【テンプレート付き】キャリアプランシートの作り方|エンジニア向けに解説

【テンプレート付き】キャリアプランシートの作り方|エンジニア向けに解説

「キャリアプランシート」と検索したあなたは、社内の面談で提出を求められた、あるいは自分の方向を整理したいと考えて、何を書けばよいのか迷っているのではないでしょうか。

キャリアプランシートは将来を約束する書類ではありません。現在地と、進みたい方向、そのために足りていないものを一枚に並べるための道具です。

この記事では、IT・機電エンジニア専門の転職エージェントである私たちが、書くべき項目、そのまま使える様式、領域別の記入例、書けないときの対処までを解説します。

結論|埋めるのは「現在地」「方向」「差分」の3つ

先に要点を整理します。

・シートに書くのは、現在のスキルと経験、目指す方向、その差を埋めるための行動
・書けない原因のほとんどは、将来像から考え始めていることにあります
・順番は「現在地の棚卸し」→「方向の選択」→「差分の特定」
・将来像は変わって構わないため、現時点の仮の答えで足りる
・提出先(社内か自分用か)によって、書く粒度と表現が変わる

キャリアプランシートは、正解を書き込む用紙ではありません。将来の希望は変わるものであり、変わったときに書き直せばよい前提で作ってください。

キャリアプランシートとは|何のための書類か

キャリアプランシートとは、自身の経験・スキルと将来の方向性を整理し、一枚にまとめた書類です。呼び方は「キャリアシート」「キャリアデザインシート」など、企業や場面によって異なります。

使われる場面は主に次の3つです。

場面目的読む相手
社内の面談・評価制度育成方針の検討、配属や研修の判断材料上司、人事
転職活動の準備応募先の選定、志望動機の materials 整理自分(または相談相手)
キャリア相談の場現状と希望の共有相談相手

同じシートでも、社内提出用と自分用では書く内容が変わります。社内提出用では組織の方針と接続させる必要があり、自分用では本音をそのまま書いて構いません。この違いは後の章で扱います。

私たちのもとにも、「会社に出すシートに正直に書いていいのか分からない」というご相談が届きます。判断の分かれ目は、そのシートが誰の何のために使われるかです。

シートに書く6つの項目

様式は企業によって異なりますが、求められる要素はおおむね共通しています。

項目書く内容埋める順番
①これまでの経験担当した業務、工程、規模1番目
②現在のスキル技術要素とレベル、扱える範囲2番目
③強みと課題得意なこと、伸ばしたいこと3番目
④目指す方向3〜5年後にどうなっていたいか4番目
⑤必要なもの方向に進むために足りないスキル・経験5番目
⑥当面の行動半年〜1年で取り組むこと6番目

④の「目指す方向」から書き始めると、多くの人が手が止まります。現在地が整理されていない状態では、方向も差分も見えないためです。①から順に埋めてください。

そのまま使える様式

手元の紙か、表計算ソフトに次の形で作ってください。

【第1部】現在地の棚卸し

項目記入欄
担当した業務・製品
担当工程(設計/実装/評価/運用/改善など)
扱った技術・設備・工法
規模(人数、台数、期間、利用者数)
数値で言える成果
得意だと感じる場面
苦手・避けたいと感じる場面

【第2部】方向の整理

項目記入欄
3年後に担いたい役割
5年後に担いたい役割
専門を深めるか、範囲を広げるか
技術で進むか、管理も担うか
変えたくないこと(領域、働き方など)

【第3部】差分と行動

項目記入欄
方向に進むために足りないスキル
足りない経験(担当したことのない工程)
現職で得られるもの
現職では得にくいもの
半年で取り組むこと
1年で取り組むこと

第3部の「現職では得にくいもの」の欄が、最も判断材料になります。ここが埋まると、現職での調整で足りるのか、環境を変える必要があるのかが見えてきます。

作成の5ステップ

ステップ1|経験を書き出す(第1部)

