「FAEとはどんな仕事?」「求人で見かけたけれど、営業なのか技術職なのかわからない」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
FAE(フィールドアプリケーションエンジニア)とは、半導体や電子部品を顧客の製品に採用してもらうため、設計段階から技術面で支援するエンジニアです。 営業と顧客の設計者の間に立ち、部品の選定から評価、不具合の解析までを担います。回路設計や組込み開発の経験を活かせる職種として注目されています。
この記事では、IT・機電エンジニア専門の転職エージェントである私たちが、FAEの仕事内容や種類、年収、必要なスキル、なり方を解説します。
FAEとは
FAEは、半導体メーカーや電子部品商社に所属し、顧客の製品開発を技術面から支える職種です。顧客は自動車部品、産業機器、家電、通信機器などのメーカーで、その設計者が主な対話相手になります。
FAEの役割を一言で表すと、「自社の部品を、顧客の製品の中で確実に動かすこと」です。部品を紹介するだけでなく、顧客の回路にどう組み込めば性能を引き出せるかまで一緒に考えます。
セールスエンジニアとの違い
セールスエンジニアは、IT製品や産業機械など幅広い製品を扱い、受注前の技術提案を中心に担う職種です。一方、FAEは半導体や電子部品に特化し、顧客の設計の中に深く入り込む点が特徴です。受注後も、試作や量産に向けた技術支援が長く続くことが多くあります。
回路設計エンジニアとの違い
回路設計エンジニアは、自社製品の回路を設計する職種です。FAEは自ら製品を設計するのではなく、顧客の設計者を支援する立場にあります。設計の知識は共通しますが、関わる製品の数が多く、幅広い用途に触れられる点が異なります。
フィールドエンジニアとの違い
フィールドエンジニアは、納品された機器の設置・保守・修理を担います。FAEは部品が採用される前の設計段階から関わる点で、担当工程が大きく異なります。
| 職種 | 主な担当工程 | 主な役割 |
| FAE | 設計〜量産立ち上げ | 部品の採用に向けた技術支援 |
| セールスエンジニア | 受注前〜導入初期 | 製品の技術提案・仕様調整 |
| 回路設計エンジニア | 設計〜試作 | 自社製品の回路設計 |
| フィールドエンジニア | 納品後 | 機器の設置・保守・修理 |
FAEの仕事内容【工程別】
FAEの仕事は、顧客の製品開発の流れに沿って進みます。中心となるのは、デザインイン(顧客の製品の設計段階で自社部品を採用してもらう活動)です。
| 工程 | 主な役割 |
| 製品知識の習得 | 自社部品の仕様と活用方法を把握する |
| ヒアリング | 顧客の製品仕様と技術課題を聞き取る |
| 部品選定・提案 | 最適な部品と回路構成を提案する |
| 評価・試作支援 | 評価ボードや参考回路で動作検証を支援する |
| 不具合解析 | 動作不良の原因を顧客と一緒に切り分ける |
| 量産立ち上げ・情報共有 | 量産化を支援し、顧客の声を開発部門へ伝える |
製品知識の習得
扱う部品の仕様書(データシート)を読み込み、性能や使いどころを理解します。新製品が出るたびに学び直しが必要で、海外メーカーの資料を英語で読む場面も多くあります。
ヒアリング・部品選定
顧客の製品に求められる性能や消費電力、コスト、サイズなどを聞き取ります。そのうえで、要件を満たす部品と、その部品を活かす回路構成を提案します。
評価・試作支援
顧客が部品を試せるよう、評価ボード(部品の性能を確かめるための基板)や参考回路、サンプルプログラムを提供します。顧客先に出向き、オシロスコープなどの測定器を使って一緒に動作を確認することもあります。
不具合解析
「想定どおりに動かない」「ノイズが出る」といった問い合わせに対応する工程です。EMC(電子機器が出すノイズや、ノイズへの耐性)の問題など、原因が部品にあるのか、顧客の回路にあるのかを丁寧に切り分けます。必要に応じて、自社の開発部門や海外の本社と連携します。
量産立ち上げ・情報共有
試作で問題がなければ量産に移ります。量産後も安定供給や品質面の相談に対応します。また、顧客の要望や市場の動きを社内の開発部門へ伝え、次の製品企画に活かすのもFAEの大切な役割です。
FAEの種類
FAEは、所属する企業と扱う製品分野によって働き方が変わります。
所属先による違いは次のとおりです。
・半導体メーカー:自社製品を深く専門的に扱い、開発部門との距離が近い
・電子部品商社:複数メーカーの製品を扱い、幅広い組み合わせで提案できる
・海外メーカーの日本法人:本社との英語でのやり取りが多い
