内部監査員の資格7選|ISO9001など種類と研修の選び方・取り方

内部監査員の資格7選|ISO9001など種類と研修の選び方・取り方

「内部監査員になるには資格が必要?」「研修がたくさんあって、どれを受ければいいか分からない」と検索したあなたは、会社から内部監査員に任命されたり、品質の仕事でキャリアを広げるために資格を取りたいと考えたりしているのではないでしょうか。内部監査員の資格は種類が多く、国家資格なのか民間の資格なのかも分かりにくいものです。

内部監査員に、法律で定められた資格は必須ではありません。ただし、多くの企業では、外部の研修を修了し、社内で必要な知識と技能(力量)を認められた人を内部監査員に任命しています。 そのため、自社が運用している規格に合った研修を選び、実際の監査の経験を積むことが、内部監査員として認められる近道です。

この記事では、IT・機電エンジニア専門の転職エージェントである私たちが、内部監査員に資格が必要かどうか、内部監査員の資格・研修の一覧、規格ごとの特徴、研修の選び方、取得のメリット、レベル別のおすすめ、キャリアとの関係、効率的な勉強法を解説します。

内部監査員に資格は必要?

結論からいうと、内部監査員になるために、法律で定められた国家資格は必要ありません。内部監査員は、企業がISOなどの規格にもとづいて運用している品質や環境の仕組みが、ルールどおりに機能しているかを、社内で確認する役割です。誰を内部監査員にするかは、それぞれの企業が決めます。

ただし、規格では、内部監査を行う人に必要な力量があることを求めているとされます。そのため、多くの企業では、次のような流れで内部監査員を任命しています。

  1. 外部の研修機関などで、規格の内容と監査の進め方を学ぶ研修を受ける
  2. 研修の修了証を取得する
  3. 社内で、経験者の監査に同行して実務を学ぶ
  4. 社内の基準にもとづいて、内部監査員として任命される

内部監査員の「資格」とは、多くの場合、研修の修了証と社内での任命の組み合わせを指します。 研修を受けただけでなく、実際の監査の経験を積み、社内で認められて初めて、内部監査員として活動できるのが一般的です。

内部監査員と、審査員・内部監査人との違い

内部監査員と似た言葉に、「審査員」と「内部監査人」があります。

名称主な役割所属資格
内部監査員自社の品質や環境の仕組みが規格やルールどおりに運用されているかを確認する自社研修の修了と社内での任命が一般的
審査員認証機関の立場で、企業がISOなどの規格を満たしているかを審査する認証機関審査員の登録制度にもとづく資格が求められる
内部監査人会社の業務や会計、リスク管理が適切に行われているかを監査する自社の内部監査部門公認内部監査人などの資格がある

この記事では、ISOなどのマネジメントシステムの内部監査員について解説します。会社の業務や会計を監査する「内部監査人」の資格とは異なる点に注意しましょう。

内部監査員の資格・研修【一覧】

内部監査員の研修は、対象となる規格ごとに分かれています。代表的な7つの種類をまとめました。

種類対象の規格主な分野主に必要とされる業界・部門
1. 品質マネジメントの内部監査員ISO 9001品質業界を問わず、品質保証・品質管理
2. 環境マネジメントの内部監査員ISO 14001環境製造業全般、環境・総務
3. 労働安全衛生マネジメントの内部監査員ISO 45001労働安全衛生製造業・建設業、安全衛生部門
4. 情報セキュリティマネジメントの内部監査員ISO/IEC 27001情報セキュリティIT企業、情報システム部門
5. 自動車業界の品質マネジメントの内部監査員IATF 16949品質(自動車)自動車部品メーカー
6. 医療機器の品質マネジメントの内部監査員ISO 13485品質(医療機器)医療機器メーカー
7. 食品安全マネジメントの内部監査員ISO 22000など食品安全食品メーカー