まず事実だけを並べます。評価や希望は書きません。「得意」「苦手」の欄は、実際にあった場面を思い出して書いてください。抽象的な自己分析より、具体的な場面のほうが後で使えます。

ステップ2|成果を数値に置き換える

曖昧な表現は、次のように具体化します。

・「効率化した」→「手作業の設定を自動化し、作業時間を約〇%削減」
・「品質を改善した」→「検査基準を見直し、不良率を約〇%改善」
・「後輩を指導した」→「新入社員〇名を担当し、〇か月で単独作業を任せられる状態に」

正確な数字が分からない場合は「約」を付けた概算で構いません。

ステップ3|方向を仮に決める(第2部)

ここで完璧な答えは不要です。判断に迷う場合、次の2軸で考えると絞りやすくなります。

軸選択肢A選択肢B
専門性特定領域を深める複数領域に広げる
役割技術で進む管理・育成も担う

この2軸の組み合わせで4つの方向が出ます。現時点でどれに近いかを選んでください。いずれも傾向であり、後から変えて構いません。

ステップ4|差分を特定する(第3部)

第1部と第2部を並べ、足りないものを書き出します。スキル、経験、資格のいずれかに該当することが多くあります。

ステップ5|当面の行動を決める

半年と1年に区切って、具体的な行動を書きます。「勉強する」ではなく「〇〇の学習を〇か月続け、〇〇を受験する」まで落としてください。

【領域別】記入例

例1|IT系(運用保守から設計へ)

①これまでの経験
〇〇株式会社にて〇年間、業務システムの運用保守を担当。仮想サーバー約〇台の監視と障害対応を〇名体制で実施。

②現在のスキル
・基盤環境の運用:業務経験〇年
・監視の仕組みの構築:応用的な範囲まで対応可
・設定作業の自動化:業務で実施

③強みと課題
強み:障害の傾向を整理し、再発を防ぐ手順に落とすこと(誤検知を約〇%削減)
課題:要件定義(必要な機能や性能を決める工程)の経験がない

④目指す方向
3年後:運用しやすさを前提とした設計を担当する
5年後:設計から運用まで一貫して任される立場になる

⑤必要なもの
上流工程の経験、顧客や業務部門との要件調整の経験

⑥当面の行動
半年:社内の設計レビューへの参加を上司に相談する。〇〇の学習を継続
1年:小規模案件の要件整理を担当できる状態を目指す

例2|機電系(設計から生産技術へ)

①これまでの経験
〇〇株式会社にて〇年間、〇〇部品の機械設計を担当。三次元設計ソフトを用いた構造検討から試作評価まで対応。

②現在のスキル
・三次元設計:業務経験〇年
・図面作成(公差設定を含む):業務経験〇年
・強度解析:応用的な範囲まで対応可

③強みと課題
強み:組立工数を意識した設計(部品点数を〇点削減)
課題:量産段階の工程設計と設備の知識が不足

④目指す方向
3年後:量産立ち上げの工程設計に関わる
5年後:設計と生産技術の双方を理解し、立ち上げ全体を担う

⑤必要なもの
設備選定の経験、工程設計の知識、現場との調整経験

⑥当面の行動
半年:量産移行時の工程会議への同席を申し出る
1年:担当製品の立ち上げに設計側の窓口として関わる

どちらの例も、⑥が「上司に相談する」「申し出る」から始まっています。現職で試せることを先に置くと、シートが現実的な計画になります。

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社内提出用と自分用の書き分け

同じ内容でも、提出先によって書き方を調整する必要があります。

項目社内提出用自分用
目指す方向自社の中で描ける道筋に接続させる制約を外して書く
課題改善の意欲とセットで書く率直に書く
転職の意向書かない選択肢として書いてよい
現職への不満「〇〇を経験したい」の形に変換そのまま書く
行動計画会社の制度や機会と結びつける社外の選択肢も含める

