジニア資格のおすすめ
資格選びで迷ったら、現在のレベルと将来のキャリアから考えてみましょう。
資格の難しさではなく、自分の目的に合っているかを基準にすることが大切です。
| レベル・目的 | 資格の候補 | 選ぶ理由 |
| ITを初めて学ぶ | ITパスポート試験 | IT全般の基本を学ぶ |
| 未経験からエンジニアを目指す | 基本情報技術者試験 | エンジニア向けの基礎を学ぶ |
| IT知識を広げる | 応用情報技術者試験 | 技術・管理を幅広く学ぶ |
| ネットワークを深める | ネットワークスペシャリスト試験 | ネットワークを専門的に学ぶ |
| データベースを深める | データベーススペシャリスト試験 | データベースを専門的に学ぶ |
| セキュリティを深める | 情報処理安全確保支援士試験 | セキュリティを専門的に学ぶ |
| 上流工程へ進む | システムアーキテクト試験 | 設計・上流工程を学ぶ |
| 管理職を目指す | プロジェクトマネージャ試験 | プロジェクト管理を学ぶ |
未経験者であれば、まず基礎を身につけることを優先します。
一方、経験者は「今の仕事で足りない知識」または「次の仕事で必要になる知識」から資格を選ぶとよいでしょう。
ITエンジニアの資格と年収の関係
「資格を取れば年収が上がるのか」は、資格を検討する際に気になるポイントです。
資格取得だけで年収が上がるとは限らず、実務経験や担当工程、専門性なども合わせて評価されます。
参考として、関連するIT職種の年収を確認してみましょう。
| 指標 | 金額の目安 |
| システムエンジニア(Webサービス開発) | 約574万円 |
| システムエンジニア(基盤システム) | 約684万円 |
| 給与所得者全体 | 約478万円 |
システムエンジニア(Webサービス開発)の平均年収は約574万円、基盤システムでは約684万円です。
ただし、これらは資格保有者の年収ではありません。資格の有無による年収差を示すデータでもないため注意してください。
出典:厚生労働省「job tag/システムエンジニア(Webサービス開発)」「システムエンジニア(基盤システム)」
給与所得者全体の平均年収は約478万円です。
出典:国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」
転職で年収アップを目指すのであれば、「資格を増やすこと」だけに集中するのは避けましょう。
どの技術を使えるのか、設計・開発・運用のどこを担当できるのか、どの規模のプロジェクトを経験したのかなど、実務経験の棚卸しも重要です。
ITエンジニア資格を効率的に勉強するポイント
資格取得を目指す場合は、試験合格だけでなく実務につながる学習を意識しましょう。
目的から資格を決める
最初に「なぜ資格を取るのか」を明確にします。
たとえば、次のように考えます。
・未経験なのでITの基礎を学びたい
・ネットワークの知識を深めたい
・セキュリティ分野へ進みたい
・上流工程を目指したい
・マネジメントを学びたい
目的が明確になれば、必要のない資格取得に時間を使うことを防げます。
学んだ内容を実際に試す
可能であれば、資格勉強だけでなく実際に手を動かしましょう。
開発系ならプログラムを書く、インフラ系なら学習環境でネットワークやサーバーを操作するなど、知識と実践を結びつけます。
試験問題だけを覚えるより、実務での理解につながりやすくなります。
資格取得と実務経験の優先順位を考える
現役エンジニアの場合は、資格勉強より実務経験を優先したほうがよいケースもあります。
たとえば、設計業務を経験できる機会があるのに、それを断って資格勉強だけを続ける必要があるかは慎重に考えましょう。
私たちがキャリア相談で重視しているのも、「スキルが伸びない原因が本人の資格不足なのか、経験できる仕事がない環境なのか」という切り分けです。
資格を増やす前に、現在の職場で必要な経験を積めるかも確認してみてください。
資格取得とキャリアアップの優先順位に迷ったら
市場価値を客観的に評価したうえで、資格取得を優先するべきか、転職して実務経験を広げるべきかを一緒に整理できます。今の悩みの相談だけでもかまいません。
まとめ|ITエンジニア資格は目的から選ぼう
ITエンジニアの資格について、ポイントを整理します。
・ITエンジニアになるために資格が必須とは限らない
・未経験者は資格学習をITの基礎習得に活用できる
・経験者は目指す専門分野やキャリアから資格を選ぶ
・資格取得だけで年収アップや転職成功が決まるわけではない
・資格不足なのか、実務経験を積めない環境なのかを切り分ける
「ITエンジニアだから、この資格を取るべき」と一括りにする必要はありません。
まず自分がどのIT職種を目指すのかを決め、その仕事に必要な知識から資格を選びましょう。
よくある質問(FAQ)
ITエンジニアになるには資格が必須ですか?
資格が必須ではない求人もあります。特に未経験者の場合は、資格取得そのものより、学習を通じてITの基礎を身につけることが重要です。目指す職種から必要な知識を逆算しましょう。
未経験者はどのIT資格から取得すべきですか?
IT自体を初めて学ぶ場合はITパスポート試験、エンジニアとしての基礎を幅広く学びたい場合は基本情報技術者試験などが候補です。現在の知識と目指す職種から選びましょう。
ITエンジニアの転職で資格は有利になりますか?
学習している分野を伝える材料になる場合があります。ただし、経験者採用では実務経験や担当工程なども重要です。資格だけに頼らず、これまでの仕事内容も具体的に整理しましょう。
ITエンジニアは資格なしでも年収を上げられますか?
資格の有無だけで年収が決まるわけではありません。担当できる工程、専門性、実務経験など複数の要素が関係します。資格取得とあわせて、どの経験を積むべきか考えることが大切です。
基本情報技術者試験と応用情報技術者試験はどちらがおすすめですか?
ITの基礎を学びたい未経験者や若手なら基本情報技術者試験が候補です。すでに基礎知識があり、技術や管理を幅広く学びたい場合は応用情報技術者試験を検討できます。
資格勉強とプログラミング学習はどちらを優先すべきですか?
目指す職種によって異なります。開発職を目指すなら、資格だけでなく実際にプログラムを書く経験も重要です。資格取得を目的にせず、希望する仕事内容から必要な学習を決めましょう。
この記事の執筆者

AIdeaCareerMedia編集部
主にIT・機電エンジニアに特化した転職事情に関する有益な情報を発信するメディアの編集部です。転職者であれば転職市場や選考での対策、企業の採用担当者様であればエンジニア人材の採トレンド等の「エンジニアに携わる転職・採用」の情報を提供します。
この記事の監修者

【IT部門統括責任者】キャリアアドバイザー 小畑 大夢
近畿大学卒業後、新卒で当社入社。圧倒的な当事者意識で営業活動に従事し、全社MVP・MVMの連続受賞をはじめ多くの表彰を経験。
圧倒的な求職者様目線を強みに、これまで多くのITエンジニアの転職成功に貢献。
現在は、IT部門統括責任者として、勝てる組織づくりと後進育成に邁進。
