「休職中の過ごし方」と検索したあなたは、この時間をどう使えばよいのか、何もしていない状態に不安を感じているのではないでしょうか。先にお伝えすると、休職期間の目的は回復であり、何かを成し遂げることではありません。 過ごし方に正解はなく、いま優先すべきことは回復の段階によって変わります。この記事では、IT・機電エンジニア専門の転職エージェントである私たちが、段階ごとの考え方、一日の過ごし方の例、避けたほうがよいこと、復職に向けた確認事項を順に整理します。
なお、前提として私たちはキャリアの専門家であり、医療や法律の専門家ではありません。 体調や治療に関する判断は、必ず主治医にご相談ください。
結論|休職中の過ごし方で大切な3つの原則
- ①回復が最優先:治療と休息以外のことは、後から取り返せます
- ②予定を詰めない:できたことを数えるより、できなかった日を許す前提で組む
- ③一人で判断しない:体調のことは主治医、手続きのことは会社と公的窓口へ
この3つを外さなければ、過ごし方の細部は気にしなくて問題ありません。 「休職期間を有効活用しなければ」という焦りは、それ自体が回復を遅らせる要因になり得るとされます。
相談の現場では、「休んでいる間に資格を取らないと復帰後に居場所がなくなる気がする」という声を聞きます。お気持ちは理解できますが、優先順位としては後ろに置いてかまいません。
そもそも休職中は「何もしない」でよいのか
はい、時期によっては何もしないことが正しい過ごし方になります。休職は休むための制度であり、休むことそのものが目的に沿った使い方です。
不調で休職している場合、初期に活動量を増やすことは、かえって負担になる場合があるとされます。何をどこまでしてよいかの線引きは、主治医と相談して決めるのが確実です。
「何もしていない自分」に不安を感じるのは自然な反応です。ただ、その不安が強く続く場合は、過ごし方の問題ではなく体調のサインである可能性もあります。そのときは、予定を組み直すより先に、主治医に状態を伝えてください。
回復の段階別に見る過ごし方の考え方
以下は一般的な整理の一例です。期間の長さや進み方は人によって異なり、行き戻りするのが通常です。 自分がどの段階かは、主治医の見解を踏まえて判断してください。
| 段階 | この時期の中心 | 控えたほうがよいこと |
| 第1段階(療養に専念する時期) | 治療と休息。生活のリズムを崩さない程度に留める | 復職の是非を決める、転職活動、まとまった学習 |
| 第2段階(日常の活動が戻り始める時期) | 家の中でできることから少しずつ。通院を継続する | 予定を詰める、成果を求める活動 |
| 第3段階(外での活動が可能になる時期) | 外出や図書館などでの過ごし方を試す | 一気に活動量を上げる |
| 第4段階(復職を検討する時期) | 産業医や人事との面談、勤務条件の相談 | 一人で結論を出す |
この表で最も伝えたいのは、右列の「控えたほうがよいこと」です。 特に第1段階で復職や転職の判断をすると、後から見直したくなる結論が出やすくなります。
一日の過ごし方の例と、記録のつけ方
決まった型はありません。参考として、活動が戻り始めた時期の一例を挙げます。あくまで例であり、この通りにできないことが問題を意味するものではありません。
| 時間帯 | 過ごし方の例 |
| 朝 | 起きる時刻を大きくずらさない。カーテンを開ける |
| 午前 | 通院、または家の中でできる軽い用事 |
| 昼 | 食事をとる。負担が大きい日は簡単なもので構わない |
| 午後 | 短い外出、または休息。予定は1つまで |
| 夕方以降 | 画面を見る時間を控えめにする |
| 夜 | 就寝時刻を大きくずらさない |
食事、運動、睡眠の具体的な量や時間については、体調や治療内容によって適切な範囲が異なります。数値の目安は本記事では示しませんので、主治医にご確認ください。
記録は「できたこと」ではなく「事実」を書く
| 日付 | 起きた時刻 | 外出 | 通院 | 体調(良い/普通/つらい) | ひとこと |
評価を書かず、事実だけを残すのが要点です。 「今日も何もできなかった」と書くと、記録が自己批判の道具になってしまいます。事実の記録は、復職の面談時に状態を説明する材料としても役立ちます。
