「設備保全の仕事で、電気保全技能士を取ったほうがいいと言われた」「どの級から受ければいいのか、取ると何が変わるのか知りたい」と気になって検索した方もいるのではないでしょうか。
電気保全技能士とは、国家検定である機械保全技能検定のうち、「電気系保全作業」に合格した人を指す呼び方です。 必須の資格ではありませんが、設備の電気系統を点検・修理する技能を客観的に示せるため、保全職でのキャリアづくりに役立ちます。
この記事では、IT・機電エンジニア専門の転職エージェントである私たちが、電気保全技能士の等級や試験内容、取得するメリット、年収との関係、勉強法を解説します。
電気保全技能士とは?取得は必要?
電気保全技能士は、正式な資格名ではありません。正しくは、国家検定である「機械保全技能検定」の作業区分の一つ「電気系保全作業」に合格し、「機械保全技能士」となった人のことを、通称でこう呼んでいます。
機械保全技能検定は、職業能力開発促進法に基づく技能検定の一つとされます。電気系保全作業では、設備の電気系統の点検、故障の原因の特定、修理などに必要な知識と技能が問われます。
設備保全の仕事に就くうえで、電気保全技能士は必須ではありません。ただし、電気系の保全技能を客観的に証明できるため、採用や昇格、担当業務の幅を広げる場面で評価されやすい資格です。
なお、電気工事を行うには電気工事士など別の資格が必要になる場合があります。電気保全技能士だけで、すべての電気作業ができるわけではない点に注意しましょう。
保全の経験をどう活かせるか、一緒に整理しませんか
資格をキャリアにどう結びつけるかは、扱う設備や目指す方向によって変わります。経験豊富なアドバイザーが、これまでのキャリアを丁寧にヒアリングし、資格を活かせる道を一緒に考えます。今の悩みの相談だけでもかまいません。
電気系保全作業の等級【一覧】
機械保全技能検定の電気系保全作業には、複数の等級があります。等級ごとの位置づけの目安は次のとおりです。
| 等級 | 求められるレベルの目安 | 主な対象 |
| 3級 | 保全の基礎的な知識と技能 | 保全の仕事を始めたばかりの人、学生 |
| 2級 | 中堅の保全担当者として必要な知識と技能 | 一定の実務経験がある保全担当者 |
| 1級 | 上級の保全担当者として必要な知識と技能 | 保全の中心を担う人、指導的な立場の人 |
| 特級 | 管理者・監督者として必要な知識と技能 | 保全部門の管理者を目指す人 |
受検資格は等級によって異なり、実務経験の年数などが条件になる場合があります。受検資格は見直されることもあるため、受検前に必ず最新の情報を確認しましょう。
電気保全技能士の試験内容
電気系保全作業の試験は、学科試験と実技試験の2つで構成されるとされます。
学科試験
学科試験では、保全に関する一般的な知識と、電気系の専門知識が問われます。主な範囲は次のとおりです。
- 機械保全法(保全の考え方、故障の分析、点検の方法など)
- 電気・電子の基礎(回路、電動機、制御機器など)
- 機械の基礎(機械要素、潤滑、材料など)
- 安全衛生に関する知識
実技試験
実技試験では、電気系統の故障を見つけたり、回路を読み取ったりする技能が問われます。リレー(電気信号で回路を切り替える部品)を使った回路や、PLC(設備を自動で動かすための制御装置)に関する内容などが出題されることがあるとされます。
実技は、実際の保全業務と近い内容が多いため、日々の仕事で電気系統に触れている人ほど取り組みやすい傾向があります。
機械系保全作業・設備診断作業との違い
機械保全技能検定には、電気系保全作業のほかにも作業区分があります。主な違いは次のとおりです。
| 作業区分 | 主な内容 | 向いている人 |
| 電気系保全作業 | 電気系統の点検、故障の特定、回路の読み取り | 電気・制御の保全を担当する人 |
| 機械系保全作業 | 機械部品の点検、損傷の判定、組み立て | 機械部分の保全を担当する人 |
| 設備診断作業 | 振動などから設備の状態を診断する | 設備の状態監視に関わる人 |
求人・選考の傾向として、設備保全の求人では「機械と電気の両方がわかる人」が評価されやすく見られます。機械系の経験が中心の方が電気系保全作業に挑戦すると、対応できる範囲が広がったことを示しやすくなります。
電気保全技能士を取得する3つのメリット
電気保全技能士を取得すると、主に次の3つのメリットがあります。
- 電気系の保全技能を、国家検定として客観的に証明できる
- 体系的に学ぶことで、故障の原因を切り分ける力が身につく
- 企業によっては、資格手当や昇格の評価につながる
相談現場では、「日々の保全業務はできているのに、職務経歴書でうまく伝えられない」という声をよく聞きます。資格があると、経験の中身を説明する手がかりになり、選考で話を進めやすくなります。
レベル別・目的別のおすすめの等級
自分の経験や目的に合わせて、受ける等級を選びましょう。目安として参考にしてください。
| 対象 | おすすめの等級 | ポイント |
| 未経験・保全を始めたばかりの方 | 3級 | 保全の基礎を体系的に学ぶ入り口として取り組む |
| 中堅の保全担当者 | 2級 | 実務の知識を整理し、技能を証明する |
| リーダー・キャリアアップを目指す方 | 1級・特級 | 指導や管理を担える力を示す |
受検資格によっては、受けられる等級が限られる場合があります。自分が受けられる等級を確認したうえで、段階的に挑戦していくのがおすすめです。