複数の規格を同時に運用している企業向けに、品質と環境などをまとめて学べる「統合マネジメントシステム」の内部監査員研修もあります。

品質系の内部監査員

製造業の品質の仕事に関わる方にとって、最も身近なのが品質系の内部監査員です。

1. ISO 9001の内部監査員

ISO 9001は、業界を問わず使われる品質マネジメントシステムの基本の規格です。品質系の内部監査員を目指す方は、まずISO 9001の内部監査員研修から受けるのが一般的です。IATF 16949やISO 13485などの業界の規格も、ISO 9001の考え方をもとにしているため、最初に学んでおくと理解が深まります。

5. IATF 16949の内部監査員

自動車部品の業界では、IATF 16949の内部監査員が求められます。IATF 16949では、品質の仕組み全体の監査に加えて、製造工程の監査と製品の監査を行うことが求められ、それぞれの監査に必要な力量も定められているとされます。コアツールの知識も必要になるため、ISO 9001よりも学ぶ範囲が広くなります。規格の概要は「IATF16949とは?」の記事で解説しています。

6. ISO 13485の内部監査員

医療機器の業界では、ISO 13485の内部監査員が求められます。医療機器の法規制への対応やリスクマネジメント、文書と記録の管理など、医療機器ならではの視点で監査を行います。規格の概要は「ISO13485とは?」の記事で解説しています。

環境・安全・情報の内部監査員

品質以外の分野でも、内部監査員が活躍しています。

2. ISO 14001の内部監査員

ISO 14001は、環境マネジメントシステムの規格です。廃棄物の削減やエネルギーの使用量の管理、環境に関する法令への対応などが、ルールどおりに行われているかを監査します。製造業では、品質の内部監査員とあわせて環境の内部監査員を兼ねる方も多くいます。

3. ISO 45001の内部監査員

ISO 45001は、労働安全衛生マネジメントシステムの規格です。職場の危険の洗い出しや、事故を防ぐための取り組みが適切に行われているかを監査します。工場や建設現場など、安全管理が重要な職場で求められます。

4. ISO/IEC 27001の内部監査員

ISO/IEC 27001は、情報セキュリティマネジメントシステムの規格です。情報の取り扱いやアクセスの管理、情報漏えいの対策が適切に行われているかを監査します。IT企業や、製造業の情報システム部門で求められることが多く、ITエンジニアにとっても役立つ資格です。

7. 食品安全の内部監査員

食品メーカーでは、ISO 22000などの食品安全マネジメントシステムの内部監査員が求められます。衛生管理や異物混入の防止などが、ルールどおりに行われているかを監査します。

研修の選び方とチェックリスト

内部監査員の研修は、多くの研修機関や認証機関が開催しています。研修の内容や形式は機関によって異なるため、次の点を確認して選びましょう。

  • □ 自社が運用している規格(または目指す業界の規格)に対応しているか
  • □ 規格の最新版にもとづいた内容になっているか
  • □ 監査の進め方や、質問の仕方、指摘の書き方などの演習があるか
  • □ 修了証が発行されるか
  • □ 集合研修かオンラインか、自分の働き方に合った形式か
  • □ 研修の期間と費用が、会社の予算や自分の都合に合っているか
  • □ 会社が指定している研修機関や、取引先が求める条件がないか
  • □ 規格の解説だけでなく、実務に近い事例を扱っているか

特に重要なのは、「自社や取引先が求める条件」を確認することです。取引先から、特定の内容を含む研修の修了を求められることもあるため、品質保証部門や上司に事前に相談しておきましょう。

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内部監査員の資格を取得する3つのメリット

内部監査員の資格を取得することには、次のようなメリットがあります。

  1. 規格と会社の仕組みを体系的に理解できる:自分の部署だけでなく、会社全体の品質や環境の仕組みを見渡せるようになります。
  2. 社内での役割と評価が広がる:内部監査員は、部門をまたいで仕組みを点検する役割のため、社内での信頼や評価につながりやすくなります。
  3. 転職でアピールしやすくなる:特に、品質保証や品質管理の職種では、内部監査の経験が評価されやすい傾向にあります。