休職中に避けたほうがよいこと
- 復職や退職の結論を、体調が整わないうちに出す:判断力が落ちている時期の結論は、後で見直したくなりやすい
- 会社との連絡を完全に断つ:手続きや期限の案内を見落とす原因になります
- 同僚の様子を頻繁に確認する:比較が負担になる場合があります
- 社会との接点をすべて絶つ:回復期には、接点を保つことが助けになる場合もあります
- 予定を詰めて「取り返そう」とする:活動量の急な増加は負担になり得ます
- 自分を責める言葉を繰り返す:体調のサインである場合があります
最後の項目に心当たりがある場合は、過ごし方を工夫するより先に、主治医や公的な相談窓口にお話しください。
手続きと会社への連絡でやっておくこと
体調が許す範囲で、上から順に進めてください。すべてを一度に終える必要はありません。
- □ 診断書の提出時期と提出先を確認した
- □ 休職できる期間と、期間満了時の扱いを確認した
- □ 給与や手当の取り扱いを確認した
- □ 社会保険料と住民税の支払い方法を確認した
- □ 会社との連絡窓口を一人に絞った
- □ 連絡の手段と頻度を決めた
- □ 通院の予定を把握している
- □ 復職時に相談したいこと(業務量・担当工程)を書き留めた
お金と手続きの詳細は別記事で扱っていますので、そちらをご覧ください。
会社への連絡の例文
長文にする必要はありません。
お世話になっております。現在の状況をご報告いたします。主治医の指示に従い療養を続けており、次回の受診は○月○日を予定しております。今後の見通しについては、受診後に改めてご連絡いたします。体調により返信が遅れる場合がございますので、ご連絡はメールまたは書面でいただけますと助かります。
連絡手段を書面やメールに寄せておくと、記録が残り、やり取りの負担も下がります。 電話が負担に感じる場合は、その旨を添えて問題ありません。
休職中のキャリアについて、情報だけ集めておきたい方へ
経験豊富なアドバイザーが、これまでのキャリアを丁寧にヒアリングします。体調の回復が第一ですので、まずは情報収集の一環として話を聞いてみたいという方も歓迎です。
復職を検討する段階で確認しておきたいこと
この段階に入ってからの話です。急ぐ必要はありません。
主治医・産業医に確認したいこと
- 現在の状態で、どの程度の業務が可能とみられるか
- 避けたほうがよい働き方(夜間対応、長時間の通勤など)はあるか
- 復職後、しばらく配慮が必要な期間はあるか
会社に相談したいこと
- 復職直後の業務量と、担当する工程
- 勤務時間や在宅勤務の可否など、働き方の調整
- 段階的に戻る仕組みが用意されているか
- 復職後の面談や確認の頻度
復職の条件を口頭だけで済ませず、書面やメールに残しておくと、後の認識のずれを防げます。
学習や資格の勉強は、してもよいのか
体調が許す段階になってからであれば、選択肢の一つになります。ただし必須ではありません。
- 復職や転職の可否は、休職中の学習量で決まるものではありません
- 学習が「回復の証明」になってしまうと、負担に変わります
- 主治医が活動を勧める段階になってから、短時間で試すのが無理のない進め方です
参考として、情報処理技術者試験や情報処理安全確保支援士といった国家試験があります。
出典:IPA「情報処理技術者試験」
取り組むかどうかは、体調を基準に判断してください。
データで見る|復帰後の見通し
復職後や転職後の見通しについては参考になる指標があります。
| 指標 | 数値(目安) |
| 有効求人倍率(職業計) | 1.12倍 |
| 有効求人倍率(情報処理・通信技術者) | 1.43倍 |
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」(2025年11月)
さらに、2030年には最大約79万人のIT人材が不足するという推計もあります。
出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年公表)