扱う製品分野の例としては、マイコン(機器の制御を担う小型のコンピュータ)、電源用部品、センサー、パワー半導体(電力の制御に使う半導体)、通信用部品などがあります。マイコンを扱う場合はソフトウェアの知識、電源やパワー半導体を扱う場合はアナログ回路の知識がより重視されます。
FAEの1日の流れ(例)
ここでは、電子部品商社に所属するFAEの1日を例に紹介します。企業や時期によって異なるため、あくまで一例です。
・9:00 顧客や営業担当からの技術的な問い合わせを確認
・10:00 メーカーの技術資料を確認し、回答をまとめる
・11:00 営業担当と顧客先へ移動
・13:00 顧客の設計者と打ち合わせ、新製品の部品構成を提案
・15:00 別の顧客先で、試作基板の動作を一緒に評価
・17:00 帰社後、不具合の解析結果をメーカーと共有
・18:00 提案資料の作成、翌日の準備をして退勤
顧客先への訪問が続く日もあれば、社内での評価や資料作成が中心の日もあります。海外メーカーの本社と時差のある時間帯に会議をすることもあります。
FAEに必要なスキル・知識
FAEには、回路や組込みの技術力と、顧客と向き合うコミュニケーション力の両方が求められます。主なスキルは次のとおりです。
・アナログ回路・デジタル回路の設計知識
・マイコンの制御や組込みソフトウェアの知識
・オシロスコープなどの測定器を扱う技術
・仕様書や技術資料を読み解く英語力
・技術的な内容をわかりやすく伝える説明力
なかでも重要なのが、不具合の原因を論理的に切り分ける力です。顧客の回路と自社部品のどちらに原因があるかを冷静に見極められると、顧客からの信頼が大きく高まります。
求人の傾向として、回路設計や組込み開発の実務経験を歓迎する企業が多く、海外メーカーでは英語力を重視するケースが目立ちます。
FAEに役立つ資格
FAEに必須の資格はありません。評価の中心は実務経験ですが、資格は技術力を客観的に示す材料になります。
・エンベデッドシステムスペシャリスト試験:組込みシステムの設計・開発力を証明できる
・基本情報技術者試験:マイコンを扱ううえで役立つソフトウェアの基礎を示せる
出典:IPA「情報処理技術者試験」
このほか、技術士(電気電子部門)は技術者としての高い専門性を示せる国家資格です。また、海外メーカーや外資系企業を目指す場合は、TOEICなどで英語力を示せると選考で有利になる傾向があります。
FAEの年収
FAEの年収は、所属先(メーカーか商社か、国内か外資系か)や扱う製品分野によって差がある職種です。FAE単体の公的な年収統計はないため、現時点では目安を示せません。
相談の現場では、「回路設計の経験は評価されるのか」「英語力がどの程度年収に影響するのか」といった質問をよく受けます。一般に、外資系企業では英語力や担当製品の専門性が処遇に反映されやすい傾向があります。年収を比較する際は、基本給と賞与の割合や、評価制度まで確認しておくことが大切です。
職種の全体像と待遇のイメージがつかめてきたら、自分の経験がどう活きるかも気になるところです。職種研究や資格選びに役立つ情報を、LINEで配信しています。まずは情報収集から始めたい方もお気軽にどうぞ。FAEとは?仕事内容・年収・なり方をわかりやすく解説
FAEのやりがいと大変さ
FAEは、自分の技術支援で部品が採用され、世の中に出る製品の一部になる手応えを得られる仕事です。一方で、技術と顧客対応の両面で責任を担うため、特有の大変さもあります。
主なやりがいは次のとおりです。
・自分が支援した部品が、量産製品に採用される
・自動車や産業機器など、多様な製品の開発に関われる
・最新の半導体技術に触れ続けられる
・顧客の設計者から頼られ、専門性が評価される
一方で、次のような大変さもあります。
・不具合の解析で、顧客の開発日程に追われることがある
・新製品が次々に出るため、学び続ける必要がある
・顧客、営業、開発部門、海外本社の間で調整が多い
・出張や時差のある会議が発生することがある
ただし、大変さの感じ方は職場の体制によって大きく変わります。負担の原因がFAEという職種そのものにあるのか、担当顧客数の多さや技術支援の体制不足といった環境にあるのかを切り分けることが大切です。 環境が原因なら、同じFAEとして体制の整った企業へ移ることで解決できる場合もあります。
回路設計の経験が、FAEとしてどう評価されるか知りたい方へ
自分の経験がどの製品分野や企業で活きるかは、一人では判断しにくいものです。経験豊富なアドバイザーが、これまでのキャリアを丁寧にヒアリングし、市場価値を客観的に評価したうえで、納得のいく選択肢を一緒に考えます。
FAEになるには
FAEを目指す主なルートは、次の3つです。