社内提出用のシートは、育成方針の検討や配属の判断材料に使われます。そのため、自社で実現できない希望だけを並べると、話が進みにくくなります。

一方で、希望を偽る必要はありません。「〇〇の工程を経験したい」という書き方であれば、社内での機会につながる可能性があります。

転職を検討している段階でも、社内提出用のシートにその意向を書く必要はありません。自分用のシートを別に作り、そちらで率直に整理してください。2枚作ることは、二重帳簿のような後ろめたいことではなく、目的が違う書類を分けるだけの話です。

シートは転職活動でどう使えるか

自分用に作ったシートは、そのまま転職準備の材料になります。

シートの項目転職活動での使い道
①これまでの経験職務経歴書の職務内容欄
②現在のスキル職務経歴書のスキル欄
③強みと課題自己PR、面接での強み・弱みの質問
④目指す方向志望動機、面接での将来像の質問
⑤必要なもの応募先を選ぶ基準
⑥当面の行動面接での「入社後にやりたいこと」

⑤の欄は、応募先を絞る基準として使えます。足りないものが「上流工程の経験」であれば、上流から関われる求人を優先する、といった判断ができます。

シートを先に作っておくと、応募のたびに経験を思い出す作業が不要になります。書類作成の効率という面でも、作る価値があります。

データで見る|方向を考える際の背景情報

方向を決める段階では、市場の状況も判断材料になります。

まずIT領域の数値です。年代別では、20代前半の約377万円から40代後半の約760万円まで推移し、40代後半がピークとなっています。

出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」(システムエンジニアの年齢階級別賃金)

指標金額(目安)
システムエンジニア(基盤システム)約684万円
システムエンジニア(Webサービス開発)約574万円
給与所得者全体の平均年収約478万円

出典:厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)/システムエンジニア(Webサービス開発・基盤システム)」(令和6年賃金構造基本統計調査に基づく)、国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」

需要面では、2030年に最大約79万人のIT人材が不足すると試算されています。求人の状況も、情報処理・通信技術者の有効求人倍率は1.43倍で、職業計の1.12倍を上回っています。

出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年公表)、厚生労働省「一般職業紹介状況」(2025年11月)

上記はシステムエンジニアの値です。機械設計・回路設計・生産技術といった機電系職種の平均年収と求人倍率については、公的な数値を確認できていません。IT系の数値を機電系の水準として読み替えないでください。

いずれも市場全体の傾向であり、個々のキャリアの結果を示すものではありません。年収の推移は、方向を決める材料の一つにすぎません。どの領域で何をしたいかが先にあり、待遇はその後についてくる要素として捉えるほうが、シートは書きやすくなります。

書けないときの3つの対処

1. 「目指す方向」から書こうとしていないか

最も多い原因です。将来像は現在地の延長線上に見えてくるものです。第1部の棚卸しを先に埋めてください。

2. 完成させようとしていないか

シートは一度で完成させる書類ではありません。空欄があっても構いません。埋まった欄と空欄の分布そのものが、今わかっていることとわかっていないことを示します。

3. 選択肢を知らないだけではないか

「どの方向に進みたいか」は、選択肢を知らなければ選べません。同じ領域内にどんな職種があるか、どんな工程を担う立場があるかを調べる段階が先に必要な場合もあります。

私たちのもとにも、「キャリアプランが描けないのは自分の意識が低いからではないか」とご相談にいらっしゃる方がいます。実際に伺うと、意識の問題ではなく、隣接する職種の存在を知る機会がなかっただけというケースが少なくありません。選択肢の少なさは、情報の問題であることが多いものです。

差分が埋まらないときは「自分か、環境か」を切り分ける

シートを埋めたあと、⑤の「必要なもの」が現職で得られそうにない場合があります。

確認したいのは、必要なものが得られない原因が「自分の取り組みが足りていないこと」なのか、「現職にその機会そのものがないこと」なのかという点です。

前者であれば、現職で試せることが残っています。上司に相談する、社内の他部署の業務に手を挙げる、学習を進めるといった行動です。⑥の欄をこの前提で埋め直してください。