求人の総数が多いという事実は、「一度休んだら戻る場所がない」という前提が必ずしも正しくないことを示しています。 ただし、応募すれば決まるという意味ではありません。回復の段階に応じて動く前提で受け取ってください。
「戻るか、環境を変えるか」を考えるとき
第4段階に入ってからの話です。ここで欠かせないのが切り分けです。
休職に至った原因が、仕事内容そのものにあるのか、それとも人員体制や納期の組み方といった職場環境にあるのかを分けて考えてください。
- 原因が環境にある場合:同じ職種のまま、体制の整った企業を探す道があります
- 原因が仕事内容にある場合:担当領域や職種を変える検討が必要になります
たとえば、常駐先が短い間隔で変わる働き方が負荷になっていた方が、同じ技術領域のまま自社開発の環境に移って落ち着いた、という例があります。逆に、業務の性質そのものが合わない場合は、企業を変えても状況は変わりにくくなります。
この切り分けは、体調が整ってから紙に書き出すだけでも十分です。いま結論を出す必要はありません。
相談できる窓口
一人で抱えなくてよい部分は、思っているより多くあります。
- 体調・治療のこと:主治医、心療内科・精神科の医療機関
- 職場での配慮:産業医、保健師、人事の担当部署
- 地域の相談先:自治体の保健所、精神保健福祉センター
- 健康保険や手当のこと:加入している健康保険組合、全国健康保険協会
- 働き方や休職のトラブル:労働基準監督署の総合労働相談コーナー
- 法律・社会保険の個別相談:弁護士、社会保険労務士
※各窓口の受付時間や連絡先は変更される場合があります
この記事はキャリアの観点から整理したものです。気持ちの落ち込みが強い、眠れない、何も決められないという状態が続いている場合は、過ごし方を工夫するより先に、医療機関や公的な相談窓口につながることを優先してください。
復職か、環境を変えるか。決める前に整理してみませんか
市場価値を客観的に評価したうえで、納得のいく選択肢を一緒に考えます。今の悩みの相談だけでもかまいません。初回はオンラインまたは電話で20分程度から始められます。
まとめ
- 休職中の過ごし方の目的は回復であり、何かを成し遂げることではありません
- 何をしてよいかは回復の段階で変わり、判断は主治医の見解が前提になります
- 記録は評価を書かず、起きた時刻や通院などの事実だけを残すのが要点です
- 復職や退職の結論は、体調が整わないうちに出さないことをおすすめします
- 復職を考える段階では、原因が仕事内容か職場環境かを分けて整理します
よくある質問(FAQ)
休職中は何もしないほうがよいのですか
時期によっては、何もしないことが正しい過ごし方になります。特に療養の初期は、治療と休息が中心とされます。活動をどこまで増やしてよいかは体調や治療内容によって異なるため、主治医にご確認ください。
休職中に外出してもよいのでしょうか
回復の段階によって異なります。外出が治療の一環として勧められる時期もあるとされます。可否と範囲は主治医の指示に従ってください。周囲の目が気になる場合も、判断の基準は他人の視線ではなく医師の見解です。
休職中に資格の勉強をしたほうがよいですか
必須ではありません。復職や転職の可否が、休職中の学習量で決まるわけではありません。体調が許す段階になってから、短時間で試す程度で十分です。学習が負担に変わるようであれば、中断してかまいません。
会社にはどのくらいの頻度で連絡すべきですか
会社の規程や担当者との取り決めによって異なります。まず窓口を一人に絞り、手段と頻度を決めておくと負担が下がります。連絡を完全に断つと手続きの案内を見落とすため、最小限の経路は残しておくことをおすすめします。
何もできない自分を責めてしまいます
その状態自体が、体調のサインである場合があります。過ごし方を工夫して解決しようとするより、いまの気持ちをそのまま主治医に伝えてください。一人で抱える必要はなく、自治体の相談窓口も利用できます。
復職と退職、どちらを選ぶか決められません
決められない状態は、判断の時期ではないというサインである場合があります。まず主治医に「いま決めてよい時期か」を確認してください。就業規則上の期限がある場合は、その日程だけを先に把握しておけば十分です。