エージェント視点で言うと、品質保証や品質管理の選考では、「内部監査員の研修を修了している」ことよりも、「実際に何回の監査を担当し、どんな指摘をして、どう改善につなげたか」が見られる傾向にあります。研修の修了は入り口であり、監査の経験と成果をセットで伝えられると、強みとして評価されやすくなります。

レベル別・目的別のおすすめ

内部監査員の資格・研修は、経験や目的に合わせて段階的に取り組むのがおすすめです。

レベルおすすめの資格・研修進め方のポイント
品質の仕事を始めたばかりISO 9001の内部監査員研修規格の基本と監査の進め方を学び、経験者の監査に同行する
内部監査の経験を積んだ中堅業界の規格(IATF 16949、ISO 13485など)の内部監査員研修業界ならではの要求を理解し、工程の監査なども担当する
キャリアアップを目指す審査員の資格、複数の規格の内部監査員研修監査の責任者や、社外の審査の仕事も視野に入れる

目的別に見ると、次のような選び方が考えられます。

  • 自社で求められているから取りたい:自社が運用している規格の研修を受ける
  • 自動車業界・医療機器業界に転職したい:IATF 16949やISO 13485の研修を受ける
  • 品質と環境の両方を担当している:統合マネジメントシステムの研修を受ける
  • ITの分野でも活かしたい:ISO/IEC 27001の研修を受ける
  • 将来は審査の仕事にも関わりたい:審査員の登録制度にもとづく資格を目指す

資格の種類と選び方が分かると、次に何に取り組むかが見えてきます。品質の職種研究や、資格選びに役立つ情報をLINEで配信していますので、まずは気軽に受け取ってみてください。

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内部監査員の資格と年収・キャリアの関係

内部監査員の資格を取ったからといって、それだけで年収が上がるとは限りません。ただし、内部監査の経験は、品質保証や品質管理の仕事で評価されやすく、キャリアの幅を広げることにつながります。

品質に関わる職種の年収については、信頼できる統計を確認したうえで掲載します。

指標金額・数値(目安)
有効求人倍率(職業計)1.12倍

出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」(2025年11月)

※有効求人倍率1.12倍は全職業の数値で、内部監査員の資格を持つ人や品質の職種に限った数値ではありません。

一般的には、内部監査の経験を活かして品質の仕組みの改善を推進したり、監査の責任者を任されたりすると、評価や待遇に反映されやすい傾向にあります。

「資格を取っても活かせない」原因を切り分ける

ご相談の場では、「内部監査員の研修を受けたのに、監査に参加する機会がほとんどない」「監査をしても、指摘が改善につながらない」という声をよく聞きます。この悩みは、本人の力不足ではなく、監査の計画が形だけになっていたり、指摘を改善に活かす仕組みがなかったりする職場の環境に原因があることが少なくありません。原因が職場にあるなら、品質の仕組みを改善に活かしている企業へ移ることで、資格と経験をより活かせる可能性があります。

経験を数値で伝える

内部監査員の経験は、数値で示すと説得力が増します。

項目改善前の書き方改善後の書き方
監査の回数内部監査を担当年間12回の内部監査を担当し、うち4回は監査の責任者を務めた
指摘と改善指摘事項を出した文書管理の不備を指摘し、手順の見直しで同じ指摘を翌年ゼロに
担当範囲複数部門を監査製造・購買・設計の3部門を対象に、品質と環境の統合監査を実施

※数値は記入例です。ご自身の実績に置き換えてお使いください。

効率的な勉強法のポイント

内部監査員の力をつけるには、次のポイントを意識して学ぶと効果的です。

  1. 規格の要求事項を自分の言葉で説明できるようにする:規格の文章をそのまま覚えるのではなく、「何を求めているのか」を理解する
  2. 自社の仕組みと規格を照らし合わせる:自社の手順書が、規格のどの要求事項に対応しているかを確認する
  3. 経験者の監査に同行する:質問の仕方や、記録の確認の仕方を、実際の監査で学ぶ
  4. チェックリストを自分で作る:監査の前に、確認する項目と質問をまとめておく
  5. 指摘の書き方を練習する:事実と根拠をもとに、相手が改善しやすい指摘を書く