どの等級から挑戦するか決まったら、次は学習の計画を立てる段階です。職種研究や資格選びに役立つ情報を、LINEで配信しています。
電気保全技能士と年収の関係
電気保全技能士の有無による年収の差について、信頼できる公的な統計は本記事では示していません。
実際には、資格そのものよりも、次のような要素が年収に影響する傾向があります。
- 扱う設備の専門性(半導体製造装置など)
- 担当できる範囲の広さ(機械と電気の両方など)
- 交替勤務や夜勤の有無と手当
- リーダーや管理職としての経験
資格手当の有無や金額は、企業によって大きく異なります。なお、求人の状況を示す指標として、全職業の有効求人倍率は1.12倍です。保全職に限った求人倍率は、本記事では示していません。
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」(2025年11月)
資格は、それだけで年収が上がるものではなく、経験と組み合わせて評価につなげるものと考えるとよいでしょう。
効率的な勉強法のポイント
電気保全技能士の勉強は、次のポイントを意識すると効率よく進められます。
- 過去問題を繰り返し解き、出題の傾向をつかむ
- 学科は、電気の基礎と機械保全法を中心に理解を深める
- 実技は、回路図を読む練習や、リレー回路の動きを確認する練習をする
- 日々の保全業務で触れている設備と、学んだ知識を結びつける
- 職場に合格者がいれば、実技の対策について話を聞く
学習期間の目安や合格率は、受ける等級や経験によって大きく異なるため、本記事では示していません。
資格を活かしきれないと感じたら|自分の課題か環境かを切り分ける
「資格を取ったのに、仕事や評価が変わらない」と感じる方もいるかもしれません。その場合は、原因が自分のスキルや経験の不足にあるのか、資格や技能を活かす機会がない職場環境にあるのかを切り分けることが大切です。
たとえば、電気系の保全を担当したいのに、機械系の作業ばかりを任されている場合は、環境の問題といえます。この場合は、同じ保全職のまま、電気・制御の保全を任せてもらえる職場に移ることで、資格と技能を活かしやすくなります。
資格と経験を正しく評価してくれる職場を、一緒に探しませんか
電気保全技能士の評価のされ方は、企業や扱う設備によって異なります。市場価値を客観的に評価したうえで、納得のいく選択肢を一緒に考えます。まずは情報収集の一環として話を聞いてみたいという方も歓迎です。
まとめ
- 電気保全技能士とは、機械保全技能検定の「電気系保全作業」に合格した人を指す通称
- 等級は3級から特級まであり、経験や目的に合わせて選ぶ
- 試験は学科と実技で構成され、電気の基礎や回路の読み取りなどが問われる
- 資格は必須ではないが、電気系の保全技能を客観的に証明でき、採用や昇格で評価されやすい
- 資格を活かしきれないときは、自分の課題か、機会のない環境かを切り分けて考える
よくある質問
電気保全技能士は国家資格ですか?
電気保全技能士は通称で、正式には国家検定である機械保全技能検定の「電気系保全作業」に合格した人を指します。合格すると「機械保全技能士」を名乗ることができるとされます。履歴書には、正式な名称と等級・作業区分を書きましょう。
電気保全技能士の難易度は高いですか?
等級によって難しさは異なります。3級は保全の基礎が中心で、取り組みやすい等級とされます。1級や特級は、深い知識と実務経験が求められます。合格率は年度や等級で変わるため、実施団体の公表データで確認してください。
未経験でも電気保全技能士を受検できますか?
等級によっては、実務経験がなくても受検できる場合があります。ただし、受検資格は等級ごとに定められており、見直されることもあります。受検を考えている場合は、実施団体の最新の案内を確認しましょう。
電気保全技能士と電気工事士の違いは何ですか?
電気保全技能士は、設備の電気系統の保全技能を証明する検定です。電気工事士は、電気工事を行うために必要な国家資格です。保全の現場では、両方を持っていると担当できる作業の幅が広がりやすくなります。
電気保全技能士は転職で有利になりますか?
設備保全やメンテナンスの求人では、評価されやすい資格の一つです。特に、機械と電気の両方に対応できる人材が求められる職場では、強みとして伝えやすくなります。資格とあわせて、実際に対応した設備やトラブルの経験を具体的に伝えることが大切です。
機械系と電気系、どちらから受けるべきですか?
普段の業務で多く担当している分野から受けるのがおすすめです。実務と試験内容が近いほど、学習を進めやすくなります。そのうえで、もう一方にも挑戦すると、機械と電気の両方に対応できることを示せます。
職種研究や資格選びに役立つ情報、保全職の求人の傾向を、LINEでも配信しています。
この記事の執筆者

AIdeaCareerMedia編集部
主にIT・機電エンジニアに特化した転職事情に関する有益な情報を発信するメディアの編集部です。転職者であれば転職市場や選考での対策、企業の採用担当者様であればエンジニア人材の採トレンド等の「エンジニアに携わる転職・採用」の情報を提供します。
この記事の監修者

【機電部門統括責任者】キャリアアドバイザー 湯浅 空大
立命館大学卒業後、新卒で中堅アパレル企業へ入社。当社入社後は未経験圧倒的なスピードで実績を上げ、わずか2年半で機電部門統括責任者に就任。
圧倒的な求職者様目線を強みに、多くの機電エンジニアの転職成功。現在は、機電部門統括責任者として、勝てる組織づくりと後進育成に邁進。