後者の場合、時間をかけても差分は埋まりません。会社の事業構造上、その工程を社内で行っていない、その技術を扱っていないという状況では、努力の量では変わらないためです。

その場合、方向は2つあります。同じ領域で、その工程を内製している企業を探す。あるいは、扱う技術や製品の領域自体を変える。どちらを選ぶかは、第2部の「変えたくないこと」の欄が判断材料になります。

シートは、転職を勧める書類ではありません。現職での調整で足りるのかを見極めるための道具です。埋めた結果、現職で進めると判断することも十分にあり得ます。

「この方向で合っているのか」を一人で抱え込む前に

市場価値を客観的に評価したうえで、納得のいく選択肢を一緒に考えます。まずは情報収集の一環として話を聞いてみたい、という方も歓迎です。
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まとめ

・シートに書くのは「現在地」「目指す方向」「その差分と行動」の3つ
・埋める順番は現在地から。目指す方向から書き始めると手が止まる
・成果は台数・人数・期間・削減率などの数値に置き換える
・社内提出用と自分用は分けて作り、目的に応じて書き分ける
・差分が埋まらない場合、原因が自分の取り組みか環境かを切り分ける

よくある質問

キャリアプランシートとは何ですか?

自身の経験・スキルと将来の方向性を一枚に整理した書類です。社内の面談や評価制度で提出を求められる場合と、転職準備やキャリア相談のために自分で作る場合があります。呼び方は企業によって異なります。

何から書き始めればよいですか?

これまでの経験と現在のスキルからです。将来像から書こうとすると手が止まります。現在地が整理されて初めて、進みたい方向と足りないものが見えてきます。順番を変えるだけで書きやすくなります。

将来のことが決まっていない場合はどうすればよいですか?

現時点の仮の答えで構いません。シートは将来を約束する書類ではなく、変わったら書き直す前提のものです。専門を深めるか範囲を広げるか、技術で進むか管理も担うかの2軸で考えると絞りやすくなります。

社内提出用に本音を書いてもよいですか?

転職の意向は書く必要がありません。現職への不満は「〇〇を経験したい」という形に変換してください。社内提出用は育成や配属の判断材料に使われるため、自社で実現できる希望と接続させるほうが話が進みます。

空欄があっても提出してよいですか?

空欄があること自体は問題ありません。ただし提出先の指示がある場合は従ってください。埋まった欄と空欄の分布が、今わかっていることとわかっていないことを示すため、面談の材料としても機能します。

転職活動にも使えますか?

そのまま材料として使えます。経験の欄は職務経歴書の職務内容、スキルの欄はスキル欄、目指す方向は志望動機に対応します。先に作っておくと、応募のたびに経験を思い出す作業が省けます。

どのくらいの頻度で見直すべきですか?

決まった頻度はありません。担当業務が変わったとき、目指す方向が変わったとき、応募を始めるときが見直しの機会になります。一度作ったものを更新していく形で運用するほうが現実的です。

この記事の執筆者

AIdeaCareerMedia編集部

主にIT・機電エンジニアに特化した転職事情に関する有益な情報を発信するメディアの編集部です。転職者であれば転職市場や選考での対策、企業の採用担当者様であればエンジニア人材の採トレンド等の「エンジニアに携わる転職・採用」の情報を提供します。

この記事の監修者

人材紹介事業部 事業統括責任者 堀 凌也

関西学院大学卒業後、新卒で当社入社。入社直後よりリクルーティングアドバイザーとしてトップクラスの成績を収め、組織内最年少で拠点責任者に抜擢。
現在は求職者への価値提供と企業の採用課題解決を両立する事業統括責任者として、組織の急成長と人材育成を牽引。