内部監査は、相手の欠点を探すことではなく、仕組みをより良くするための活動です。相手の話をよく聞き、事実にもとづいて確認する姿勢を身につけることが、信頼される内部監査員への近道です。

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まとめ

  • 内部監査員に法律で定められた資格は必須ではなく、研修の修了と社内での任命で認められるのが一般的です。
  • 内部監査員の研修は、ISO 9001、ISO 14001、ISO 45001、ISO/IEC 27001、IATF 16949、ISO 13485、食品安全など、規格ごとに分かれています。
  • 研修は、自社や取引先が求める規格と条件を確認したうえで、内容や形式、費用を比べて選びましょう。
  • 最初はISO 9001から始め、経験に応じて業界の規格や審査員の資格へと段階的に広げていくのがおすすめです。
  • 資格を活かせないと感じたときは、自分の力の問題か、監査を改善に活かせない職場の環境の問題かを切り分けることが大切です。

よくある質問

内部監査員の資格は国家資格ですか?

国家資格ではありません。内部監査員は、企業が運用している規格にもとづいて社内で任命される役割で、外部の研修の修了証と社内での任命の組み合わせで認められるのが一般的です。誰を任命するかの基準は、それぞれの企業が決めています。

内部監査員の研修はどのくらいの期間がかかりますか?

研修機関や規格によって異なります。規格の内容と監査の進め方を学ぶ研修が一般的で、集合研修とオンライン研修のどちらも開催されています。具体的な期間と費用は、研修機関の案内で確認しましょう。

内部監査員の資格は独学で取れますか?

規格の内容は独学でも学べますが、修了証が発行される研修を受けることが一般的です。多くの企業では、研修の修了を内部監査員の任命の条件としているためです。独学で規格を学んでから研修を受けると、理解がより深まります。

内部監査員と審査員の違いは何ですか?

内部監査員は、自社の仕組みを社内の立場で確認する役割です。審査員は、認証機関の立場で、企業が規格を満たしているかを審査する役割で、審査員の登録制度にもとづく資格が求められます。内部監査員の経験を積んだ後、審査員を目指す方もいます。

内部監査員の資格は転職で役立ちますか?

品質保証や品質管理の職種では、役立つことが多い資格です。ただし、研修の修了だけでなく、実際に担当した監査の回数や、指摘を改善につなげた経験をあわせて伝えることが大切です。業界の規格の内部監査員の経験は、同じ業界への転職で特に評価されやすくなります。

品質以外の仕事でも内部監査員の資格は活かせますか?

活かせます。環境や労働安全衛生、情報セキュリティなど、さまざまな分野に内部監査員の研修があります。たとえば、ITの仕事では情報セキュリティの内部監査員の資格が役立ちます。仕組みをルールに照らして確認する考え方は、どの分野でも共通しています。

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この記事の執筆者

AIdeaCareerMedia編集部

主にIT・機電エンジニアに特化した転職事情に関する有益な情報を発信するメディアの編集部です。転職者であれば転職市場や選考での対策、企業の採用担当者様であればエンジニア人材の採トレンド等の「エンジニアに携わる転職・採用」の情報を提供します。

この記事の監修者

【機電部門統括責任者】キャリアアドバイザー 湯浅 空大

立命館大学卒業後、新卒で中堅アパレル企業へ入社。当社入社後は未経験圧倒的なスピードで実績を上げ、わずか2年半で機電部門統括責任者に就任。
圧倒的な求職者様目線を強みに、多くの機電エンジニアの転職成功。現在は、機電部門統括責任者として、勝てる組織づくりと後進育成に邁進。