・回路設計・組込み開発からのキャリアチェンジ:設計経験をそのまま活かせる
・品質保証・評価エンジニアからのキャリアチェンジ:不具合解析の経験が活きる
・新卒・第二新卒での入社:電気電子系の知識を土台に、研修で育成される
最も多いのは、回路設計や組込み開発からのキャリアチェンジです。相談の現場では「設計は好きだが、1つの製品だけでなく、もっと多くの製品や顧客に関わりたい」という声をよく聞きます。こうした志向を持つ方にとって、FAEは設計経験を広く活かせる選択肢です。
技術職から目指す場合は、職務経歴書で設計の実績と「顧客や他部署との関わり」を数値で示すと評価されやすくなります。
・設計実績:例「電源回路を○機種で設計」
・解析経験:例「市場不具合○件の原因解析を担当」
・改善成果:例「部品点数を○%削減しコストを低減」
・連携経験:例「海外拠点の技術者○名と仕様を調整」
未経験から目指す場合は、電気電子の基礎知識を学んだうえで、新卒・第二新卒向けの育成枠や、商社の技術職の求人から入るのが現実的です。
FAEへの一歩を、一緒に整理しませんか
「今の経験で応募できる求人はあるか」「メーカーと商社のどちらが合うか」といったご相談だけでもかまいません。まずは情報収集の一環として話を聞いてみたいという方も歓迎です。
まとめ
・FAEとは、半導体や電子部品の採用に向けて、顧客の設計を技術面から支援するエンジニア
・中心となる仕事は、顧客の設計段階で自社部品を採用してもらうデザインイン
・所属先はメーカー・商社・海外メーカーの日本法人などがあり、働き方が異なる
・回路設計や組込み開発の経験、英語力、不具合を切り分ける力が評価される
・負担を感じたときは、職種の問題か、体制などの環境の問題かを切り分けて考える
よくある質問
FAEは何の略ですか?
フィールドアプリケーションエンジニアの略です。顧客の現場(フィールド)で、部品を製品にどう応用(アプリケーション)するかを支援する技術者を指します。主に半導体メーカーや電子部品商社で使われる職種名で、企業によっては「技術営業」「アプリケーションエンジニア」と呼ばれることもあります。
FAEは未経験でもなれますか?
なれる可能性はあります。新卒や第二新卒であれば、電気電子系の基礎知識をもとに研修で育成する企業もあります。ただし、中途採用では回路設計や組込み開発の経験を求める求人が多い傾向です。まずは設計や評価の経験を積み、その後にFAEを目指すルートも現実的です。
FAEに営業ノルマはありますか?
企業によって異なります。FAEは技術職として位置づけられることが多く、個人の売上目標を持たない場合もあります。一方で、担当製品の採用件数や営業チームとの共同目標で評価される企業もあります。応募前に評価制度や目標の持ち方を確認しておくと、入社後のギャップを防げます。
FAEに英語力は必要ですか?
必須ではない求人もありますが、あると活躍の幅が広がります。半導体の技術資料は英語で書かれていることが多く、海外メーカーでは本社との会議も英語で行われます。最初から流暢である必要はなく、資料を読める力から始めて、実務の中で伸ばしていく方も多くいます。
FAEはきついですか?
不具合対応で顧客の日程に追われる時期や、学習が続く負担を感じる方もいます。ただし、きつさの多くは担当顧客の数や社内の支援体制によって変わります。原因が職種そのものか環境かを切り分け、環境が理由であれば体制の整った企業を選ぶことで改善する場合があります。
FAEの将来性はありますか?
半導体や電子部品は、自動車の電動化や産業機器の高度化など、幅広い分野で使われています。部品の高機能化が進むほど、顧客の設計を支える技術支援の役割は重要になると考えられます。専門性を磨き続けることで長く活躍しやすい職種です。
FAEをはじめ、機電系エンジニアのキャリアの広げ方を知りたい方に向けて、職種研究や資格選びに役立つ情報をLINEで配信しています。気になったときに読める形で受け取れます。
この記事の執筆者

AIdeaCareerMedia編集部
主にIT・機電エンジニアに特化した転職事情に関する有益な情報を発信するメディアの編集部です。転職者であれば転職市場や選考での対策、企業の採用担当者様であればエンジニア人材の採トレンド等の「エンジニアに携わる転職・採用」の情報を提供します。
この記事の監修者

【機電部門統括責任者】キャリアアドバイザー 湯浅 空大
立命館大学卒業後、新卒で中堅アパレル企業へ入社。当社入社後は未経験圧倒的なスピードで実績を上げ、わずか2年半で機電部門統括責任者に就任。
圧倒的な求職者様目線を強みに、多くの機電エンジニアの転職成功。現在は、機電部門統括責任者として、勝てる組織づくりと後進育成に邁進。